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【死刑問題】さすが弁護士出身の法務大臣は違う!

死刑に重ねて否定的見解 杉浦法相、廃止論に波紋

 杉浦正健法相は1日の閣議後の会見で、死刑の執行命令に署名しないと明言、直後に発言を撤回した前日の会見の真意について「他人の命を奪うということは、理由を問わず『許すべからざることだ』という気持ちが根底にある」と述べた。
 「自分の哲学」とした上での発言だが、現職法相が死刑制度に否定的な見解をあらためて示したことは廃止論議に波紋を広げそうだ。
 今後の対応をめぐっては「法の執行にあたってはあらゆる要素を加味して、厳正に対処しなければいけない。個人の心情で動かされるべき問題じゃない」とする一方で「職務の執行に当たっては個々の事案、千差万別なので、そういうものを十分、大臣としての職責を検討した上で判断する」と、署名に慎重な姿勢もにじませた。
(共同通信) - 11月1日

 法務大臣の姿勢を全面的に支持します。
 私は日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会の事務局次長という立場にありますが、同委員会では、一方的に死刑廃止論に組する立場からではなく、現行の刑事司法制度、死刑制度について議論を行うための大前提として、死刑の執行を一定期間停止した上で、国民的な議論を行うべきであるという立場から、活動をしてきました。
 なお、このような立場に対する典型的な批判に対する回答を以下に用意しました。 
 <死刑制度が存在する以上、法務大臣は、粛々として死刑執行命令を出すべき
という立場に対する回答です。

(FAQ)法務大臣が死刑を執行しないことは、「法務大臣が刑事訴訟法を守らない」と宣言するに等しいのではないか。

(回答)1998年には国連人権(自由権)規約委員会から日本政府に対して、日本の死刑制度の運用が規約に違反するとの勧告がなされています。国連自由権規約はわが国が批准した条約であり、法律に優位する国内法的効力を持ちます(※)。すなわち、現在の日本における死刑の執行は、国際法に違反する違法の疑いが極めて強く、法を誠実に執行する義務を負う法務大臣としては、死刑執行は差し控える義務があると考えます

(※)法律と条約の関係について
   我が国の憲法には、我が国が締結した条約と法律との関係についての明文の規定はありませんが、条約が法律に優位するものと考えられています。
   我が国の憲法第98条第2項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しており、我が国が締結し、公布された条約等は国内法としての効力を持つ。 なお、条約の規定を直接適用し得るか否かについては、当該規定の目的、内容及び文言等を勘案し、具体的場合に応じて判断すべきものとされています。

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Comments

>規約の文言が死刑の廃止を指向するものであり

と書いてるではないか・・・締約国は死刑を廃止すると規約には書いていないしそんな規約を批准したら即死刑を法律上なくさなければならない。当たり前の話だ。 つまり死刑廃止は国際法でも何でもないのに現に定められた法律である国内法が国際法違反していると言う疑いがあるというねじ曲げられた主張は全くのお笑いとしか言いようがない。とても法律家とは思えない主張である。
現に定められた法律を守らせる役割の法務大臣が死刑の署名を行うのは法に定めた役割であり
その任に当たる者は誠実にそれを履行しなければならない。それができないのであれば任にあらず。辞任すべきである。これも当たり前の話。
不思議なのだがそんなに廃止がしたければ、立法の側にたてばよいではないか。弁護士は、法の上に存在している事を忘れてはならない。

Posted by: なにをいってるんだか・・・ | November 10, 2005 at 02:01 AM

↑のかたこそ何を言っているんでしょうか?
人権規約の第三部第六条に
死刑の廃止に向けた規定が
盛り込まれているんですが・・・。

Posted by: おすぐ | November 11, 2005 at 02:06 AM

同じ理屈でいきますと、
憲法9条よりも国際連合憲章第51条が優先されるべきということになってしまわないのでしょうか。

国際連合憲章第52条における但し書「…国際連合の目的及び原則と一致することを条件…」に従うならば、国際連合の原則に一致しない日本国の崇高な理念である「陸海空軍等の戦力の放棄」や「国の交戦権の放棄」を、差し控える義務があることにならないのでしょうか。

この場合は国際優先、あの場合は国内優先、
そんなものなのでしょうか。

Posted by: やまもと | November 11, 2005 at 10:55 AM

おすぐ氏へ
どこにも締約国は死刑を廃止するとは書いていないだろう。「廃止に向けた規約」と自分で書いているではないか・・・・・「廃止を定めた規約」ではない。国内法における死刑は現に法律=実定法だぞ。人権規約に死刑を廃止せよと書いてはいない以上、日本国の立法機関が死刑を廃止しなくても何の問題もない。どちらが優先する以前の問題だ。廃止に向けた努力を行うのは立法の仕事である。立法によって定められた法律を誠実に実行するのが行政の役割である。
現に定められた法律を守るのが法律家司法側にいる者の勤めだ。
思想信条で死刑を廃止したいのならばそれはそれで良いだろう。しかしこんないいかげんな論拠で司法側の人間が法律をねじ曲げ愚弄する事に憤りを感じているのである。素人に簡単におかしいだろうと論破されるようないいかげんきわまりないことを言う前に法律上で死刑を廃止する努力をしたらどうなんだと私は言っているのだ。国内法、国際法優先以前の問題である。

