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「脳死を一律死にしないで」=慎重な議論求める-移植法A案反対の遺族ら

「脳死を一律死にしないで」=慎重な議論求める-移植法A案反対の遺族ら

 臓器移植法改正でA案が衆院で可決されたことについて、反対する遺族や市民団体が18日午後、衆院議員会館で記者会見し、「脳死を一律に人の死としないで」などと訴え、参院での慎重な議論や廃案を求めた。
 「わたしは死体と寄り添っていたの?」。中村暁美さん(45)は本会議場で、長女有里ちゃんの写真を忍ばせ見守った。有里ちゃんは3年半前、原因不明の急性脳症に襲われ、医師から「脳死」を宣告された。しかし、「温かい体があり、成長する体がある」と、2007年9月に4歳8カ月で他界するまでの約1年9カ月にわたり付き添った。
 「心臓が動かなくなり、体が冷たくなって初めて家族は今旅立ったんだと感じた。脳死は死の宣告ではなかった」と語った。
 議員にも実体験を通じて理解を求めたが、「直前まで『迷っている』と言っていた議員が堂々とA案に投じていた」といい、「むなしさがこみ上げてきた。この瞬間から娘は無になってしまうのか」と涙ぐんだ。
時事通信(2009/06/18-18:41)

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私自身、「脳死=人の死」とすることの是非について結論は出ていないのですが、一弁護士として素朴に考えますと、

【相続】
 死亡により相続が開始します。脳死と判定されても、心臓や呼吸を機器によって続けている場合、脳死状態で呼吸している人体をしり目に相続や遺産分割の話が進むことになります。

【相続放棄】
 相続人が全員相続放棄をしたとします。その場合、脳死状態で呼吸している人体の世話(管理?)は誰がするんでしょうか?病院としても置きっ放しにされても困るでしょうし。

【殺人】
 脳死となった時点で遺体になります。まだ、脳死状態で呼吸をしている暖かい人体の首を絞めようが、動いている心臓を止めようが、 殺人とはならない(死体損壊等は成立するでしょう)、ということになります。
 同様に、脳死状態で呼吸をしている暖かい人体を捨てたとしても、死体遺棄にしかならないということになります。

【火葬】
 脳死状態で呼吸をしている暖かい人体を火葬場の炉の中に入れてもいいことになりそうです。

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【霊感商法】高額印鑑販売事件、統一教会の地域組織を捜索…警視庁【統一協会】

高額印鑑販売事件、統一教会の地域組織を捜索…警視庁

 「先祖が地獄で苦しんでいる」などと不安をあおって高額の印鑑を販売したとして、世界基督教統一神霊協会(統一教会)信者ら7人が特定商取引法違反(威迫・困惑)容疑で逮捕された事件で、警視庁は17日、統一教会の地域組織「南東京教区本部」(東京都渋谷区)を同容疑で捜索した。

 同庁幹部によると、逮捕された渋谷区の印鑑販売会社「新世」の社長、田中尚樹容疑者(51)が以前、教区本部の運営部長の立場にあり、同社が顧客情報などを同本部に報告していたという。

 同本部は、全国を12地域に分割した統一教会の地域組織の一つ。同庁では、同社は教区本部と一体の関係だったとみており、統一教会との関係についても調べている。
(2009年6月17日14時06分 読売新聞)
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警察の捜査の進展を歓迎しますが、統一協会本部には捜査のメスが入らないことに疑問を感じます。

他の団体と違って、統一協会は「宗教弾圧だ!」とは叫べません。「いかなる営利事業も行っておらず、当宗教法人と新世とは関係がない」(毎日新聞の記事より)というスタンスを維持しているからです。

刑事事件対策のために、「宗教弾圧だ!」と叫び始めると、民事訴訟で使用者責任の認定が容易になってしまいます。ますます、訴訟で敗訴するようになります。刑事を立てれば、民事が立たず、嘘つきは大変です。

捜査当局が、「宗教弾圧」という批判を恐れて、統一協会本体に切り込むことに及び腰、というのではなさそうです。

警視庁が捜査に乗り出す前から、全国の警察は統一協会による霊感商法の摘発を続けて来ました。

捜査当局は、相当な量の証拠を押収している筈ですし、全国の警察は連携した上で捜査に乗り出しています。捜査の網を統一協会本部にまで広げるかどうかという問題が、法律と証拠により解決されうるものであれば、松濤の一等地にあるビルディングに捜査員はとうに踏み込んでいる筈です。

それでも、捜査の手が伸びなかった場合、その事実は何を意味するのか?

根拠はありません。推測するしかありませんが、統一協会本部へ捜査のメスを入れるかどうかが、捜査当局トップにとって、「高度な政治的判断」を必要とする問題に化けてしまっているという可能性が懸念されます。

周知のとおり、統一協会はいわゆる保守政治家に食い込んでいます。

統一協会はこれまでに培ったいわゆる保守政治家、特に、法務大臣経験者や警察OBなど捜査当局に影響力を及ぼしうる政治家をフル活用して、この危機を乗り越えようとしているのではないか、という危惧感を私は禁じえないのです。

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【統一協会】不安あおり印鑑販売した容疑…統一教会信者を逮捕【霊感商法】

