« January 2010 | Main | April 2010 »

【ミスリーディングな記事】児童ポルノ:日弁連、「単純所持」禁止 規制で方針転換?【毎日新聞】

児童ポルノ:日弁連、「単純所持」禁止 規制で方針転換

 児童買春・児童ポルノ禁止法の改正をめぐり、日弁連は児童ポルノ画像を個人で見るためだけに所有する「単純所持」を禁止すべきだとの意見書をまとめた。捜査機関の権力乱用を防ぐ観点から規制強化に慎重な立場だったが、インターネット上などで児童の性的虐待画像がはんらんしている現状を憂慮し、姿勢を転換した。意見書は23日、関係省庁や各政党などに提出する。

 日弁連は、前回の法改正時にまとめた03年の意見書で「(画像の)流通抑制は製造、販売の厳格な摘発などによるべき」だとし、単純所持の規制に反対した。現在でも内部には「取り調べ可視化さえ実現していない段階で、捜査権力を拡大するのは危険」との意見がある。このため新たな意見書では処罰規定までは求めず、禁止明確化を求める。【丹野恒一】

毎日新聞 2010年3月21日
-----------------------------------

毎日新聞の記事は重要な点を故意に隠しています。

日弁連の意見書のうち、重要な点は以下の下線部ですが、毎日新聞の記事は触れていません。
特に、単純所持禁止(罰則なし)の大前提は、児童ポルノの定義の限定かつ明確化です。これは、自民党、公明党を始めとする規制推進派の論調とは全く異なるものです。


意見の趣旨
1 現行法における児童ポルノの定義を限定かつ明確化すべきである。
2 現行法の児童ポルノの定義を限定かつ明確化したうえで,児童ポルノの単純所持を禁止すべきである。ただし,犯罪化することには,反対する。

(以上、日弁連の意見書第1頁)


定義の明確化と限定の要点は,以下のとおりである。

① 児童ポルノを規制することにより守るべき法益は,被写体となる児童の人権ないし権利(身体的自由,精神的自由,性的自由,性的自己決定権,プライバシー権,名誉権,成長発達権等)であって,善良な風俗ではない。したがって,児童ポルノの定義は,この法益を守るために必要十分なものでなければならない。この観点からは,児童ポルノの定義に見る側の主観的要件を入れることは適当ではない。

芸術的価値があるものや学術研究目的・報道目的で収集した資料は,児童ポルノの定義から明示的に外すべきである。

自分の子どもの乳幼児時代の裸体や水着を着ている姿態が児童ポルノに含まれると解釈される余地のない定義にすべきである。

(以上、日弁連の意見書第3頁)


3 立法事実が薄弱

そこで,問題は,現時点において,児童ポルノの単純所持を処罰する立法事実があるか否かであるが,否というべきである。

(以上、日弁連の意見書第3頁)



第4 単純所持の禁止を明記すること

1 児童ポルノの定義を改正して,この定義が客観的に明確化し,かつ限定的にしたうえで,児童ポルノの単純所持を,違法行為であることを法律上明文で宣言し,これを禁止することが必要であると考える。

(以上、日弁連の意見書第6頁)


また、方針を転換というのも、正確な表現ではありません。

日弁連の2003年2月21日付意見書には、


5 児童ポルノの単純所持は処罰の対象とすべきでない。

児童ポルノの定義が曖昧であり、単純所持にまで処罰を拡大することにより、処罰範囲が捜査機関の主観により拡大する危険がある。児童ポルノの流通の抑制は、営利目的による製造、販売の厳格な摘発、処罰と、教育啓発活動によるべきである。

上記選択議定書にも、単純所持処罰を義務づける条項はない。

とあります。前回の意見書には、処罰なしの所持禁止についての言及はありませんし、単純所持を処罰することへの反対の方針は一貫しています。定義を客観的に明確にした上での、処罰なしの単純所持禁止を求めたとしても、方針転換とは言えません。

| | Comments (19) | TrackBack (0)

【継続審議】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【戦いは終わっていない】

 6月まで時間があるのですから、改正案に反対するだけではなく、現行の東京都青少年の健全な育成に関する条例(東京都青少年健全育成条例)を徹底的に洗い直し、改善しうる点があるかどうかを検討すべきです。

 私は、そもそも、理念において、不健全(有害)図書指定制度自体について懐疑的です。ですが、東京都青少年健全育成条例については、事業者による自主規制の尊重を明記しており、問題はありますが、表現の自由を尊重する形での運用に向けた努力がなされてきたことは、一定の評価をしたいと思います。

 これまでの運用の流れからは、今回のような異常な条例案は出て来ない筈です。では、何があったのか?

 前回の東京都青少年健全育成条例の「改定」は2004年のことでした。実は、2004年の条例改定後、青少年条例の担当部局が従来の生活文化局から、新設された青少年・治安対策本部に移管されています。青少年問題の取り組みが福祉的対応から取締りを基本にした治安問題として扱われるようになりました。そうです、不健全図書制度は、このときに、青少年への福祉的な配慮を前提とした制度から、「治安を乱すものへの取締まり」という観点から行われるようになったのです。青少年・治安対策本部および本部内の青少年課には、警察庁から出向した職員が存在します。彼らが、今回の「改正」案作成の原動力となっています。

 表現の自由やインターネットは本来自由であるべきものです。他の人権とのバランスや調整は必要ですが、表現の自由やインターネットの問題を警察や警察と関係性の強い部署に委ねるべきではありません。

 東京都青少年健全育成条例の担当部署は、青少年・治安対策本部以外にすべきです。そうしないかぎり、今回のような「改正」案は、何度でも出しなおされてくるでしょう。

その上で、

 青少年問題協議会の議論は公開(傍聴を許す)にすべきです。

 青少年健全育成審議会の審議も公開にすべきです。

 青少年健全育成審議会の委員の人事は議会同意人事にすべきです。

 青少年健全育成審議会の委員からは東京都の職員と警察関係者は外すべきです。

 パブリックコメントの内容は全て公開すべきです。

情報公開を党是とする民主党は乗り易いのではないかと思うのですが、どうでしょうか?

| | Comments (33) | TrackBack (3)

【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 3(シンプル・イズ・ベスト版)

議員さんに話をするときは、コンパクトにまとまった資料が必要ですからね。これまでの議論のエッセンスだけを纏めた、すっきりバージョンの論点整理を造って見ました。

⇒ 論点を網羅した(と思う)ロングバージョン「【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 2

⇒ 【3月15日】【告知】東京都による青少年健全育成条例改正案と『非実在青少年』規制を考える。【記者会見とイベント】も忘れずに!

