【バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会】コミック・PCゲーム・アニメ 児童ポルノ対策強化 警視庁要請へ【最終報告書】
コミック・PCゲーム・アニメ 児童ポルノ対策強化 警視庁要請へ
インターネット社会が子供の健全な成長に与える影響を調査、対策を検討していた警察庁の研究会が25日、子供を性行為の対象とするコミックやパソコンゲーム、アニメなどについて、「悪質性や反社会性の高いものがみられる」と指摘する報告書をまとめた。報告書は、犯罪を誘発している実態にも踏み込んでいる。これを受け同庁はコミックなどを扱う業界に自主審査や販売規制などの対策強化を要請する。
報告をまとめたのは、警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」(座長・前田雅英首都大学東京都市教養学部長)。
報告書は、「コミック類の中には、18歳未満ととれる子供に対する性行為を扱ったものがあり、小学生と受け取れるような子供に対する性行為などを描写したものもある」と指摘。
これらの作品がもたらす弊害として、子供に対する性行為は社会的に容認されている-などの誤った認識を招く可能性があることを懸念し、コミックの影響が指摘された実際の性犯罪の実例を挙げた。
また、報告書は幼い子供を描いたポルノコミックがインターネットの書籍販売サイト(サイト書店)で公然と販売されている実情に着目。大手のサイト書店のサンプル調査(11月)の結果、販売された成人向けコミック約9000点の3割が子供を性行為の対象としていると推測している。アニメ(16%)やゲーム(12%)より比率が高い。
研究会は報告書をまとめるにあたり、こうした成人向けコミック類を扱うサイト書店の大手6社にヒアリング調査への協力を申し入れたが、いずれも欠席。書店側は、最近になって一部の社を除き、書面で回答したが、調査に必要と想定していた質問への十分な回答は得られなかった。
研究会はまた、対策の現状について、警察の取り締まりには限界があるとして、13歳未満の子供との性行為は刑法の強姦(ごうかん)罪となることや、18歳未満でも淫行(いんこう)を処罰する条例に違反することを、販売の際にコミック類に明記するなどの取り組みを検討すべきだとした。
12月26日8時0分配信 産経新聞
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ダイレクトに法規制という方向に行かなかったことは、進歩であり、一定の評価には値します。
(以下の引用部分は、原報告書ではなく、産経新聞の記事に依拠。手抜きごめんなさい)
しかしながら、「報告書は、『コミック類の中には、18歳未満ととれる子供に対する性行為を扱ったものがあり、小学生と受け取れるような子供に対する性行為などを描写したものもある』と指摘。これらの作品がもたらす弊害として、子供に対する性行為は社会的に容認されている-などの誤った認識を招く可能性があることを懸念し、コミックの影響が指摘された実際の性犯罪の実例を挙げた。」という点に関する報告はあいかわらず、ミスリーディングな点があると考えます。
(1)個別の事件で、「コミック」が「引き金」となったかどうかは実は重要ではありません。重要なのは、「コミック」に関係なく発生した犯罪の件数、及び、「コミック」読者全体の中で犯罪に走った者の割合です。コミック以外の「引き金」となった要因の分析も当然、必要です。「コミック」を「引き金」と判断した根拠の分析も必要です。犯罪者が自ら犯した犯罪の原因について、罪責を軽くするため、外部的な要因に転嫁する傾向が強いことを考えると、本人の供述だけから「引き金」を「コミック」であると断定することは危険です。
「コミック」が「引き金」となった事件ばかりをとりあげて、規制を主張する姿勢は、「治った」体験談ばかりを紹介した上で、怪しげな健康食品を販売する業者と同じように欺瞞的なレトリックであると言えるのではないでしょうか?
(2)コミックなどの代替的な性メディアにより、性欲が解消され、結果的に犯罪が防止されるという観点が欠落していることは疑問です。むしろ、性メディアにより暴発が防がれているのではないか?という観点からの検討をして欲しかったことです。
⇒ 参照記事 【続】【日本テレビ4月10日ニュース】バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会
(3)コミックに向けられる性的な欲望と現実の人間に向けられる性的な欲望は同一のものと言えるのでしょうか?
この辺は、私は医学や心理学などの素人なので、精神科医である斉藤環氏の法廷における証言を参照して頂きたいと思います。
⇒① ② ③ ④
(4)犯罪を行なうことと、犯罪について表現することの違いの区別はつけて欲しいです・・・。エロマンガを読んで、子供に対する性行為は社会的に容認されていると思う大人がいるとすれば、それは、その人のリテラシーの問題であって、マンガの問題ではないでしょう・・・。
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