不安あおり印鑑販売した容疑…統一教会信者を逮捕

 「運気が下がる」などと不安をあおって印鑑を販売したとして、警視庁は11日、いずれも世界基督教統一神霊協会(統一教会)信者で、東京都渋谷区、印鑑販売会社「新世」社長の田中尚樹(51)、同社幹部古沢潤一郎(40)の両容疑者ら計7人を、特定商取引法違反(威迫・困惑)の疑いで逮捕した。

 同庁によると、新世は販売実績や顧客情報を統一教会側に報告しているといい、同庁は同日朝から、統一教会の関連施設を捜索し、統一教会の関与についても調べを進める。

 同庁幹部によると、田中容疑者らは2007年10月~今年2月、JR渋谷駅周辺で声をかけて新世の事務所につれてきた女性5人に姓名鑑定をしたうえで、「印鑑を買わないと家族が不幸になる」と不安をあおったり、長時間足止めしたりして、印鑑1本~3本を16万円~120万円で購入させた疑い。

 同庁によると、同社は統一教会「南東京教区」の傘下企業で、田中容疑者が教区長に業務報告をするなどしていたことから、同庁では新世の販売活動が同教区の指示を受けていたとみている。新世については全国霊感商法対策弁護士連絡会(東京都新宿区)に、04年以降、14人から「印鑑を無理やり買わされた」などの相談が寄せられ、約840万円の被害が確認されている。

 同庁は新世が00年1月~今年1月、印鑑約2000本を販売し、約7億円を売り上げたとみている。

 統一教会広報部は「統一教会は営利事業をしておらず、新世とは関係ありません」とコメントしている。
(2009年6月11日14時12分 読売新聞)
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「宗教弾圧!」と叫びたいが、「無関係!」と主張しているが故に叫べないんでしょう。

統一協会側としては弁護士を立てて必死に被害者と示談をしようとするでしょう。現役信者の福本修也弁護士は大忙しではないでしょうか。示談が成立しようがしまいが、起訴するという結論になることを強く望みますが、これは、事前に警察と検察との間にどれだけのネゴが取れているかによるでしょう。

一抹の不安が残るには、公安部による捜査だということです。公安部は情報収集目的のための捜査をすることがよくあります。

もう一つの不満は、特定商取引法違反という行政法規違反による摘発だということです。霊感商法はスピリチュアルな詐欺、恐喝だと考えています。詐欺罪、恐喝罪という本来の罪状により、統一協会が立件される日が来ることを待ち望んでいます。

良い機会ですから、皆様も統一協会本部、霊感商法の総本山を見に行かれてはいかがでしょうか?

東京都渋谷区松濤1丁目1番2号に世界基督教統一神霊協会の本部ビルはあります。

宮坂ビル(東京都渋谷区宇田川町37-17)というビルがあります。ここの地下1階には、愛美書店という書店がありますが、統一協会系の書店です。統一協会関係の書籍が充実しています。

道を挟んだ反対側、トツネビルの3階には、光言社(※注 「巧言社」ではありません!)という統一協会の書籍を出版する出版社が入っています。ちなみに、ここの2階には、アップリンクXという渋い映画館がありますが、ここは統一協会とは無関係です。

トツネビルの隣には、宮坂ビル(東京都渋谷区宇田川町37-17)というビルがあります。ここの地下1階には、愛美書店という書店がありますが、統一協会系の書店です。統一協会関係の書籍が充実しており、光言社(※注 「巧言社」ではありません!)の書籍を買うことができます。宮坂ビルでは、南東京教区の研修が行われたりもしています。「新世」で印鑑を買わされた被害者の中には、宮坂ビルで研修を受けさせられた方もいたそうです。「新世」と統一協会の関係は明らかです。


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 霊感商法、宗教トラブル、スピリチュアル関係のご相談、情報提供は、全国霊感商法対策弁護士連絡会までお願いいたします。

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【講演のご案内】「キャンパス内における勧誘と信教の自由」 【関西学院大学】

2009年度大学主催春季人権問題講演会開催(山口貴士氏)

総合テーマ Culture of Human Rights 人権文化を育む(2005年度から2009年度)


日 時: 6月25日(木) 午後1時30分~午後3時00分
場 所: 関西学院大学 上ヶ原キャンパス 大学図書館ホール
講 師: 山口貴士氏 (弁護士日本脱カルト協会理事)
題 目: 「キャンパス内における勧誘と信教の自由」

■講演内容
 本講演でテーマとする人権は「信教の自由」と「自己決定権」です。
 いわゆるカルト的な団体、特に宗教団体によるキャンパス内勧誘が社会問題化しています。カルト的な団体も発展・拡大のためには、新たな人材を必要としています。優秀な若者が大勢いるキャンパスはカルト的な団体の草刈り場になっています。企業や政府機関、公共団体に求められる学生はカルト団体からも求められます。カルト的な団体は実体を隠して近づいて来て、学生は自覚のないまま絡め取られます。
 本講演においては、カルト的な団体による勧誘行為こそが、勧誘される側の信教の自由、自己決定権に対する重大な侵害であるという視点を打ち出したいと考えています。また、学生の信教の自由、自己決定権を守るために大学が取りうる方策、既に勧誘されてしまった学生の「信教の自由」、「自己決定権」を回復するために大学が出来ることは何か、対策の限界、学外の専門家との連携・役割分担のあり方についても問題提起をしたいと思います。

*本講演会では手話通訳、パソコンテイクによる情報保障を予定しています。
  また、録音、録画を行い図書館資料として保存しますのでご活用下さい。

ポスターのダウンロードはこちら → 「2009.pdf」をダウンロード

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