------------------------------------------------
1.定義が曖昧なままでの児童ポルノ規制は問題

⇒ 地方自治体に過ぎない東京都が、定義が曖昧で広範だという批判の強い児童ポルノ禁止法の定義を前提として、児童ポルノ規制をするのは問題。国会においても定義も含めて見直し論議のあるところであり、その議論の行方を見守るべきである。

⇒ 児童ポルノ禁止法が敢えて禁止していない「単純所持」について禁止することは、条例制定権を法律の範囲内に制限した憲法94条に反する疑いもある。

⇒ 現行の児童ポルノ禁止法の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」(同法2条3項3号)は、定義が幅広くて曖昧すぎる。海で自分の子どもの水着を撮影した写真も児童ポルノとされかねない。「性欲」の客観的判断も困難である。年齢についても、民法上16歳で婚姻が可能な状況下で、「18歳未満」では広すぎる。深刻な被害が問題とされているのは14歳未満であり、ドイツも14歳未満の者を児童と規定している。

2.実在しない青少年の性を描いた漫画等を規制対象とするのは問題であり、条例改定案「第七条第一項第二号」関係の条文、条例改定案「第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」はすべて削除すべき

⇒ 実在しない18歳未満の青少年(非実在青少年)の性を描写した漫画、アニメ、ゲーム等を規制するのは、表現の自由を著しく損なう。

⇒ 創作物における登場人物は設定年齢よりも幼く見えることや年齢不詳の場合も多く、過剰反応を引き起こしたり、出版物の著作者や発行者への検閲や弾圧につながったり、表現の自由を阻害するおそれが大きい。

⇒ 見た目の年齢は絵柄や作風にも左右される

3.現行条例の運用で十分。業界による自主的な取り組みを尊重すべき

⇒ 図書類の青少年への販売規制は現行条例の運用で十分。業界による自主的な取り組みを尊重すべき。定義が曖昧なままで「児童ポルノ」を規制したり、非実在青少年の性を描写した漫画等を規制したりすることは、表現の自由を著しく損ない、コンテンツ産業を衰退させるなどの弊害を招くだけである。

| | Comments (60) | TrackBack (5)

【3月15日】【告知】東京都による青少年健全育成条例改正案と『非実在青少年』規制を考える。【記者会見とイベント】

<東京都による青少年健全育成条例改正案と『非実在青少年』規制の問題点について>

【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 3(シンプル・イズ・ベスト版)
【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 2

【記者会見を行います!】

<日 時>
2010年3月15日 正午~

<場 所>
東京都庁記者クラブ(東京都庁記者クラブ)
都庁第一庁舎6階

<テーマ>
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例案(第30号議案)」の問題点について

<備 考>
午前11時20分頃から都議会民主党からのヒアリングに出席し、その後に行われます。

New! 3/12
都庁記者クラブの会員ではないメディアの方、フリーランスの方も是非お越し下さい。


<記者会見に参加予定の人々(敬称略)>

竹宮惠子(漫画家・京都精華大学マンガ学部学部長)

里中満智子(マンガ家・(社)漫画家協会常務理事・マンガジャパン事務局長・デジタルマンガ協会副会長・内閣官房知的財産戦略本部本部員・大阪芸術大学キャラクター造形学科教授・文化庁文化審議会委 員・文部省中央教育審議会委員、他)

ささやななえ(漫画家 代表作:児童虐待防止法成立に力のあった「凍りついた瞳」)

森川嘉一郎(明治大学国際日本学部准教授、ヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館展示「おたく:
人格=空間=都市」(コミッショナー))

呉智英(評論家、日本マンガ学会会長、京都精華大学客員教授)

藤本由香里(評論家 明治大学国際日本学部准教授 文化庁芸術選奨推薦委員 国立国会図書館納本制度審議会委員)

山口貴士(弁護士・当ブログ主宰者)


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

【記者会見後にイベントを行います!】

<イベント名>
「東京都による青少年健全育成条例改正案と『非実在青少年』規制を考える。」

<主 宰 者>
「東京都青少年健全育成条例改正を考える会」(代表者:藤本由香里)
(協力) コンテンツ文化研究会

<日  時>
2010年3月15日 14:00~16:00

<場所>
都議会議事堂 2F 第二会議室

2010.3.12 New!
<イベント参加予定者>

竹宮惠子(漫画家・京都精華大学マンガ学部学部長)

里中満智子(マンガ家・(社)漫画家協会常務理事・マンガジャパン事務局長・デジタルマンガ協会副会長・内閣官房知的財産戦略本部本部員・大阪芸術大学キャラクター造形学科教授・文化庁文化審議会委 員・文部省中央教育審議会委員、他)

森川嘉一郎(明治大学国際日本学部准教授、ヴェネツィア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館展示「おたく:
人格=空間=都市」(コミッショナー))

藤本由香里(評論家 明治大学国際日本学部准教授 文化庁芸術選奨推薦委員 国立国会図書館納本制度審議会委員)

2010.3.13 New!
さそうあきら(マンガ家・京都精華大学准教授)
永井豪(マンガ家・文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員)

も参加して頂けることになりました。

2010.3.14 New!
呉智英(評論家、日本マンガ学会会長、京都精華大学客員教授)

も参加して頂けることになりました。

山口貴士(弁護士・当ブログ主宰者)


<アクセス>
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
都営地下鉄大江戸線「都庁前駅」A3出口より徒歩1分
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/outline/map.html

<取材について>
こちらのイベントでも取材を受け付けています。記者クラブでの記者会見で取材が出来なかった方もどうぞ。

| | Comments (54) | TrackBack (5)

【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 2

「東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案」を見やすくしてみました。を参考に見て下さい。

見やすくしてみました。東京都の青少年の健全な育成に関する条例の改正案の問題点を指摘します。携帯のフィルタリングまで手が回っていません・・・。
-----------------------------------------

0 どんな条例なのか?

