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【続】小泉首相の靖国参拝はやっぱり違憲でしょう

前の記事の続きです。

小泉首相の靖国参拝が合憲か違憲かという点について議論が盛り上がっているようですが、
大阪高裁の靖国参拝違憲判決に対する靖国参拝賛成派からの批判的な意見の中には、

「上告の理由にならない傍論で違憲判断を示したのはけしからん!」

という意見があちこちに見られるようです。

今回の件で、被告である国が上告出来ないのは、主文において「原告の請求を棄却する」と勝訴しているため、「上訴の利益」が認められないからです。
結論において満足を得られている場合には、判決理由に不満があったとしても上訴(控訴、上告)は許されないのです。

分かりやすい例を一つ。
AさんがBさんを殴り、全治1ヶ月の傷害を負わせたという架空の事案を想定します。

①民事バージョン
 BさんはAさんを被告として、200万円の損害賠償を求める訴訟を提起しました。
 これに対し、Aさんは「そもそも殴ったことはない、仮に殴っていたとしても時効である。」と反論しました。
 この事件において、裁判所は「原告(Bさん)の請求を棄却する。」という判決を言い渡しますが、その判決理由は、AさんがBさんを殴ったことを認めつつも、損害賠償請求権が時効で消滅しているというものでした。
 Aさんとしては、「そもそも殴っていない」と身の潔白を証明したい訳ですが、判決の主文において勝訴している以上、控訴は出来ません。

②刑事バージョン
 Aさんは傷害罪で起訴されました。Aさんはそもそも殴っていた事実それ自体を否定し、Cこそが真犯人であるとして、全面無罪を主張します。
 裁判所は「被告人は無罪」との判決を言い渡しますが、その判決は、Cを犯人として認めておらず、さらに、Aが犯行に関与していた疑いが強いと述べつつも、犯人と断定するだけの証拠はないという「灰色無罪」の判決でした。
 この判決についても、判決の主文において無罪を勝ち取っている以上、理由に不満があっても控訴は出来ないのです。

 議論が盛り上がるのは大いに結構ですが、正確な知識に基づいた反論を靖国参拝賛成派にはお願いしたいものです。

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Comments

一国のトップが国のために命を捧げた人に対して参る
ことができないってのが現状の憲法解釈として認め
られるというのであれば、そんな条文は改正すべき
でしょう。

政教分離の概念を分かっていないサヨクの言い分が
通用するような憲法、日本国憲法ってまさに
最悪の憲法としかいいようがありません。

Posted by: 戸田 | October 24, 2005 at 02:10 AM

主文とまったくの関係ない裁判官の個人的な思想を傍論として主張し、それがまかり通る
ようでは完全なる民主主義の破壊ですね。

例を引かれて説明されていますが、全く傍論の説明になっていませんよ。

貴殿の法曹界人としての見識を疑わざるを得ませんね。

Posted by: 南国人J | October 26, 2005 at 07:19 AM

南国Jさん 
アラシはやめてください。

Posted by: nnumu | October 26, 2005 at 11:27 PM

2つ上の「南国人J」さんのコメントについて、述べさせていただきます。山口弁護士は、ある意味、極めて異色の弁護士だとは思いますが、靖国問題についての彼の意見は、現在の法曹の平均的な意見に極めて近いものだと思いますよ。そもそも、「傍論」が「裁判官の個人的思想」だなんて、判決文を余り読んだことがない人の発想のようにも思うんですけどね。

Posted by: ぽん | October 27, 2005 at 05:52 PM

ぽんさん:

法曹会会の平均的意見ではないでしょう。
専門家に聞きましたが、意見は完全に割れて
いるようです。判決も半々のようですが。

傍論、これは裁判官として必要の無い意見
を述べたものでしょう。
あくまでも原告の請求は精神的障害に対する損害賠償ですからね。
傍論は裁判官の個人的思想以外のなにものでもないと思います。
明らかに裁判官としての中庸を逸脱していますね。

nnumu さん:

私はアラシではありませんよ。

Posted by: 南国人J | November 10, 2005 at 08:52 AM

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