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<光母子殺害>橋下氏に賠償命令 元少年の弁護士への発言で

<光母子殺害>橋下氏に賠償命令 元少年の弁護士への発言で

 

山口県光市の母子殺害事件(99年)を巡り、橋下徹弁護士(現・大阪府知事)のテレビ番組での発言で懲戒請求が殺到し業務に支障が出たなどとして、被告の元少年の弁護士4人(広島弁護士会)が計1200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、広島地裁であった。橋本良成裁判長は「橋下氏の発言と懲戒請求との間に因果関係があることは明らか」として橋下氏に1人当たり200万円、計800万円の支払いを命じた。

(中略)

橋下氏側は「懲戒請求は(請求者の)自発的意志に基づくもの」として発言との因果関係を否定していた。

 判決は、名誉棄損について「原告の客観的評価を低下させる」などと認定。発言と損害の因果関係については「番組放送前に0件だった原告への懲戒請求が放送後に急増したのは、発言が視聴者に懲戒請求を勧めたためと認定できる」と指摘。「弁護団が元少年の主張を創作したとする証拠はなく、橋下氏の憶測に過ぎない」などと発言は違法と断じた。

 また、弁護士の役割について「被告のため最善の弁護活動をする使命がある」とし、「弁護団が非難を受ける筋合いではない。橋下氏は弁護士として当然これを知るべきだった」と批判した。

(中略)


<判決骨子>

◆名誉棄損にあたるか

 懲戒請求を呼びかける発言は、原告の弁護士としての客観的評価を低下させる。

◆懲戒制度の趣旨

 弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命も有する。多数から批判されたことをもって、懲戒されることがあってはならない。

◆発言と損害の因果関係

 発言と懲戒請求の因果関係は明らか。

◆損害の有無と程度

 懲戒請求で原告は相応の事務負担を必要とし、精神的被害を被った。いずれも弁護士として相応の知識・経験を有すべき被告の行為でもたらされた。

 ◇「根拠ない請求」は違法=解説

 テレビを通じて懲戒請求を促した発言の違法性が問われた裁判で、広島地裁は橋下氏が単なるコメンテーターではなく、懲戒請求の意味を熟知した弁護士だったことで極めて厳しい判断を示した。また光母子殺害事件報道についても、弁護団が「一方的な誹謗(ひぼう)中傷の的にされた」として苦言を呈した。

 根拠がないことを知りながら懲戒請求するのは違法とした最高裁判決(07年4月)があり、個々の請求者には根拠を調査・検討する義務がある。原告側によると、今回の請求の中には署名活動感覚で出されたものが多く含まれていた。橋下氏は視聴者に呼びかけながら自らは請求しなかったが、判決は橋下氏が弁護士である以上「根拠を欠くことを知らなかったはずはなく、不法行為に当たる」と断じた。

 弁護士法では、懲戒請求は弁護士の品位を保つためにあり、数を頼んで圧力を掛けることは想定していない。懲戒請求で弁護活動が萎縮(いしゅく)すれば被告の権利に影響が出る。それゆえ最高裁判決も「根拠のない請求で名誉、信用などを不当に侵害されるおそれがある」と請求の乱用を戒めている。

 報道姿勢に関しては、問題の番組は録画にもかかわらず、発言をそのまま放送した。専門家は「弁護団の主張に違和感があっても、『気に入らないから懲らしめろ』では魔女狩りと変わらない。冷静な議論をすべきだった」と警鐘を鳴らす。橋下氏と同時に、メディアの責任も問われた。【矢追健介】

10月2日10時22分配信 毎日新聞
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○国民に懲戒請求という制度の存在ないし意義を説明することと、特定の弁護士に対する懲戒請求を呼びかけることは全くの別物なので、当然の結論ではないでしょうか。

○弁護士の職責が少数者の人権擁護を目的とすることも多いこと、世論、多数派の意見から独立してその職責を行う必要性があることを裁判所が正面から受け止めたことは高く評価します。

○もう一つ、重要なのは、

弁護団が元少年の主張を創作したとする証拠はなく、橋下氏の憶測に過ぎない

という認定です。弁護団の「元少年の主張創作疑惑」は裁判を通じて晴れたとも言えます。光市弁護団の名誉も幾分か回復されたと言えるでしょう。

○橋下徹弁護士自身も大阪弁護士会に対する懲戒請求を受けていた筈です。この判決は、大阪弁護士会の判断に対しても影響すると思います。弁護士会の判断が注目されるところです。

○「懲戒請求は(請求者の)自発的意志に基づくもの」という反論は、橋下徹発言の影響力を考えれば、責任転嫁以外の何物でもありません(個々の懲戒請求者について不法行為が成立することを否定する趣旨ではありません)。霊感商法や先物被害事件における加害者側の反論を彷彿とさせるものです。

○同業者としては、橋下徹弁護士自身が提出した答弁書や準備書面の内容を読んでみたいと思います。


<参照条文 弁護士法>
(懲戒事由及び懲戒権者)
第56条 弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があつたときは、懲戒を受ける。
2 懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。
3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。

(懲戒の種類)
第57条 弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。
 一 戒告
 二 二年以内の業務の停止
 三 退会命令
 四 除名
2 弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。
 一 戒告
 二 二年以内の弁護士法人の業務の停止又はその法律事務所の業務の停止
 三 退会命令(当該弁護士会の地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対するものに限る。)
 四 除名(当該弁護士会の地域内に主たる法律事務所を有する弁護士法人に対するものに限る。)
3 弁護士会は、その地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して、前項第二号の懲戒を行う場合にあつては、その地域内にある法律事務所の業務の停止のみを行うことができる。
4 第二項又は前項の規定の適用に当たつては、日本弁護士連合会は、その地域内に当該弁護士法人の主たる法律事務所がある弁護士会とみなす。

(過去記事)
橋下弁護士を提訴へ 光母子で「懲戒呼び掛け」

【続】橋下弁護士を提訴へ 光母子で「懲戒呼び掛け」

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Comments

橋本弁護士も良くないですが、
安田と足立弁護士も悪いんですよ!
分かりますか?
この前も、安田弁護士は、
被害者感情を無視する講演もしましたし。
なんで、死刑反対するのは勝手だけど、
被害者をバカにするのはどうなんでしょうね!

Posted by: ねこまろ | October 09, 2008 at 10:56 PM

>被害者感情を無視する講演もしましたし。
>被害者をバカにするのはどうなんでしょうね!
それは被害者が名誉毀損で告訴すれば済む話なのでは?

我々が被害者に成り代わる資格は無いですから。

Posted by: 国賊認定団体『珍軍(日本平和神軍)』討伐隊隊士 | October 28, 2008 at 03:47 PM

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Posted by: weight loss | October 02, 2010 at 09:05 AM

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