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犯罪被害者問題について

最近、犯罪被害者の権利が注目を集めている。

刑事裁判への被害者参加の拡充についての議論も盛んである。

これまでに不十分な議論しかなされていなかった犯罪被害者の刑事裁判への関与について議論がなされるようになったのは結構であるが、「被疑者」、「被告人」の権利に比べて保障が不十分であるという文脈で議論がなされることには大いに疑問がある。

「被疑者」、「被告人」は、現実に犯罪の嫌疑をかけられ、あるいは、裁判にかけられている者であり、権利が保障されるべき「被疑者」、「被告人」が誰であるかについて疑問の余地は無い。

しかしながら、犯罪被害者は違う。「犯罪被害者」とは、あくまでも「犯罪に遭った」と主張している者に過ぎない。
その者が真に被害者かどうかは、裁判の結果確定されるものであり、「犯罪被害者」を「被害者」として扱うことそれ自体が、「被疑者」、「被告人」が有罪であることを前提とする、一種の偏向した態度とも言える。

現在の議論の問題点は、誰が権利を保障されるべき「犯罪被害者」なのかを確定する方法について全く議論がなされておらず、「犯罪被害に遭った」と主張しさえすれば、「犯罪被害者」としての権利を保護されてしまうことについての問題意識がないこと、ひいては、「刑事訴追をされた者は有罪」という悪しき推定の元に制度設計がなされようとしていることだ。

事案によっては、例えば、自殺か他殺かが問題となる場合、交通事故における過失の有無を争う場合のように、そもそも犯罪があったと言えるかどうかが争われる事案もある。この場合、遺族が被害者としての立場から意見陳述をしたり、被告人に質問したりする権利を認めることは妥当であろうか。
あるいは、正当防衛の成否が争われる事案においては、裁判の結果次第においては、「被害者」の筈が「加害者」として認定される可能性すらあるのだ。

思うに、被害者が刑事手続きに参加することを認める前提としては、刑事裁判を有罪、無罪を決める事実審の段階と量刑を決める量刑審の段階に分けることが必要ではなかろうか。被害者の権利は、被告人の有罪、無罪について一応(上訴で結論が変わる可能性は常にある)の結論が出た後、量刑審理の段階において初めて認めるようにしなければ、「無罪推定」の原則とは相容れないであろう。

したがって、事実審と量刑審の段階を区別しない現行の刑事訴訟制度を維持するのであれば、少なくとも被告人が公訴事実を争う事案においては、何らかの形で被害者の訴訟参加を制限する制度を導入することが必要である。さもなくば、「無罪推定の原則」が画餅と化する危険性がある。

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