このあたりのページがよく纏まっています。

「法規制強化」だけで 違法/有害情報は減らせるか

漫画・アニメの「非実在青少年」も対象に 東京都の青少年育成条例改正案

http://d.hatena.ne.jp/marinba/20100307#20100307fn6

http://twitter.com/honeyhoney13

 東京都青少年健全育成条例の改正案の中には、「非実在青少年」(つまり実写でなく、マンガ・アニメ・ゲームに出てくる青少年)を性的に取り扱う表現への規制が盛り込まれています。

 これは、 「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」と規定されており、つまり設定が18才以上になっていても、「18歳未満(=青少年)に見えれば」、「青少年性的視覚描写物」として、「まん延の防止=追放」の対象にしてしまうというものです。いわゆる事業者だけではなく、都民一般にも、青少年がこれにアクセスしないように努力する義務を介しています。

 つまり、国の方で何度も改正(改悪)が話題に上りながらも、反対が多く先に進まないでいる「児童ポルノ法」における、「単純所持規制」(=とくに売買する意思を持っていなくとも、「児童ポルノにあたるもの」を単純に「持っている」だけで処罰対象とする規制)、「マンガ・アニメ・ゲームその他、実在の児童を被写体とせず、創作物として描かれる児童についても児童ポルノ法による規制の対象とする」というもくろみを、反対勢力の強い国会ではなく、比較的、行政側(知事)の権力が強く、行政サイドの提案する通りの内容の条例を制定しやすい地方自治体による条例で実現してしまおうという悪だくみの産物です。
 東京都にはメディア産業、IT企業が集中しており、東京都で規制をかけることは、全国レベルで規制をかけるに等しい効果がありますし、東京都で成立した条例は、そのコピー品が全国の自治体において同様の条例として可決されてしまうことは、過去の歴史が物語っています。


1 全体として、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言は絶対に削除すべきと考えます。青少年とは、18歳未満の者全てを指しますが、例えば、思春期以前と思春期後、義務教育修了前と修了後のように、各年代において性に関する健全な判断の基準は当然に異なる筈です。一律に判断することは、低い年齢に併せた健全性の判断がなされ、むしろ、成長に応じた性情報の受領が困難になるためです。「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を全て削除すべきと考えます。


2 「第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」は削除すべきと考えます。特定の児童の性的な自己決定権侵害を保護法益の本質とする「児童ポルノ」概念と、国親(パターなりスティック)的な観点から、青少年の自己決定権を制約する青少年健全育成条例は原理的に相容れないものであり、青少年健全育成条例に児童ポルノに関する規定を盛り込むことにより、かえって青少年の性的な自己決定権という児童ポルノの保護法益が不明確になるためです。


3 追加予定の第7条第2号は、

二 販売され、若しくは頒布され、又は閲 覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

範囲が極めて主観的かつ不明確であり、青少年と性をテーマとする作品であれば、全て該当しかねないものですので、当該条項を削除、定義の明確化を図り、あるいは、「著しく」等の制約文言を追加すべきと考えます。また、前述したとおり、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を削除すべきと考えます。


4 追加予定の第18条の6の2第2項、第4項、追加予定の第18条の6の3第2項、第18条の6の4第3項のように、

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都の責務) 第十八条の六の二 (略) 2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と運携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有す る。 4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。


(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
第十八条の六の三 (略)
2  事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするた めの適切な措置をとるように努めるものとする。

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 (略)
3  都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。


「青少年性的視覚描写物」に関する条項は全て削除すべきと考えます。
  「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止は、「青少年性的視覚描写物」を18歳以上のものが受容し、消費することについて公権力が否定的な評価を加え、これを追放せんとすることに他なりません。青少年健全育成条例は、あくまでも青少年の未熟さに注目して、その知る権利等について国親的な観点から制約を加えるものであり、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を制約するものであってはなりません。
 特定のカテゴリーに属する表現物について、18歳以上の者が自己の責任において受容し、消費することについて否定的な評価をすることは青少年健全育成条例の趣旨を逸脱し、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を否定するものです。
 ましてや、東京都に対し、「青少年性的視覚描写物」のまん延を阻止するための環境の整備に努める責務を課し(追加予定の第18条の6の2第2項)、「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止に向けた活動に対し支援及び協力を行うように努める責務を課する(追加予定の第18条の6の2第4項)ことは、東京都に対し、成人の有する知る権利と表現の自由を抑圧する義務を課するものとも言えます。
 このような条文の存在は、東京都が「青少年性的視覚描写物」と恣意的に判断する作品の店頭や図書館などからの撤去、「青少年性的視覚描写物」の製作・頒布に関与しているとされている団体や者による公共施設の利用を断るための口実、融資の拒否等の原因に繋がりかねないものであり、東京都が表に出ることなく、市民や企業を表に出した表現抑圧のための道具となりかねないものであり、ひいては、表現者から自由な発想と表現のための場を奪い、表現のタブーのないことから世界中に類を見ない程に発達した我が国のコンテンツ産業を抑圧しかねないものです。
 18歳以上の者が特定の表現を受容・消費すること、表現行為を行うことについて公権力が評価せず、干渉しないことは、青少年健全育成制度の合憲性の基礎となっている大原則であり、これに反する「青少年性的視覚描写物」という概念を条例に盛り込むべきではありません。


 「非実在青少年」というのは、つまるところ18歳未満(に見える)キャラクターのことです。18歳以上の者が18歳未満のように見える格好で演技をする場合等も含まれるでしょう。キャラクターの年齢を判定することは不可能です。設定上、何とでもなりますし(宇宙人、あるいは、エルフやドワーフなどの亜人間(デミヒューマン)、サイボーグ等)、実在する児童の場合とは違い、肉体の発達、二次性徴の発露等から医学的、生物学的な観点から年齢を特定することも不可能です。同じようなシーンを描いても、画風、作風、絵柄によって、18歳未満に見えるかどうか異なってくる可能性もあります。極めて曖昧としかいいようのない要件です。

5 また、事業者だけではなく都民一般に対し、追加予定の第18条の6の4第3項

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務) 第十八条の六の四 (略) 3  都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。

のような義務を課することは、親が自己の責任においてどのような表現物を子どもに与えるのかどうかについての判断権に公権力が介入する余地を認めるものであり、削除すべきです。


6 追加予定の第18条の6の3第1項、追加予定の第18条の6の4第1項、第2項

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務) 第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。 2  (略)

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
3  (略)

