【共謀罪】5月19日の強行採決回避の不思議
共謀罪 着地点見えず 与党一転採決先送り 国会空転懸念 民主、肩透かし
「共謀罪」新設を柱とした組織犯罪処罰法改正案をめぐり、自民、公明両党は19日、河野洋平衆院議長の仲介で民主党と会談、同日中に予定していた衆院法務委員会での採決を先送りした。強行採決に対し、民主党は審議拒否も辞さない姿勢を示していたが、国会混乱を懸念した議長の「仲裁」で与党が譲歩した格好。これを受け、与野党ともに法案の修正協議を続ける意向だが、着地点は見えていない。
同日午後の会談には、3党の国会対策委員長が出席。河野議長が「国会が不正常な状態になることを避けるため、与野党間で十分協議してほしい」と採決見送りを要請し、与党側はすんなりと受け入れた。表向きは議長が与野党に呼び掛けた格好だが、実際は与党による演出だった。
与党は17日に医療制度改革関連法案を強行採決したばかり。小泉純一郎首相も同日の党首討論で「審議には十分時間をかける」と約束しており、再びとなれば「巨大与党の横暴との批判を招きかねない」(国対幹部)との判断があった。
また会期末が6月18日に迫ったこの時期の国会空転となれば、重要法案処理に影響が及ぶのは必至。与党は表向きの強気を装いつつ「軟着陸」の道を選択した。一方の民主党は、共謀罪をめぐる党の主張には「世論の後押しがある」とみて全面対決のシナリオを描いていただけに肩透かしを食った格好。国対幹部は「戦略の練り直しが必要になった」と漏らす。
民主党は、対象となる犯罪を「5年超の懲役・禁固」「国際的犯罪」に限定するよう主張、「丸のみしていただければ賛成する」(鳩山由紀夫幹事長)と譲らない構え。ただ、与党側は「国際的組織犯罪集団の活動の未然防止にならず、条約の規定にも反する」と反論し、隔たりは大きい。
「必ず成立させなければならない」(細田博之・自民党国対委員長)との姿勢を崩していない与党は、修正協議を続けつつ来週以降、世論の動向もにらみ採決のタイミングを見極める構えだ。
■共謀罪
殺人など重大犯罪の実行行為がなくても謀議に加わるだけで処罰可能となる罪。2000年に国連が採択し政府が署名した「国際組織犯罪防止条約」が参加国に創設を求めた。政府は03年の通常国会に法案を提出したが、日弁連は構成要件が分かりにくく、犯罪とは無関係の市民団体も規制されかねないと批判。野党の反対により継続審議や廃案を繰り返し、3回目の提案となった昨年の特別国会で継続審議になっていた。
=2006/05/20付 西日本新聞朝刊=
2006年05月20日10時49分
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ご存知のとおり、5月19日の法務委員会における共謀罪の強行採決は回避されました。首相官邸筋からの働きかけがあったことは間違いありません。
数の上だけでは、何でも出来る筈の巨大与党を躊躇させたものは何でしょうか?
可能性① 世論の後押しを受けて民主党が審議拒否にはいると行革関連法案の成立が危うくなる
可能性② 10月の神奈川16区補選への悪影響
可能性①だとすれば、行革関連法案が参議院本会議を通過してしまえば、与党は心置きなく、強行採決が出来ることになります。そうすると、5月26日以降、再び危険水域へと突入です。
可能性②だとすれば、世論の関心を共謀罪に引き付けている限り、10月までは採決を引き延ばすことが出来ますから、共謀罪を廃案にする可能性は残されている訳です。
さらに、世論を沸き立たせることが出来れば、共謀罪を来年の参議院選挙の争点にすることが出来るでしょう。
自民党が歴史的な大勝を飾った、昨年の衆議院選挙では、共謀罪は争点にはなっていませんでしたから、共謀罪は、初めて、民意の判断を仰ぐことになる訳です。
可能性①については、どう対処できるのか分かりませんが、可能性②であれば、まだまだ逆転の見込みはあります。強行採決回避で、反共謀罪のキャンペーンの矛先を鈍らせれば、まさに巨大与党の思う壷です。この盛り上がりを、何とか来年まで続け無くてはなりますまい。
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