Posted by: なにをいってるんだか・・ | November 11, 2005 at 09:52 PM

>なにをいってるんだか・・・ さんへ
死刑制度それ自体が国連自由権規約に違反しているとは書いているつもりはないのですが。
現在、日本で行われている死刑制度は国連自由権規約の条件を満たしていないために、違法状態にあると主張しているだけです。国連自由権規約との関係で必要な是正を行えば、少なくとも規約との関係では違法ではなくなります。
死刑の存廃を巡る議論とは次元の違う話であることをご理解下さい。

>やまもとさんへ

>この場合は国際優先、あの場合は国内
>優先、そんなものなのでしょうか

法規範の優位関係は

憲法>条約>法律

となっています。憲法は条約より優位しますので、憲法9条よりも国際連合憲章第51条が優先します。

Posted by: 山口貴士 | November 12, 2005 at 12:00 AM

>自己レスです。

あわわ・・・。何と言うミスを・・・。

誤)憲法9条よりも国際連合憲章第51条が優先します。

正)憲法9条は国際連合憲章第51条に優先します。

Posted by: 山口貴士 | November 12, 2005 at 12:04 AM

そうなんでしょうか。

単純条約優位説は弱くなったことは学びましたが、とはいえ山口先生が示すような簡単な関係である単純憲法優位説が確立されているわけではなかったはずですが、私は誤って解釈しているのでしょうか。

政府見解や学説など、見解・解釈が分かれているのではないでしょうか。
単純憲法優位説ではなく条件付憲法優位説が多数だとは思いますが、国防などの国際問題に係る場合は国際法規が憲法に優先するとの説も未だ有力だったはずですが…

Posted by: やまもと | November 14, 2005 at 12:41 AM

重ねてコメントにて失礼します。

山口先生の仰る通り、単純に「憲法>条約」という関係が成立するのであれば、生命を奪う死刑を容認する(排除しない)憲法31条は国連自由権規約に優先するということにならないのでしょうか。

Posted by: やまもと | November 14, 2005 at 12:54 AM

やはり、なにをいってるんだか・・様に賛同せざるを得ません。

死刑制度に反対であれば、憲法改正も含めた立法作業によって廃止に向けた努力を行うべきであり、それまでは立法によって有効に成立している法律を誠実に実行するのが行政の役割だと考えます。

Posted by: やまもと | November 14, 2005 at 01:06 AM

さらに言いましょう。
日本は「死刑廃止条約」を批准していません。まずこれで条約面での法的拘束力はありません。
次に市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)においても我が国政府の立場は「憲法は我が国の最高法規であり、その効力はB規約の国内法的効力に優位するものと解されるが、上記のとおり、憲法による人権保障の範囲はB規約のそれとは、実質的にはほぼ同様なものであるから、両者の抵触の問題は生じないものと考えられる。」である。さらに、人権委員会は人権委員会による勧告、懸念表明に基づく斡旋を行うと書いてある。つまりまり法的な拘束力はありません。

勧告とは:(1)ある事をするように説きすすめること。「辞職を―する」「―に従う」
(2)行政機関が参考として提出する意見。私人に対する行政指導の一方法として、あるいは他の行政機関に対する参考意見として提示される。法的拘束力はないが事実上、ある程度の強制力をもつ。
つまり勧告に対しては誠実に受け止める必要はあるが、それを実現できなくても法違反ではない。法違反の疑いでもない。法(条約)に違反していないが死刑全廃を指向する人権委員会として不満足であると言う見解があるので勧告となるのだ。法はあくまで法である。国際的な機関による勧告はあくまで勧告であり法違反ではない。どこがどう条約違反を犯していると思うのか?違法状態というならば具体的にどこの条文が規定している内容に対してどう違反しているのか根拠を示すべきである。条約に反しているならば勧告ではすまないぞ。

わかりやすく言えば、勧告とは行政機関が「ある事をするように説きすすめること。」であり、人権委員会は立法ではない。いわば行政機関のようなものだ。本件が違法状態であると主張するならば、行政機関がおこなう勧告に従わなかったら違法だと行政機関が主張した場合は同意すると言っているに等しい。ばかげた話だ。

Posted by: なにをいってるんだか・・ | November 14, 2005 at 09:49 PM

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