【児童ポルノ法】児童ポルノ「単純所持」禁止…民・自・公が改正案【最新の情勢】
児童買春・児童ポルノ禁止法をめぐり、民主、自民、公明の3党が、児童ポルノを個人が取得したり保管したりする「単純所持」を新たに禁止する改正案をまとめた。社民党などの了解を得た上で、今国会中にも提出することを目指す。
同法はすでに、児童ポルノの「製造」「販売」は禁止しているが、「単純所持」は禁じておらず、児童ポルノの拡散が止められない原因として国際社会から批判を受けていた。改正案では、性的好奇心を満たす目的で所持や保管をしたことが明確な者については「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科すこととした。
3党は今年7月には、「所持禁止」でほぼ合意に至っていたものの、総選挙で協議が中断していた。民主党には、「所持を処罰対象とすれば、捜査権の乱用につながりかねない」として慎重な意見が強かったが、過去に取得したポルノについては処罰対象から外すことで合意した。今後、慎重論の根強い社民党の了解を得て、全会一致での成立を目指す意向だ。
(2009年11月17日15時17分 読売新聞)
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現在の議論については、社民党の保坂展人前衆議院議員による議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではないをご参照下さい。
新聞報道には出ていない、「改定案」の中身が明らかにされています。
議論の進展状況については、読売新聞以外では報道されていません。情勢は極めて流動的です。⇒New! 2009.11.17 18:41 の時点では、読売新聞のリンク先の記事が消えています!ひょっとしたら、誤報だったのでしょうか?
論点は多々ありますが、単純所持規制については、
>改正案では、性的好奇心を満たす目的で所持や保管をしたことが明確な者に
>ついては「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科すこととした。
では、単純所持規制に伴う懸念は決して払拭されるものではありません。
この点については、社民党の保坂展人前衆議院議員が、ご自身のブログの記事である議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではないにおいて的確な論評をされているので、ご参照下さい。
すると、この修正合意でも懸念が残る点がいくつかある。所持・保管については、共同所持により処罰範囲が拡大する恐れがある。「所持(保管)」概念は、日常用語とは違い、「事実上自己の支配下におくこと(自己の実力範囲内におくこと)」を広く意味している。児童ポルノを直接に管理していなくても、家族や友人等が児童ポルノを「所持(保管)」している場合に、「共同所持」を理由に強制捜査を行うことも可能になる。実際、単純所持規制を導入している薬物所持事犯ではよくあることだが、家族や同居人が所持している場合に、無関係の家族や同居人も共同所持を理由として検挙されることがある。これらのケースでは結果として不起訴になる場合が多いが、ハレンチ罪として「身柄拘束」され、大々的に報道された場合には、社会的な生命は抹殺され、名誉回復は困難になる。
国家権力が、出版社やメディアに対する統制の手段として悪用することも考えられる。例えば、政界や官界の腐敗を追及する雑誌を刊行している出版社であれば、過去の刊行物の中に、「児童ポルノ」と見做されかねない刊行物があった場合や、メディアに取材資料としての「児童ポルノ」があった場合、あるいは、被取材者が持ち込んだ場合などに記者やスタッフに対する摘発も可能になる。
これらの懸念は、民主党提案の取得罪であれば払拭可能だということも強調しておきたい。取得罪の場合には、共同行為が「取得」に向けられていることを立証しなくてはならず、たまたま、巻き込まれる可能性は相当程度薄れるからだ。
解散前と違って、今や自民・公明は少数だ。なぜ、民主党が主張してきた「取得罪」を堂々と押し通さないのか疑問だ。法律で「反復・継続して取得」と書けば、過去にさかのぼり購入した雑誌・本・DVDの所持や、パソコンに送付された添付ファイルで「犯罪者」に仕立てあげられることはない。そこは、「所持罪」という犯罪を新設し人を縛る法律だから厳密に議論してほしい。
なお、単純所持の問題点以外についても、議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではないにおいて展開されている議論は、どれも極々真っ当なものであり、私も賛成いたします。
単純所持の導入が決まったわけではありません。
ぎりぎりの攻防が続いています。
自民党と民主党については、それぞれ、党内の足並みは、揃っていないようです。まだまだひと悶着あるのではないでしょうか。これだけ、問題点の多い法案について、まともな審議もせずに、全会一致で可決しようとすること自体が間違っています。
公明党は多分、結束乱れずに規制強化の方向の様子です(推測)。
>社民党などの了解を得た上で、今国会中にも提出することを目指す。
社民党は、党の方針として規制強化に反対してくれています。連立与党の一角を占める社民党が踏ん張れば、今回の「改正」は止められます。
共産党、国民新党の動きは分かりませんが、「など」とある以上、この2党の意向も無視できないのでしょう。
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Comments
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Posted by: Free music downloads | April 03, 2015 05:26 PM