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【ホームオブハート】傍聴のご案内【被告本人尋問】

当ブログにおけるホームオブハート関連の初書き込みです。

(ご案内)
6月5日(月)午後1時10分~午後4時30分 東京地方裁判所611号法廷(民事13部)

● 出山香 (Toshiこと出山利三の妻/トシオフィス取締役)
 → 元アイドル(※)でキテレツ大百科の主題歌と挿入歌を歌っていたことがある。
   Toshiと一緒に癒しのコンサート(詩旅)の地方巡業はしないのでしょうか・・・。
   (※改名歴)守谷香守谷佳央理守純かほり

● 加田順子(株式会社ホームオブハート代表取締役)
 → Toshiが取締役に名前を連ね、ホームオブハートと同じ商品や岩盤浴関係のグッズを販売している(株)ワールドナチュラリーコーポレーションズの取締役も兼任しています。

の両名の被告本人尋問(当事者なので、証人尋問ではなく被告本人尋問)が行われます。 途中からの傍聴、退席も可能なので、是非とも傍聴にお越し下さい。

(関連リンク)
ふるさとの木 (株式会社ホームオブハートの公式ページ)
Toshiオフィシャルサイト~癒しのコンサート(株式会社トシオフィスの公式ページ) → 癒しのコンサート、詩旅の案内、反論(誹謗中傷?)等が掲載されています。
岩盤ストーンスパ癒処「沙羅癒」 → ホームオブハートのスタッフが代表者と役員になっている株式会社ヒーリングワールドが経営。
小さな木(岩盤浴)& Westの絵てがみ教室(「小さな木」を経営する会社。ホームオブハートのセミナー受講者/支持者でMASAYAの関係者が経営。)
HOHとToshi問題を考える会
弁護士紀藤正樹のLINC/ホームオブハートとToshi問題を考える
ホームオブハートの水商売
自己啓発セミナー対策ガイド ホームオブハート事件データ集
悪徳商法マニアックス? ホームオブハート裁判に行ってきました
悪徳商法マニアックス? ホームオブハートの証人尋問予定
酔うぞの遠めがね ホームオブハート裁判

(参考リンク)
日弁連の意見書「反社会的な宗教的活動にかかわる消費者被害等の救済の指針」
霊感商法の実態(被害弁連=全国霊感商法被害対策弁護士連絡会の公式ホームページ)
日本脱カルト研究会(JSCPR) → 今度理事になりました。
International Cultic Studies Association (ICSA=旧AFF)(カルト的な集団に関する研究団体の公式HP、英語サイト)
北海道大学大学院 櫻井教授のHP → カルト問題について社会学的な書かれた論文などを読みたい方へ なお、最近のご著書は名著です
自己啓発セミナーに関する情報 → JSCPRでご一緒させて頂いている小久保先生のサイトです。
消費者問題としての自己啓発セミナー ブログ 自己啓発セミナーの問題を消費者問題として捉える視点には、賛同します。

なお、「カルト」=「熱狂的な」というくらいの意味で使用しています。

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【共謀罪】亀井静香国民新党代表代行も共謀罪に反対

亀井静香国民新党代表代行も共謀罪に反対

2006年5月19日、亀井静香国民新党代表代行がインタビューに答え、共謀罪に反対する意思を表明した。

 亀井代表代行は、「(自白)調書をとられれば、公判で『違う』と言っても、裁判官は認めてくれない。調書にサインしなければ、釈放されない。そういう状況で共謀罪がつくられるのは危険」「国民のほとんどはアホ。おもしろい味つけをすれば、飲んでくれる。小泉(純一郎)さんはそれを利用している」などと率直に語った。

 撮影は林克明氏(ジャーナリスト)、編集は三宅勝久氏(同)。

 なお、さらに詳しいインタビューが『週刊金曜日』(2006年5月26日号)に掲載される。

(出典)ブログ「共謀罪反対」より 
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元警察官僚の亀井静香氏も共謀罪には反対のようです。

