「美少女アダルト」アニメ規制を…超党派議員が初会合
「ロリータ系」「美少女アダルト」などと呼ばれるわいせつなアニメやコンピューターゲームの規制を目指す超党派の国会議員の会合が20日、発足した。
衆議院からは、呼びかけ人となった野田聖子議員(自民)をはじめ、牧野聖修議員(民主)、東門美津子議員(社民)らが、参議院からは江田五月議員(民主)、世耕弘成議員(自民)らが出席。法律による規制を求めているNPO法人「ジュベネイル・ガイド」が、女児のわいせつなアニメ画像がインターネットで容易に入手できる実態などを報告した。
野田議員は「刑法のわいせつ物の概念にとらわれず、子どもの人権をどう守るかという点に絞って知恵を出し合いたい」などと問題を提起した。(読売新聞)
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子どもの人権と創作物の規制が何らの関係のないことについては、前回の児童ポルノ法の改正に際しての議論において、ほぼ出尽くしています。
この点に関する私の反論と主張については、私が理事を務めるNGO団体AMIが、2003年6月23日に発表した「『児童買春児童ポルノ禁止法』改正への要望書」をご参照頂きたいと思います。おそらく、この問題に関しては最も整理されている文章の一つではないかと自負しております。
ちなみに、検察庁における少年による性犯罪被疑事件の受理人員の合計は、昭和49年まで2000人を超えていましたが、その後は減少傾向が続き、昭和55年に1571人、平成2年に743人まで減少して以降は、570人から840人までの間で増減を繰り返して、平成14年には568人となっています(数値は各年度版犯罪白書に引用されている検察統計年報によります)。
アダルトアニメやゲームの普及についてのデータはありませんが、アダルトアニメやゲームの普及と性犯罪発生率の相関をとったら、明らかに負の相関がありそうです。
今回の規制騒動の発端は、奈良の少女誘拐殺人事件のようですが、個別の事件に着目して、「美少女アニメやゲーム」を「危険」だと断じることは明らかな間違いです。
(1)被告人ないし被疑者の弁解は、自己以外の物に「責任転嫁」する傾向があります。したがって、被疑者ないし被告人の語る「原因論」は割り引いて考える必要があります。
(2)表現の受け止め方、評価の仕方は、人それぞれです。表現を批判的、あるいは、比喩的に受け止め、評価することも出来ます。表現の受け止め方は、それこそ多種多様である以上、表現を犯罪の「引き金」として受け止める人が出ることもある意味当然であり、「犯罪の引き金となりうること」を規制の根拠とした場合、あらゆる表現が恣意的な規制の対象となりうる危険があります。
(3)美少女ゲームやアニメが「引き金」とはなっていない、性犯罪の件数はどうでしょうか?犯罪へと走る美少女ゲームユーザーは、統計上は問題にもならない程の例外的な極少数であることは明らかだと思います。
一部の犯罪者のために、何故、他の善良なユーザーが自らの趣味を我慢しなくてはならない理由はどこにも見出せないと思います。そのような理屈がまかりとおれば、人間の意思の強さにより害悪となりえる嗜好品や趣味(酒・ギャンブルなど)は、全て禁止されることになるでしょう。