については、現行法の児童ポルノ法の範囲が曖昧かつ広汎であり、本来は規制の必要のないものについてまで規制対象としていることに鑑み、また、国会においても児童ポルノの定義そのものについて議論がなされていることに鑑みれば、少なくとも現時点において、このような条文を地方自治体の条例に入れるべきではありません。


-----------------------------------------
以下、現在の政治情勢
-----------------------------------------
http://d.hatena.ne.jp/marinba/20100307#20100307fn6

今回の改正案を阻止するためのキーパーソンとなっているのが、最大会派都議会民主党です。
都議会民主党が反対に回ってくれれば、生活者ネットワーク共産党自治市民(※)といった野党会派も都議会民主党の議論に参加する形で、味方につけられそうです。

(※)自治市民より、民主党の姿勢如何に関わらず反対するとの力強いメールを頂きましたので、記事を訂正させて頂きました。

都議会民主党には、この問題をよくご理解頂いている議員の方々もたくさんいらっしゃいますが、都議会民主党執行部の方々に、もっと条例案の問題点をご理解いただき、こちらの味方になって下さっている議員の方々が動きやすい環境を整えることが重要です。

<都議会民主党のキーパーソン>

都議会民主党政策調査会長 酒井大史都議会議員
〒190-0012 立川市曙町2-34-6
小杉ビル803
TEL.042-528-6522 FAX.042-528-6525

都議会民主党団長 田中良都議会議員
〒167-0032 杉並区天沼3-2-2
荻窪勧業ビル3F
TEL.03-3392-1925 FAX.03-3392-0545

都議会民主党幹事長 大沢昇 都議会議員
〒135-0004 江東区森下1-5-5-201
TEL.03-5624-0061 FAX.03-5624-0062

都議会民主党総務会長 山下太郎 都議会議員
東京都東久留米市新川町1-6-14-101
TEL.042-470-4430 FAX.042-470-4430

| | Comments (33) | TrackBack (2)

「東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案」を見やすくしてみました。

番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載を参考に見やすく整理してみました。

下線部=追加される箇所
削除部=削除される箇所
太字部=今回の改正の目玉?

第二章 優良図書類等の推奨等(第五条—第六条)優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)
第三章の三 児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二—第十八条の六の五)
第三章の四 インターネット利用環境の整備(第十八条の六の六—第十八条の八)
第三章の三 インターネット利用環境の整備(第十八条の七—第十八条の九)

(略)

(携帯電話端末等の推奨)
第五条の二 知 事は、携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)で、青少年がインターネットを利用して青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情 報を得ることがないよう必要な配慮を行つていることその他の東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成に配慮した機能を備えていると認めるもの を、青少年の年齢に応じて推奨することができる。
2 知事は、前項の規定による推奨をしようとするときは、東京都規則で定めるところにより、業界に関係を有する者、青少年の保護者、学識経験を有する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。

(表彰)
第六条 知事は、青少年の健全な育成を図る上でうえに必要があると認めるときは、次の各号に掲げるものを表彰することができる。
一 青少年を健全に育成するために積極的に活動し、その功績が特に顕著であると認められるもの
二 青少年又はまたは青少年の団体で、その行動が他の模範になると認められるもの
三 第五条前条の規定により知事が推奨した図書類、映画等及びがん具類で、特に優良であると認められるものを作成し、または公衆の観覧に供し、又はこれらに供したもの及びこれに関与したもの
四 次条の規定による自主規制を行つた者で、青少年の健全な育成に寄与するところが特に大であると認められるもの

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当する青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二  年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以 下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

(略)

(不健全な図書類等の指定)
第八条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一  販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残 虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められ るもの
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲 覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあ ると認められるもの
販売され、又は頒布されているがん具類で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
 販売され、又は頒布されている刃物で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年又はその他の者の生命又は身体に対し、危険又は被害を誘発するおそれがあると認められるもの
2 前項の指定は、指定するものの名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによつてこれを行わなければならない。
3 知事は、前二項の規定により指定したときは、直ちに関係者にこの旨を周知しなければならない。

(指定図書類の販売等の制限)
第九条 図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者(以下「図書類販売業者等」という。)は、前条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2  図書類の販売又は貸付けを業とする者及び営業に関して図書類を頒布する者は、指定図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付け る場合を除く。以下この条において同じ。)は、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装しなければならない。
3 図書類販売業者等は、指定図書類を陳列するときは、東京都規則で定めるところにより当該指定図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置かなければならない。
4 何人も、青少年に指定図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

(表示図書類の販売等の制限)
第九条の二 図書類の発行を業とする者(以下「図書類発行業者」という。)は、図書類の発行、販売若しくは貸付けを業とする者により構成する団体で倫理綱領等により自主規制を行うもの(以下「自主規制団体」という。)又は自らが、次の各号に掲げる基準に照らし、それぞれ当該各号に定める第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類に、青少年が閲覧し、又は観覧することが適当でない旨の表示をするように努めなければならない。
一 第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二  第八条第一項第二号の東京都規則で定める基準 非実在青少年を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚 により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な 成長を阻害するおそれがあるもの

2 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類(指定図書類を除く。以下「表示図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けないように努めなければならない。
3 図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装するように努めなければならない。
4  図書類販売業者等は、表示図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。)は、東京都規則で定めるところにより 当該表示図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置くように努めなければならない。
5 何人も、青少年に表示図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

(表示図書類に関する勧告等)
第九条の三 知事は、指定図書類のうち定期的に刊行されるものについて、当該指定の日以後直近の時期に発行されるものから表示図書類とするように自主規制団体又は図書類発行業者に勧告することができる。
2  知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第八条第一項第一号又は第二号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を 受けた日から起算して過去一年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去一年聞に、過去一年間にこの項の規定による勧告を受けてい る場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が二以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に不健全指定を六回受けたもの又 はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して六月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。
4 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第二項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。

 知事は、表示図書類について、前条第二項から第四項までの規定が遵守されていないと認めるときは、図書類販売業者等又は図書類発行業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

(略)

(指定映画の観覧の制限)
第十条 興行場において、第八条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した映画(以下「指定映画」という。)を上映するときは、当該興行場を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、これを青少年に観覧させてはならない。
2 何人も、青少年に指定映画を観覧させないように努めなければならない。

(略)

第十三条 がん具類の販売を業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関してがん具類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、第八条第一項第三号第八条第一項第二号の規定により知事が指定したがん具類(以下「指定がん具類」という。)を青少年に販売し、又は頒布してはならない。
2 何人も、青少年に指定がん具類を所持させないように努めなければならない。