ご指摘はごもっとも。刑事手続きの実態と運用を踏まえないで、実体法に関する議論をしても始まりません。

これで、共謀罪政府案賛成=政権与党/警察・法務当局=法の解釈・適用権限を握っている側という構図がはっきりしてきました。

民主党も、国際組織犯罪防止条約に賛成したこと自体を反省し、総論賛成/各論反対のようなぬえ的な議論は止めて、「共謀罪にはノー」と強気で臨んで貰いたいものです。

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【共謀罪】5月19日の強行採決回避の不思議

共謀罪 着地点見えず 与党一転採決先送り 国会空転懸念 民主、肩透かし

 「共謀罪」新設を柱とした組織犯罪処罰法改正案をめぐり、自民、公明両党は19日、河野洋平衆院議長の仲介で民主党と会談、同日中に予定していた衆院法務委員会での採決を先送りした。強行採決に対し、民主党は審議拒否も辞さない姿勢を示していたが、国会混乱を懸念した議長の「仲裁」で与党が譲歩した格好。これを受け、与野党ともに法案の修正協議を続ける意向だが、着地点は見えていない。

 同日午後の会談には、3党の国会対策委員長が出席。河野議長が「国会が不正常な状態になることを避けるため、与野党間で十分協議してほしい」と採決見送りを要請し、与党側はすんなりと受け入れた。表向きは議長が与野党に呼び掛けた格好だが、実際は与党による演出だった。

 与党は17日に医療制度改革関連法案を強行採決したばかり。小泉純一郎首相も同日の党首討論で「審議には十分時間をかける」と約束しており、再びとなれば「巨大与党の横暴との批判を招きかねない」(国対幹部)との判断があった。

 また会期末が6月18日に迫ったこの時期の国会空転となれば、重要法案処理に影響が及ぶのは必至。与党は表向きの強気を装いつつ「軟着陸」の道を選択した。一方の民主党は、共謀罪をめぐる党の主張には「世論の後押しがある」とみて全面対決のシナリオを描いていただけに肩透かしを食った格好。国対幹部は「戦略の練り直しが必要になった」と漏らす。

 民主党は、対象となる犯罪を「5年超の懲役・禁固」「国際的犯罪」に限定するよう主張、「丸のみしていただければ賛成する」(鳩山由紀夫幹事長)と譲らない構え。ただ、与党側は「国際的組織犯罪集団の活動の未然防止にならず、条約の規定にも反する」と反論し、隔たりは大きい。

 「必ず成立させなければならない」(細田博之・自民党国対委員長)との姿勢を崩していない与党は、修正協議を続けつつ来週以降、世論の動向もにらみ採決のタイミングを見極める構えだ。

■共謀罪

 殺人など重大犯罪の実行行為がなくても謀議に加わるだけで処罰可能となる罪。2000年に国連が採択し政府が署名した「国際組織犯罪防止条約」が参加国に創設を求めた。政府は03年の通常国会に法案を提出したが、日弁連は構成要件が分かりにくく、犯罪とは無関係の市民団体も規制されかねないと批判。野党の反対により継続審議や廃案を繰り返し、3回目の提案となった昨年の特別国会で継続審議になっていた。
 =2006/05/20付 西日本新聞朝刊=

2006年05月20日10時49分

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ご存知のとおり、5月19日の法務委員会における共謀罪の強行採決は回避されました。首相官邸筋からの働きかけがあったことは間違いありません。

数の上だけでは、何でも出来る筈の巨大与党を躊躇させたものは何でしょうか?

可能性① 世論の後押しを受けて民主党が審議拒否にはいると行革関連法案の成立が危うくなる

可能性② 10月の神奈川16区補選への悪影響

可能性①だとすれば、行革関連法案が参議院本会議を通過してしまえば、与党は心置きなく、強行採決が出来ることになります。そうすると、5月26日以降、再び危険水域へと突入です。

可能性②だとすれば、世論の関心を共謀罪に引き付けている限り、10月までは採決を引き延ばすことが出来ますから、共謀罪を廃案にする可能性は残されている訳です。
さらに、世論を沸き立たせることが出来れば、共謀罪を来年の参議院選挙の争点にすることが出来るでしょう。
自民党が歴史的な大勝を飾った、昨年の衆議院選挙では、共謀罪は争点にはなっていませんでしたから、共謀罪は、初めて、民意の判断を仰ぐことになる訳です。

可能性①については、どう対処できるのか分かりませんが、可能性②であれば、まだまだ逆転の見込みはあります。強行採決回避で、反共謀罪のキャンペーンの矛先を鈍らせれば、まさに巨大与党の思う壷です。この盛り上がりを、何とか来年まで続け無くてはなりますまい。

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【統一協会】【共謀罪】どうやら統一協会は共謀罪を支持しているようです

