【司法改革】司法支援センター理事に2弁護士、法務・検察出身ゼロ
司法支援センター理事に2弁護士、法務・検察出身ゼロ
今年4月に設立され、10月に業務を開始する独立行政法人「日本司法支援センター」の骨格が17日、明らかになった。
執行部の理事は、寺井一弘・元日本弁護士連合会事務総長ら弁護士2人、元裁判官1人、経済界出身者1人の計4人で構成。全国50の地裁所在地に置かれる地方事務所に加え、事件数の多い11か所に支部を設け、民事、刑事両面のきめ細かい法律サービスを目指す。
同センターは、司法制度改革で裁判員制度と並ぶ目玉の一つとして位置づけられている。各種の法的トラブルの相談受け付けや、民事事件の弁護士費用立て替え(法律扶助)を行うほか、裁判所に代わり国選弁護制度の運営も担う。
理事長には金平輝子・元東京都副知事の就任が内定しているが、法務省所管の独立行政法人となることに、「刑事弁護の独立性を侵す」との根強い抵抗感が弁護士会の一部にあり、理事の顔ぶれが注目されていた。
今回の人事は、理事長を補佐してセンターの運営にあたる理事の半数を弁護士とする一方、法務・検察出身者をゼロとし、弁護士会の意見を反映しやすくした形だ。
寺井氏のほかの理事は、軍司育雄・元日弁連副会長、岩瀬徹・元前橋家裁所長、西川元啓・新日本製鉄常任顧問。岩瀬氏は東京地裁の裁判長としてオウム真理教事件などを担当した経験があり、西川氏は政府の司法制度改革推進本部で、「司法アクセス検討会」の委員を務めた。
一方、支部が置かれるのは、東京・八王子、千葉・松戸、埼玉・川越、神奈川の川崎、小田原、静岡の沼津、浜松、愛知・岡崎、兵庫の尼崎、姫路、福岡・北九州の計11か所。いずれも過去に刑事・民事事件の件数が多いところで、職員数名を配置し、地方事務所と同じレベルのサービスを確保する方針だ。このほか、法律扶助のサービスに特化した出張所を、東京と大阪に計6か所設置する。
(2006年2月17日14時39分 読売新聞)
一見、まともな人選に見えなくもないですが・・・。
(0)西川元啓氏は、弁護士費用の敗訴者負担の導入を推進していた人物です。司法アクセスを阻害し、「強者のための司法」を推進していた人物を、司法支援センターの理事にするとは「悪い冗談」以外の何者でもありません。
(1)そもそも、法務省の上級幹部は検察官で占められていますし、国相手の訴訟の国側代理人となるのも検察官です。その法務省所管の独立行政法人が国選刑事弁護を運営するという点の違和感は小手先の人選では拭い去れるものではありません。
(2)司法支援センターには、民主的な意思決定機関はありません。
「理事長=法務大臣の任命 理事 =理事長の任命」であり、「法務大臣→理事長→理事」という縦の統制が存在します。ちなみに、地方事務所の所長は「理事長」が任命するようです。「法務大臣→理事長→地方事務所長」という縦系列は地方組織においても存在します。
(3)弁護活動を日常的に規制する「業務方法書」「法律事務取扱規程(懲戒規定を含む)」「契約約款」 の制定と変更については、すべて法務大臣が認可することになっています。
(4)評価委員会が法務省に設置されます。
要するに、私選弁護人を雇えない人については、「官許の弁護活動」しか受けられないという現実には何も代わりがないのです・・・。(嗚呼)
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