(指定刃物の販売等の制限)
第十三条の二 何人も、第八条第一項第四号第八条第一項第三号の規定により知事が指定した刃物(以下「指定刃物」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2 何人も、青少年に指定刃物を所持させないように努めなければならない。

(略)

(自動販売機等に対する措置)
第十三条の五 自動販売機等業者は、表示図書類若しくは青少年に対し性的感情を刺激し、残虐性を助長し、若しくは自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあり、第八条第一項第一号若しくは第二号の 東京都規則で定める基準に準ずる内容の図書類(指定図書類を除く。)又は特定がん具類(指定がん具類を除く。)を収納している自動販売機等について、青少 年が当該図書類又は特定がん具類を観覧できず、かつ、購入し、又は借り受けることができないように東京都規則で定める措置をとらなければならない。

(略)

(青少年の性に関する保護者等の責務)
第十八条の三 保護者及び青少年の育成にかかわる者(以下「保護者等」という。)は、 異性との交友が相互の豊かな人格のかん養に資することを伝えるため並びに青少年が男女の性の特性に配慮し、安易な性行動により、自己及び他人の尊厳を傷つ け、若しくは心身の健康を損ね、調和の取れた人間形成が阻害され、又は自ら対処できない責任を負うことのないよう、慎重な行動をとることを促すため、青少 年に対する啓発及び教育に努めるとともに、これらに反する社会的風潮を改めるように努めなければならない。
2 保護者等保護者及び青少年の育成にかかわる者は、青少年のうち特に心身の変化が著しく、かつ、人格が形成途上である者に対しては、性行動について特に慎重であるよう配慮を促すように努めなければならない。
3 保護者は、青少年の性的関心の高まり、心身の変化等に十分な注意を払うとともに、青少年と性に関する対話を深めるように努めなければならない。

(略)

第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都の責務)
第 十八条の六の二 都は、児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規 定する児童ポルノをいう。以下同じ。)を根絶すべきことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携 し、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める責務を有する。
2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち 当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させる ことにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と運携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有す る。
3 都は、みだりに性的対象として扱われることにより心身に有害な影響を受けた青少年に対し、その回復に資する支援のための措置を適切に講ずるものとする。
4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
2  事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするた めの適切な措置をとるように努めるものとする。

(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
3  都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。

(青少年を性的対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)
第 十八条の六の五 保護者等は、児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた 状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として描写した図書類 (児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等において青少年が性的対象として扱われることが青少年の心身に有害な影響を及ぼすことに留意し、青少年が 児童ポルノ及び当該図書類又は映画等の対象とならないように適切な保護監督及び教育に努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動に関し、青少年のうち十三歳未満の者が前項の図書類又は映画等の対象とならないように努めなければならない。
3  知事は、保護者又は事業者が青少年のうち十三歳未満の者に係る第一項の図書類又は映画等で著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準に該当するも のを販売し、若しくは頒布し、又はこれを閲覧若しくは観覧に供したと認めるときは、当該保護者又は事業者に対し必要な指導又は助言をすることができる。
4 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者及び事業者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

第三章の四第三章の三 インターネット利用環境の整備

(インターネット利用に係る都の責務)
第十八条の六の六 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
2 都は、青少年がインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害について適切に理解し、これらの除去に必要な知識を確実に習得できるようにするため、青少年に対して行われるインターネットの利用に関する啓発についての指針を定めるものとする。

(インターネット利用に係る事業者の責務)
第 十八条の七 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二 十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第五条に規定する青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者をいう。以 下同じ。)及び青少年有害情報フイルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフト ウェアをいう。以下同じ。)に関係する事業を行う者(青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号 の民間団体をいう。)は、その業務に関し提供等を行う青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービス(青少年イン ターネット環境整備法第二条第十項に規定する青少年有害情報フイルタリングサービスをいう。以下同じ。)が、青少年がインターネットを利用して自己若しく は他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなる ように努めなければならない。
2 インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第六項に規定するインターネット接続 役務提供事業者をいう。)は、インターネット接続役務(同条第五項に規定するインターネット接続役務をいう。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契 約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスを提供している旨を告知し、そ の利用を勧奨するように努めなければならない。
3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第八項に規 定する携帯電話インターネット接続役務提供事業者をいう。以下同じ。)は、携帯電話インターネット接続役務(同条第七項に規定する携帯電話インターネット 接続役務をいう。以下同じ。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認するように努めなければならない。
4  第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインター ネットを適正に利用できるように、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを利用した機器又は青少年有害情報フィルタリングサービスの提供を受けた機器 の提供に努めなければならない。
5 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、青少年のインターネットの利用に関する健全な判断能 力の育成を図るため、その利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害並びにこれらの除去に必要な知識について青少年が適切に理解できるようにするための啓 発に努めるものとする。

(インターネット利用に係る事業者の責務)
第十八条の七 電気通信設 備によるインターネット接続サービスの提供を行うことを業とする者(以下「インターネット事業者」という。)は、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあ る情報を取り除くためのフィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みを いう。)の機能を有するソフトウェア(以下「青少年に有益なソフトウェア」という。)を利用したサービスを開発するとともに、利用者に提供するように努め なければならない。
2 インターネット事業者は、利用者と契約を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青 少年に有益なソフトウェアを利用したサービスを提供している旨を告知し、その利用を勧奨するものとし、及びこれを利用することが可能であることを標準的な 契約内容とするように努めなければならない。
3 インターネット事業者のために利用者と契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」とい う。)を業として行う者は、利用者と契約の締結の媒介等を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年に有益なソ フトウェアを利用したサービスが存在する旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
4 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年に有益なソフトウェアを利用した機器の提供に努めなければならない。