統一協会系メディア「世界日報」2006年5月14日付 社説より

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共謀罪/与党再修正案で成立させよ
 犯罪組織が凶悪な犯行を計画しているのにそれを未然に防げず、これまでどれほど多くの人が犠牲になってきただろうか。
 こうした犯罪組織に各国が連携して立ち向かおうと、共謀罪や参加罪が存在しない国は新たにそれを設けることになった。それが今国会で審議されている組織犯罪処罰法改正案である。

恣意的な反対論飛び出す
 共謀罪をめぐってはさまざまな異論もあるが、いつまでも犯罪組織に甘い顔をしていては国民の生命が脅かされるばかりか、世界から不信を買うことになる。与党は異論に配慮して再修正案をまとめたが、同案を今国会で成立させるべきである。
 国際社会では現在、テロ組織による無差別テロだけでなく、暴力団やマフィアなどの麻薬密輸組織が国際ネットワーク化し、国境を越えた凶悪事件も多発している。これら凶悪犯罪を未然に防ぐのは世界的な課題だ。

 わが国もこのことを地下鉄サリン事件で嫌というほど味わったはずだ。また麻薬密輸組織は近年、日本市場をターゲットに侵食し青少年にも薬物汚染が広がっており、この取り締まりも焦眉(しょうび)の急となっている。

 そこで国連では、世界各国が連携してテロ組織などを取り締まるために「国際組織犯罪防止条約」が採択された。わが国は二〇〇〇年に同条約に署名し、〇三年の通常国会で与党だけでなく民主党も賛成して承認された。

 この条約は取り締まりを実効性のあるものにするため、各国に重大犯罪に対する共謀罪もしくは参加罪の創設を義務付けており、国内法を整備しなければ条約を締結できない。そこで、組織犯罪処罰法に共謀罪を新たに盛り込むことになったのだ。

 こうした背景があるにもかかわらず、一部マスコミや野党から「一般市民も飲み屋で相談しただけで捕まる」「内心の自由すら認められない」「六百十九もの罪が対象になっており、暗黒社会の再来だ」といった恣意(しい)的な反対論が飛び出し、それに引きずられて国会審議が暗礁に乗り上げている。

 そもそも組織犯罪処罰法は「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、行為が組織により反復して行われるもの」を対象団体と規定しており、共謀罪はその団体の活動として犯罪を行う共謀をした者を取り締まるものだ。

 それに六百十九の罪が対象なのは、国際犯罪防止条約が四年以上の懲役刑などを科す犯罪を「重大犯罪」と定めており、それを日本に適用すれば六百十九の罪が対象になるからだ。意図的に対象が広げられたわけではない。

 しかも適用されるのは、あくまでも犯罪組織が行う六百十九の罪に対する共謀である。だから、一般市民には無縁の話だ。

 それでも与党は反対論に配慮して、共謀罪の適用対象をテロ集団、暴力団などの「組織的な犯罪集団」に限定する再修正案を示し、さらに共謀しただけでは罰せず、共謀した者の誰かが実行の下見や凶器購入の資金調達が行われるなど外部的な行動をした場合のみを処罰するとした。

国際公約を実行すべし
 さらに留意事項として条文に「思想・良心の自由を侵すことや、団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない」と明記するとしている。この与党案で杞憂(きゆう)は晴れるのではないか。犯罪組織による凶悪犯罪を防ぐ国際公約を実行し、同時に国民の安寧な生活を守るために共謀罪を早期に成立させるべきである。
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霊感商法について、警察が取り締まらないのをいい事に随分と増長しているようです。
統一協会が信仰の名の下にどれだけの被害者を出してきたか・・・。統一協会こそが国民の安寧な生活を脅かしてきた存在です。

霊感商法が詐欺罪なり恐喝罪なりで立件されてさえいれば、統一協会はまさに「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、行為が組織により反復して行われるもの」として、一発でアウトなのですが。

「自分達には関係がない!」という非常に強い自信がなければ、与党の再修正案を高く評価したうえで、「国際公約を実行すべし」と、ここまで強気かつ呑気には書けませんな。しかも、野党や弁護士会などによる批判について「恣意(しい)的な反対論が飛び出し、それに引きずられて国会審議が暗礁に乗り上げている。」とまで酷評しています。

