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児童ポルノ禁止法改正案衆院可決後を見据えた規制推進派の動き

児童ポルノ禁止法改正案は、衆議院において満場一致で可決されましたが、審議の様子からは、規制推進派は、激しい不満を抱いていることが伺われます。規制推進派の怨念は、渦巻き、出口を探しています。

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6/5 衆議院法務委員会 議事録

児童ポルノ禁止法改正案、衆議院法務委員会審議実況

衆議院法務委員会の土屋正忠のコラム
私は漫画の愛好家です。鉄腕アトム、サザエさん、ドラえもん、あしたのジョー、ゴルゴ13などなど人々に夢を与え、励まし、考えさせる〜児童ポルノ漫画は表現の自由に値しない


規制推進派の次なる動きは、どこに向かうのでしょうか。

私の予想は、青少年健全育成基本法案と「わいせつ」です。

青少年健全育成基本法案は、自民党の選挙公約ではありますが、何故、今さら、「わいせつ」なのでしょうか。

青少年健全育成基本法案では、18歳以上の者に対する販売行為等を禁止することは出来ません。ゾーニングだけであり、全面的な内容規制には踏み込めないからです。衆議院法務委員会の論調を見る限り、規制推進派は、児童を性的に取り扱った「過激な」創作物を全面的に禁止したがっていることは明らかであり、ゾーニングでは満足が出来ないのです。


実は、規制推進派は、児童ポルノ禁止法改正案の成立を見越し、次の動きを勧めています。

平成26年5月28日付で、「児童ポルノ問題を考える超党派勉強会」のお知らせが国会議員に配布されています。

呼びかけ人は、
自由民主党 平沢勝栄
公明党 富田茂之
日本維新の会 中田宏
の3人です。

このチラシの記載は、以下のようなものです。

我々3党有志は昨年5月、単純所持の禁止等を内容とする『児童ポルノ禁止法改正案』(議員立法)を通常国会に提出しました。この改正案(註:平成26年6月4日に撤回された創作物規制に関する調査研究規定を含む旧案)は、我が国の児童ポルノ問題の実情と児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえたものでしたが、成立に至らず継続審議となりました。この問題に関しては、表現の自由との兼ね合いから規制に慎重な意見が存在しますが、他方殆どの先進諸国では我が国より厳しい規制をかけていることも事実です。そうした中で、この度、駐日アメリカ大使館よりアメリカ本国から専門家が来日するので、同国の規制の実情を是非知って欲しいとの連絡がありました。国会終盤でご多忙のところ恐縮ですが、我が国の今後の規制の参考にするため是非ご出席くださるようお願い致します。

公明新聞の6月5日の記事によれば、

改正案は自民、公明、維新3党が昨年の通常国会に提出。その後、民主、結い両党を含めた5党実務者が改正案の修正協議を行い、5月22日には大筋で合意していた。

とあります。つまり、この勉強会の呼びかけが出た時点において、呼びかけ人たちは、旧案は撤回され、今回、可決された改正案が委員長提案で採決されることは分かっていたのです。

この勉強会は、今回の改正案可決後の「次」を見据えたものであることは明らかです。

勉強会の呼びかけ文には、「表現の自由との兼ね合い」という言葉が使われていますが、「冤罪」や「警察権力」の様な刑事司法の適正さの観点から疑問を呈する言葉は使われていません。

海外のメディアの論調を見ても、「日本はようやく児童ポルノの所持を違法にした」と強調する一方で、アニメや漫画は既成の対象から外れたと報じています。


故に、今回成立した、「自己の性的好奇心を満たす目的」に関する規制をより徹底的な「単純所持」規制に強化しようという動きではないと思います。

アメリカにおいては、「実在しない児童を利用したポルノ」の規制には、「わいせつ」概念が利用されています。
アメリカの「わいせつ」概念と日本の「わいせつ」概念は、全く異なるものですが、「性道徳」を保護法益とする点では、共通しています。

「児童を性の対象とすること自体が性道徳に反する。」という論理で、「わいせつ」の概念を拡張し、児童の人権保護ではなく、「性道徳の維持」を目的とした新規立法を目論んでいるというのが私の予想です。

アメリカのわいせつ規制は、日本のように性器部分の「消し」の有無、濃淡、大きさを問題にするような単純なものでもありませんし、価値中立的なものでもありません。作品全体のコンテクスト、文脈から判断されることになります。

新たな「わいせつ」規制は、従来の「わいせつ」規制とは違い、性器部分にモザイクや「消し」を入れれば、回避できるというものにはとどまらないでしょう。

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児童ポルノ禁止法改正案の衆議院通過、あと10年間、粘りましょう。

児童ポルノ禁止法改正案が衆議院を通過しました。

具体的な条文はこちら

1)創作物規制を前提として調査研究規定なし。付帯決議もなし。
2)3号ポルノの範囲について、明確化+限定。
3)性的好奇心を満たす目的での「所持」についても、「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、
当該者であることが明らかに認められる者に限る。」とかなり適用対象を限定した。
4)第3条「適用上の注意」既定の充実、「この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」

不満は残りますが、まずまずの内容です。

規制反対派が、2004年の最後の改正から10年間、小泉旋風、政権交代、超巨大与党の時代、世界を席巻しつつあった「『児童ポルノ』に関するマス・ヒステリア」など危機が続いた中、政治情勢を冷静に分析し、理性的かつ合理的に反対運動を展開した成果です。

1999年の法制定時から見れば、創作物規制への反対運動は15年間に亘って続いてきました。粘り強く続いて来ました。

私自身で言えば、1999年当時は23歳、現在38歳です。立派な中年になってしまいました。

これだけ長い間、粘り抜いたことは、個人情報保護法、特定秘密保護法等、近年の問題法案に対する反対運動が概ね「玉砕」で終わっていることに比べ、大きな成果です。

表現規制反対運動は、大まかに言えば、世代問題でもあります。後10年間、粘り抜きましょう。未来は、規制反対派のものです。そのとき、僕は、48歳、初老になっています。

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