(携帯電話端末等による青少年有害情報の閲覧防止措置)
第 十八条の七の二 保護者は、青少年が携帯電話インターネット接続役務に係る契約(当該契約の内容を変更する契約を含む。以下同じ。)の当事者となる場合又 は保護者が青少年を携帯電話端末等の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、青少年インターネット環境整備法 第十七条第一項ただし書の規定により青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をするときは、東京都規則で定めるところにより、保護者が 携帯電話インターネット接続役務提供事業者が提供するインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用すること等により青少年がイン ターネット上の青少年有害情報(青少年インターネット環境整備法第二条第三項に規定する青少年有害情報をいう。)を閲覧することがないように適切に監督す ることその他の東京都規則で定める正当な理由その他の事項を記載した書面を携帯電話インターネット接続役務提供事業者に提出しなければならない。
2  携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、前項に規定する契約を締結するに当たつては、青少年又はその保護者に対し、青少年有害情報フイルタリング サービスの内容その他の東京都規則で定める事項を説明するとともに、当該事項を記載した説明書を交付しなければならない。
3 携帯電話インター ネット接続役務提供事業者は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としない第一項に規定する契約を締結したときは、当該契約に係る同項の書 面に記載された正当な理由その他の事項を、東京都規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法により記録し、保存しなければならない。
4 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が第二項又は前項の規定に違反していると認めるときは、当該携帯電語インターネット接続役務提供事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
5 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前項の規定による勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
6 知事は、前項の規定により公表しようとするときは、第四項の勧告を受けた携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、意見を述べ、証拠を提出する機会を与えなければならない。
7 知事が指定した知事部局の職員は、第二項から第五項までの規定の施行に必要な限度において、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者の営業又は事業の場所に営業時間内において立ち入り、調査を行い、又は関係者に質問し、若しくは資料の提出を求めることができる。

(インターネット利用に係る保護者等の責務)
第 十八条の八 保護者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めるとともに、青少年 がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発することを防ぐため、青少年のイン ターネットの利用状況を適切に把握し、青少年のインターネットの利用を的確に管理するように努めなければならない。
2 保護者等は、家庭、地域そ の他の場において、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、自らもインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による 弊害についての理解並びにこれらの除去に必要な知識の習得に努めるとともに、これらを踏まえて青少年とともにインターネットの利用に当たり遵守すべき事項 を定めるなど適切な利用の確保に努めるものとする。
3 行政機関は、その業務を通じて、青少年がインターネツトを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めたときは、これを知事に通報することができる。
4  知事は、青少年がインターネツトを利用して自已若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めるとき は、その保護者に対し、当該青少年について再発防止に必要な措置をとるとともに、そのインターネットの利用に関し適切に監督するよう指導又は助言をするこ とができる。
5 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】

以下、条文案を紹介します。特に問題の多い箇所に下線を引いています。
コメントは下の方に掲載しています。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
2010/03/10 new! 改訂したコメントはこちらをご参照ください。
【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 2
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


-----------------------------------------
第三十号議案
東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例
右の議案を提出する。
平成二十二年二月二十四日
提出者 東京都知事 石原慎太郎

東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例

第一条 東京都青少年の健全な育成に関する条例(昭和三十九年東京都条例第百八十一号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三章の三インターネット利用環境の整備(第十八条の七―第十八条の九)」を
 「第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二)
 第三章の四 インターネット利用環境の整備(第十八条の七-第十八条の九)」に改める。

 第十八条の三第一項中「かかわる者」の下に「(以下「保護者等」という。)」を加え、同条第二項中「保護者及び青少年の育成にかかわる者」を「保護者等」に改める。

 第十八条の七を次のように改める。
 (インターネット利用に係る事業者の責務)
 第十八条の七 インターネット接続役務提供事業者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第二条第六項に規定するインターネット接続役務提供事業者をいう。)は、インターネット接続役務(同条第五項に規定するインターネット接続役務をいう。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年有害情報フィルタリングサービス(同条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ。)を提供している旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
 2 携帯電話インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第八項に規定する携帯電話インターネット接続役務提供事業者をいう。)は、携帯電話インターネット接続役務(同条第七項に規定する携帯電話インターネット接続役務をいう。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認するように努めなければならない。
 3 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)を利用した機器又は青少年有害情報フィルタリングサービスの提供を受けた機器の提供に努めなければならない。

 第十八条の八第一項中「青少年に有益なソフトウェア」を「青少年有害情報フィルタリングソフトウェア」に改め、同条第二項中「保護者及び青少年の育成にかかわる者」を「保護者等」に改める。

 第三章の三を第三章の四とし、第三章の二の次に次の一章を加える。
 第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備
 (児童ポルノの根絶に向けた都の責務)
 第十八条の六の二 都は、児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノをいう。以下同じ。)を根絶すべきことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める責務を有する。

 2 都は、みだりに性的対象として扱われることにより心身に有害な影響を受けた青少年に対し、その回復に資する支援のための措置を適切に講ずるものとする。

 第二十四条の二第七項中「第二十四条」を「前条」に改める。

第二条 東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を次のように改正する。

 目次中「優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)」を「優良図書類等の推奨等(第五条―第六条)」に、「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二)」を「児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二―第十八条の六の五)」に、「(第十八条の七―第十八条の九)」を「(第十八条の六の六―第十八条の八)」に改める。

 第二章の章名中「推奨及び表彰」を「推奨等」に改める。

 第五条の次に次の一条を加える。
 (携帯電話端末等の推奨)
 第五条の二 知事は、携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)で、青少年がインターネットを利用して青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を得ることがないよう必要な配慮を行つていることその他の東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成に配慮した機能を備えていると認めるものを、青少年の年齢に応じて推奨することができる。
 2 知事は、前項の規定による推奨をしようとするときは、東京都規則で定めるところにより、業界に関係を有する者、青少年の保護者、学識経験を有する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。

 第六条中「うえに」を「上で」に改め、同条第二号中「または」を「又は」に改め、同条第三号中「前条」を「第五条」に改め、「または」を削り、「供したもの及びこれに」を「供し、又はこれらに」に改める。

 第七条中「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」を「次の各号のいずれかに該当する」に改め、同条に次の各号を加える。
 一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
 二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を資格により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

 第八条第一項中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
 二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

 第九条第一項中「前条第一項第一号」の下に「又は第二号」を加える。

 第九条の二第一項中「第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める」を「次の各号に掲げる基準に照らし、それぞれ当該各号に定める」に改め、同項に次の各号を加える。
 一 第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
 二 第八条第一項第二号の東京都規則で定める基準 非実在青少年を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

 第九条の三の見出し中「勧告」を「勧告等」に改め、同条中第二項を第五項とし、第一項の次に次の三項を加える。
 2 知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第八条第一項第一号又は第二号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を受けた日から起算して過去一年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去一年聞に、過去一年間にこの項の規定による勧告を受けている場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が二以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に不健全指定を六回受けたもの又はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
 3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して六月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。
 4 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第二項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。