民事訴訟による対応が有効にダメージを与えていないこと、統一協会問題に対して民事的な対応の限界が来ていることを強く感じさせてくれる社説でした。

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【刑事弁護】異端の肖像2006「怒り」なき時代に 弁護士安田好弘(58)

異端の肖像2006「怒り」なき時代に 弁護士安田好弘(58)

安田好弘弁護士は、私が最も尊敬する同業者の一人です。この記事を読み、弁護士という職業のあり方を改めて考えさせられました。

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 「被害者の人権を無視した」と苛烈(かれつ)なバッシングが待っていた。オウム真理教の裁判のときよりも酷(ひど)かった。当人はどう受けとめたのか。

 「こういう仕事をしている以上、避けられない。凶悪とみられる人々の弁護をするのだから。世論は常に多数派だ。逆に被告は孤立している。弁護が少数者のためである以上、多数派から叩(たた)かれるのは定めだ」

 その使命感は、と聞こうとすると、安田は遮って「使命感じゃない。これが弁護士という職業の仕事なんです」と言い切った。
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弁護士法第1条第1項は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」と弁護士の存在意義をはっきりと定めています。

基本的人権とは、多数決によっても侵害することが許されない基本的な権利のことであり、多数決の論理では救済さらない少数者にとって最後の拠り所です。少数者の権利の擁護を使命とする以上、多数者からの批判や攻撃があることもある意味当然であり、それすら「想定内」のものとして、司法権は存在します。

今回の安田弁護士の弁論は、記録を精査した上で、第一審判決、控訴審判決における事実誤認を発見し、これを指摘したものであり、弁護人として当然の義務を果たしただけであり、裁判引き伸ばし目的のものではありえません。「真実」にあくまでもこだわる弁護士に対し、権力と世論がバッシングを加えることの異常さにこそ我々は気がつくべきです。

さすがに、最高裁判所はそのことに気がついていると思わせる要素もあります。
最高裁の弁論は1回で結審するのが通例であるにもかかわらず、濱田邦夫裁判長が「弁護側が1カ月以内に補足の書面を出せば受理する」と述べたことに一抹の希望を感じています。もしも、単なる裁判引き伸ばしのための主張に過ぎないと考えたら、濱田裁判長の発言はないでしょう。

最高裁判所としては、安田弁護士の主張に耳を傾けるべき余地がある、少なくとも、控訴審の裁判所に差し戻しをして、その点について審理を尽くさせる余地があると考えていると、最高裁判所に良識が残されていると信じたいのです。

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【宣伝】【AERA】【文藝春秋】Google八分について【日本平和神軍】【グロービートジャパン】

AERA(アエラ)5月15日号に、「検索が支配する民主主義」と言う記事が掲載されており、Google八分に関する私のコメントが載っています(数行ですが)。
この記事の「都内に本部があるラーメンチェーン(とある宗教団体との関係が指摘されている)」とは、らあめん花月などを全国的にチェーン展開しているグロービートジャパン株式会社のことで、「とある宗教団体」とは、日本平和神軍のことです。

現在発売中の文藝春秋6月号に掲載されている「"怪物"グーグルが世界を支配する」という記事が掲載されていますが、こちらにも、Google八分に関する私のコメントが載っています(やはり数行ですが)。この記事の「飲食店チェーン企業」というのは、やはり、グロービートジャパン株式会社のことです。

Google八分の問題点については、悪徳商法?マニアックスにも詳しく掲載されています。

朝日新聞が、google八分を申請したFAXを入手しました
悪マニが、TVで紹介されます(かも)
「Google八分は、スーツの暴走」と言う詭弁に注意
現在発売中のAERAに、検索エンジンの記事

以上、宣伝でした。

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【護憲】【憲法記念日】憲法9条を残す意味を経験主義的に考える

人を分類する方法は色々ありますが、日本国憲法を改正すべきと考えるか、改正すべきではないと考えるか、という観点から分類した場合、私は、現行憲法を改正すべきではないと考えている護憲派です。
特に、憲法9条については、改正する必要はないと強く考えています。イデオロギーというよりも、歴史的な経験の問題として考えた場合に、憲法を改正する必然性がどこにも見えてこないというのが実感です。