 第十条第一項及び第十一条中「第八条第一項第一号」の下に「又は第二号」を加える。
 第十三条第一項中「第八条第一項第二号」を「第八条第一項第三号」に改める。
 第十三条の二第一項中「第八条第一項第三号」を「第八条第一項第四号」に改める。
 第十三条の五中「青少年に対し性的感情を刺激し、残虐性を助長し、若しくは自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあり、」を削り、「第八条第一項第一号」の下に「若しくは第二号」を加える。

 第十八条の六の二の見出し中「根絶」の下に「及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止」を加え、同条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
 2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と運携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有する。

 第十八条の六の二に次の一項を加える。
 4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。

 第三章の三中第十八条の六の二の次に次の三条を加える。
 (児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
 第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
 2 事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするための適切な措置をとるように努めるものとする。

 (児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
 第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
 2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
 3 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。

 (青少年を性的対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)
 第十八条の六の五 保護者等は、児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等において青少年が性的対象として扱われることが青少年の心身に有害な影響を及ぼすことに留意し、青少年が児童ポルノ及び当該図書類又は映画等の対象とならないように適切な保護監督及び教育に努めなければならない。
 2 事業者は、その事業活動に関し、青少年のうち十三歳未満の者が前項の図書類又は映画等の対象とならないように努めなければならない。
 3 知事は、保護者又は事業者が青少年のうち十三歳未満の者に係る第一項の図書類又は映画等で著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準に該当するものを販売し、若しくは頒布し、又はこれを閲覧若しくは観覧に供したと認めるときは、当該保護者又は事業者に対し必要な指導又は助言をすることができる。
 4 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者及び事業者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

 第三章の四中第十八条の七の前に次の一条を加える。
 (インターネット利用に係る都の責務)
 第十八条の六の六 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
 2 都は、青少年がインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害について適切に理解し、これらの除去に必要な知識を確実に習得できるようにするため、青少年に対して行われるインターネットの利用に関する啓発についての指針を定めるものとする。

 第十八条の七第三項中「(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)」を削り、同項を同条第四項とし、同条第二項中「をいう。」の下に「以下同じ。」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項中「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)」を「青少年インターネット環境整備法」に改め、「(同条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ。)」を削り、同項を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。
 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第五条に規定する青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者をいう。以下同じ。)及び青少年有害情報フイルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)に関係する事業を行う者(青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体をいう。)は、その業務に関し提供等を行う青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービス(青少年インターネット環境整備法第二条第十項に規定する青少年有害情報フイルタリングサービスをいう。以下同じ。)が、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなるように努めなければならない。

 第十八条の七に次の一項を加える。
 5 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、青少年のインターネットの利用に関する健全な判断能力の育成を図るため、その利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害並びにこれらの除去に必要な知識について青少年が適切に理解できるようにするための啓発に努めるものとする。

 第十八条の七の次に次の一条を加える。
 (携帯電話端末等による青少年有害情報の閲覧防止措置)
 第十八条の七の二 保護者は、青少年が携帯電話インターネット接続役務に係る契約(当該契約の内容を変更する契約を含む。以下同じ。)の当事者となる場合又は保護者が青少年を携帯電話端末等の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、青少年インターネット環境整備法第十七条第一項ただし書の規定により青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をするときは、東京都規則で定めるところにより、保護者が携帯電話インターネット接続役務提供事業者が提供するインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用すること等により青少年がインターネット上の青少年有害情報(青少年インターネット環境整備法第二条第三項に規定する青少年有害情報をいう。)を閲覧することがないように適切に監督することその他の東京都規則で定める正当な理由その他の事項を記載した書面を携帯電話インターネット接続役務提供事業者に提出しなければならない。
 2 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、前項に規定する契約を締結するに当たつては、青少年又はその保護者に対し、青少年有害情報フイルタリングサービスの内容その他の東京都規則で定める事項を説明するとともに、当該事項を記載した説明書を交付しなければならない。
 3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としない第一項に規定する契約を締結したときは、当該契約に係る同項の書面に記載された正当な理由その他の事項を、東京都規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法により記録し、保存しなければならない。
 4 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が第二項又は前項の規定に違反していると認めるときは、当該携帯電語インターネット接続役務提供事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
 5 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前項の規定による勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
 6 知事は、前項の規定により公表しようとするときは、第四項の勧告を受けた携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、意見を述べ、証拠を提出する機会を与えなければならない。
 7 知事が指定した知事部局の職員は、第二項から第五項までの規定の施行に必要な限度において、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者の営業又は事業の場所に営業時間内において立ち入り、調査を行い、又は関係者に質問し、若しくは資料の提出を求めることができる。

 第十八条の八を次のように改める。
 (インターネット利用に係る保護者等の責務)
 第十八条の八 保護者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めるとともに、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発することを防ぐため、青少年のインターネットの利用状況を適切に把握し、青少年のインターネットの利用を的確に管理するように努めなければならない。
 2 保護者等は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、自らもインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害についての理解並びにこれらの除去に必要な知識の習得に努めるとともに、これらを踏まえて青少年とともにインターネットの利用に当たり遵守すべき事項を定めるなど適切な利用の確保に努めるものとする。
 3 行政機関は、その業務を通じて、青少年がインターネツトを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めたときは、これを知事に通報することができる。
 4 知事は、青少年がインターネツトを利用して自已若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めるときは、その保護者に対し、当該青少年について再発防止に必要な措置をとるとともに、そのインターネットの利用に関し適切に監督するよう指導又は助言をすることができる。
 5 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。

第十八条の九を削る。

附則
1 この条例は、平成二十二年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条の規定平成二十二年四月一日
二 第二条の規定中目次の改正規定(「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二)」を「児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向欠た気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二―第十八条の六の五)」に、「(第十八条の七―第十八条の九)」を「(第十八条の六め六―第十八条の八)」に改める部分に限る。)、第七条、第九条の三及び第十八条の六の二の改正規定、第三章の三中第十八条の六の二の次に三条を加える改正規定、第三章の四中第十八条の七の前に一条を加える改正規定、第十八条の七の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)、第十八条の八の改正規定並びに第十八条の九を削る改正規定並びに次項及び附則第三項の規定 平成二十二年七月一日
2 平成二十二年七月一日から同年九月三十日までの間、第二条の規定による改正後の東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「新条例」という。)第九条の三第二項中「第八条第一項第一号又は第二号」とあるのは「第八条第一項第一号」とする。
3 新条例第九条の三第二項に規定する指定の回数の算定に当たっては、平成二十二年七月一日以後に新条例第八条第一項第一号の規定に該当するものとしてなされた指定及び同年十月一日以後に新条例第八条第一項第二号の規定に該当するものとしてなされた指定を対象とする。

(提案理由)
 青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶等への気運の醸成等に関する規定を設けるとともに、インターネット利用環境の整備等に関する規定を改めるほか、規定を整備する必要がある。

-----------------------------------------


以下、問題点を指摘します。携帯のフィルタリングまで手が回っていません・・・。
-----------------------------------------
1 全体として、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言は絶対に削除すべきと考えます。青少年とは、18歳未満の者全てを指しますが、例えば、思春期以前と思春期後、義務教育修了前と修了後のように、各年代において性に関する健全な判断の基準は当然に異なる筈であり、一律に判断することは、低い年齢に併せた健全性の判断がなされ、むしろ、成長に応じた性情報の受領が困難になるためです。特に、追加予定の第8条第2号の内容から、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を削除すべきと考えます。

2 「第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備」は削除すべきと考えます。特定の児童の性的な自己決定権侵害を保護法益の本質とする「児童ポルノ」概念と、国親(パターなりスティック)的な観点から、青少年の自己決定権を制約する青少年健全育成条例は原理的に相容れないものであり、青少年健全育成条例に児童ポルノに関する規定を盛り込むことにより、かえって青少年の性的な自己決定権という児童ポルノの保護法益が不明確になるためです。

3 追加予定の第7条第2号は、範囲が極めて主観的かつ不明確であり、青少年と性をテーマとする作品であれば、全て該当しかねないものですので、当該条項を削除、定義の明確化を図り、あるいは、「著しく」等の制約文言を追加すべきと考えます。また、前述したとおり、「青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害」という文言を削除すべきと考えます。

4 追加予定の第18条の6の2第2項、第4項、追加予定の第18条の6の3第2項、第18条の6の4第3項のように、「青少年性的視覚描写物」に関する条項は全て削除すべきと考えます。「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止は、「青少年性的視覚描写物」を18歳以上のものが受容し、消費することについて公権力が否定的な評価を加え、これを追放せんとすることに他なりません。青少年健全育成条例は、あくまでも青少年の未熟さに注目して、その知る権利等について国親的な観点から制約を加えるものであり、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を否定するものであってはなりません。特定のカテゴリーに属する表現物について、18歳以上の者が自己の責任において受容し、消費することについて否定的な評価をすることは青少年健全育成条例の趣旨を逸脱し、18歳以上の者の知る権利、表現の自由を否定するものです。
ましてや、東京都に対し、「青少年性的視覚描写物」のまん延を阻止するための環境の整備に努める責務を課し(追加予定の第18条の6の2第2項)、「青少年性的視覚描写物」のまん延の抑止に向けた活動に対し支援及び協力を行うように努める責務を課する(追加予定の第18条の6の2第4項)ことは、東京都に対し、成人の有する知る権利と表現の自由を抑圧する義務を課するものとも言えます。
このような条文の存在は、東京都が「青少年性的視覚描写物」と恣意的に判断する作品の店頭や図書館などからの撤去、「青少年性的視覚描写物」の製作・頒布に関与しているとされている団体や者による公共施設の利用を断るための口実、融資の拒否等の原因に繋がりかねないものであり、東京都が表に出ることなく、市民や企業を表に出した表現抑圧のための道具となりかねないものであり、ひいては、表現者から自由な発想と表現のための場を奪い、表現のタブーのないことから世界中に類を見ない程に発達した我が国のコンテンツ産業を抑圧しかねないものです。
18歳以上の者が特定の表現を受容・消費すること、表現行為を行うことについて公権力が評価せず、干渉しないことは、青少年健全育成制度の合憲性の基礎となっている大原則であり、これに反する「青少年性的視覚描写物」という概念を条例に盛り込むべきではありません。

5 また、事業者だけではなく都民一般に対し、追加予定の第18条の6の4第3項のような義務を課することは、親が自己の責任においてどのような表現物を子どもに与えるのかどうかについての判断権に公権力が介入する余地を認めるものであり、削除すべきです。

6 追加予定の第18条の6の3第1項、追加予定の第18条の6の4第1項、第2項については、現行法の児童ポルノ法の範囲が曖昧かつ広汎であり、本来は規制の必要のないものについてまで規制対象としていることに鑑み、また、国会においても児童ポルノの定義そのものについて議論がなされていることに鑑みれば、少なくとも現時点において、このような条文を地方自治体の条文に入れるべきではありません。
-----------------------------------------


以下、現在の政治情勢
-----------------------------------------
http://d.hatena.ne.jp/marinba/20100307#20100307fn6

今回の改正案を阻止するためのキーパーソンとなっているのが、最大会派都議会民主党です。
都議会民主党が反対に回ってくれれば、生活者ネットワーク共産党自治市民(※)といった野党会派も都議会民主党の議論に参加する形で、味方につけられそうです。

(※)自治市民より、民主党の姿勢如何に関わらず反対するとの力強いメールを頂きましたので、記事を訂正させて頂きました。

都議会民主党には、この問題をよくご理解頂いている議員の方々もたくさんいらっしゃいますが、都議会民主党執行部の方々に、もっと条例案の問題点をご理解いただき、こちらの味方になって下さっている議員の方々が動きやすい環境を整えることが重要です。

<都議会民主党のキーパーソン>

都議会民主党政策調査会長 酒井大史都議会議員
〒190-0012 立川市曙町2-34-6
小杉ビル803
TEL.042-528-6522 FAX.042-528-6525

都議会民主党団長 田中良都議会議員
〒167-0032 杉並区天沼3-2-2
荻窪勧業ビル3F
TEL.03-3392-1925 FAX.03-3392-0545

都議会民主党幹事長 大沢昇 都議会議員
〒135-0004 江東区森下1-5-5-201
TEL.03-5624-0061 FAX.03-5624-0062

都議会民主党総務会長 山下太郎 都議会議員
東京都東久留米市新川町1-6-14-101
TEL.042-470-4430 FAX.042-470-4430

| | Comments (62) | TrackBack (8)

« January 2010 | Main | April 2010 »