① 憲法9条があるからこそ、アメリカという気まぐれかつ自己中心的な「親分」に引きずられて、戦争に巻き込まれずに済んでいる。
② 現代史の経験則上、軍隊を持っている国の方が戦争やテロに巻き込まれ易い。
③ 因果関係は不明であるが、軍隊のない日本の治安は非常に良い。
④ 軍隊を持っていた戦前の経済的な成長を、戦後の10年が上回っている。
⑤ 憲法が認めている人権制約の原理は「公共の福祉」(=人権と人権の抵触を調整する原理)だけであり、歴史上、国民の人権弾圧のために濫用されてきた上に、裁判所のチェックが及ばない「国防」、「国家の安全」などが存在しえない。

無論、これらのメリットを上回って、国民の利益になる「いいこと」があれば格別、「民族主義的な意識の高ぶり」とか「国家の誇り」とか「押し付け憲法論」とやらの一時的な感情の高ぶりから、これまでの歴史的な経験を無視して憲法を改正することこそが、「国益」に反すると思います。

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【わいせつ】財団法人インターネット協会 「ホットライン運用ガイドライン」の問題点について

財団法人インターネット協会というところが、ホットラインセンターの設立準備をしています。
ホットラインセンターの設立目的は、「現在、インターネット上には児童ポルノ、薬物等禁制品の密売に関する情報等の違法情報や直ちに違法とは評価されないものの自殺サイトや爆弾の製造方法、殺人等の違法行為の請負等に関する情報などの有害情報が氾濫している状況にあります。このような状況を踏まえ、インターネット利用者から寄せられる違法・有害情報に関する通報を受け付け、一定の基準に基づいて情報を選別した上で、違法情報については警察への通報及びプロバイダや電子掲示板の管理者等(以下「プロバイダ等」という。)への送信防止措置依頼等を実施し、有害情報についてはプロバイダ等に契約に基づく対応依頼等を実施する役割を果たす『ホットラインセンター(仮称)』を設立することといたしました。」という点にあるようです。

財団法人インターネット協会は、現在ホットラインの運用のためのガイドラインを作成中のようで、ガイドライン案を公開していますが、それを見るとあまりに杜撰、あるいは、不勉強ではないかと思われる箇所があります。
以下に指摘する箇所が全てではありませんが、とりあえず、気になった点を指摘します。

同ガイドライン「第3 プロバイダや電子掲示板の管理者等に対する違法情報の送信防止措置依頼 3 違法情報該当性の判断基準 (2)構成要件該当性を判断する上での判断基準 ①わいせつ物公然陳列」の箇所です(PDF版で言うと8頁目になります)。

ここには、「次のすべてをみたす場合には、わいせつ物公然陳列の構成要件に該当する情報と判断することができる」とあり、「○わいせつ性が認められる場合」として、
・性器が確認できる画像又は映像(以下、「画像等」という。)
・性器部分にマスク処理が施されているが、当該マスクを容易に除去できる画像等

とありますが、わいせつ性の判断はそんなに簡単なものではないです
わいせつ性判断に関する最高裁判所昭和55年11月28日判決(四畳半襖の下張事件判決)は、
① 当該文書の性に関する露骨で詳細な描写叙述の程度とその手法
② 右描写叙述の文書全体に占める比重
③ 文書に表現された思想等と右描写叙述との関連性
④ 文書の構成や展開
⑤ 芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度、
⑥ これらの観点から該文書を全体としてみたときに、主として、読者の好色的興味にうつたえるものと認められ るか否か
という詳細な判断基準を立てており、私が弁護を担当している松文館事件の控訴審判決(東京高等裁判所平成17年6月16日判決 全文→ )も、この基準は、「漫画本を含め図画にも妥当する」ことを明らかにしています。

さらに、この判決は、
(1)「写真のような実写表現物による表現と漫画による表現を比べると、一般的には、実写表現物の方が性的刺激の度合いの強いことが多い」こと(=一般的に漫画などの絵は実写よりも性的な刺激が弱い)
(2)「芸術作品のわいせつ性を評価する場合、その作品の性的刺激の度合いを緩和する要素として、その作品における表現方法、表現手段、から一応切り離して認識することのできる作者の思想等のほかに、表現方法、表現手段自体の思想性、芸術性があり得る

とも判示しています。

要するに、「性器が確認できる」だけで「わいせつ物公然陳列の構成要件に該当する情報と判断することができる」というのは、余りにも最新の議論を無視した、杜撰な基準であるとしかいいようがないのです。


(※)いずれも、下線、強調などは私がつけたものです。

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