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籠池氏の代理人として提出した平成29年3月31日付抗議書 テキストベタ打ち版

http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/20170401kougisho_fixed.pdf と同じものです。

抗議書

平成29年3月31日
自民党総裁特別補佐 衆議院議員 西村康稔 先生 
参議院議員 西田昌司 先生
衆議院議員 葉梨康弘 先生

CC:メディア各位

東京都千代田区麹町4丁目7番地
麹町パークサイドビル3階
リンク総合法律事務所
TEL 03(3515)6681
FAX 03(3515)6682
籠池康博氏代理人
弁 護 士 山 口 貴 士

弁 護 士 荻 上 守 生

弁 護 士 中 森 麻 由 子

第1 抗議の趣旨
   籠池康博氏(以下、「籠池氏」という。)は、国会の証人喚問において、当時の自己の記憶に忠実に、質問に答えたものであり、偽証はしていない。一部国会議員による「偽証である疑いは濃厚」、「告発を検討」等の発言は、法的な根拠を欠くものであり、同氏に対する名誉毀損であり、その人格と尊厳を著しく傷つけるものであるから、当職らは、本書面により強く抗議するとともに、「偽証である疑いは濃厚」等の発言をただちに、撤回されるように申し入れる。

第2 抗議の理由
 1 偽証罪成立の要件について
(1)「虚偽の陳述」の意義
   議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(以下、「議院証言法」)第6条は、「この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する」とあるが、「虚偽の陳述」とは、「証人の記憶に反する陳述」を意味し、自己の記憶にしたがった陳述をすれば、それが客観的事実に反していたとしても偽証罪は成立しないと解する見解(いわゆる「主観説」)が、判例・通説であり、法学者、弁護士、検察官、裁判官や犯罪捜査に携わる者にとっては常識とも言える。
(2)偽証罪成立に必要な故意
   偽証罪成立に必要な故意は、上記した主観説の立場によれば、「陳述する事実の内容が自己の記憶に反することを認識すること」となる。
(3)小括
   証人が、陳述内容が自己の記憶に反することを認識しつつ、自己の記憶に反する陳述をしない限り、偽証罪は成立しない。
 2 籠池氏が偽証をしていないこと
(1)はじめに
   籠池氏は、平成29年3月23日に開催された証人喚問において、自己の記憶に忠実に回答をしているから、偽証をしていない。籠池氏が自己の記憶に忠実に誠実な回答をしていることは、テレビ放映された同氏の証言態度を見れば一目瞭然である。
   籠池氏は、自己の記憶に忠実に回答をしている以上、仮に、客観的な事実と齟齬している点が存在しているとしても、偽証罪は成立しない。
(2)「偽証である疑いは濃厚」等の対象となっている箇所
報道によれば、籠池氏について、偽証の疑いがあるとして、告発を目的とした調査の対象とされている事実は、以下の2点である。
① 籠池氏は、「学園の職員が払込取扱票の振込人欄に“安倍晋三”と書き、郵便局に持参した」などと証言したが、「安倍晋三」の筆跡が籠池氏の妻が書いたとされる字に似ていることから、郵便局に行ったのは、職員ではなく籠池夫人であり、偽証をしたのではないか(以下、「供述①」という)。
② 寄付依頼書に「安倍晋三記念小学校」の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間について、籠池氏は、「(安倍首相が)衆議院議員時代、つまり総理就任、24年12月以前」であり、「使用してきたのは、ほんの一瞬」と午前の参議院予算員会で証言し、衆議院では「5カ月余り」と訂正したが、平成26年3月にも配っている。27年9月7日の100万円の振込に使われた払込取扱票にも「安倍晋三小学校」が記載されていることから、もっと長期にわたって使用していたものであり、偽証をしたのではないか(以下、「供述②」という。)。
(3)供述①が籠池氏の記憶に忠実になされたものであること
  ア 籠池氏は、安倍昭恵首相夫人から受領した100万円を副園長に渡すところまでは、自らが行ったが、その後、郵便局において入金された経過のことは、直接体験した事実ではなく、他者から報告を受けた内容を述べていること、すなわち、伝聞であることを前提として供述している。一般的に、伝聞に基づいて証言する場合、情報源となる他者からの報告の内容が変われば、供述の内容が変わるのは当然のことである。
  イ 代理人弁護士の一人である山口貴士(以下、「山口」という。)のツイートの内容が偽証の疑いの根拠の一つとされているようなので、この点について、補足的に説明をする。
 (ア)山口のツイートは以下のような内容である。
https://twitter.com/otakulawyer/status/844251073191661568 

(イ)山口は、平成29年3月20日に、菅野完氏から、振替払込請求書兼受領証(受領証)、払込取扱票の「現物」を見せて貰った際に、「払込取扱票の『ご依頼人』欄の筆跡は籠池理事長の妻、受領証の筆跡は郵便局員」だと聞いたため、そのとおりにツイートをした。このツイートがなされた3月20日の時点で、山口は未だ、補佐人を引き受けてはいない。
補佐人を引き受けた後、籠池氏から事実関係を確認していたところ、籠池氏から「受領証の筆跡は幼稚園の職員のものと聞いている。」と言われたため、菅野氏に確認したところ、「『受領証は郵便局で職員が書いたと聞いている。』と言われたため、「郵便局の職員」、つまり、郵便局員が書いたものと勘違いをし、そのまま山口さんに伝えてしまった。」と言われ、そこで、ツイートの内容が間違っていることに気がつき、訂正をした次第である。
 (ウ)以上の通り、ツイートの訂正は、菅野氏と山口の勘違いに基づくものであり、籠池氏の供述の変遷を示すものでもなく、「偽証」の根拠となるものではない。
  ウ このように、籠池氏は、自らの記憶に忠実に陳述をしていることから、偽証罪に問われる余地はない。
(4)供述②が籠池氏の記憶に忠実になされたものであること
  ア 供述②についても籠池氏は自己の記憶に忠実な陳述をしたものである。客観的な事実関係と齟齬が存在したとしても、それは、当人の記憶違いに基づくものであり、偽証罪が成立する余地はない。
    籠池氏は、「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票は(平成26年3月1日に作成されたものであると認識している)、同年3月14日に昭惠氏から名称使用を断られて以降は使用していないと認識していたことから、「安倍晋三」名の払込取扱票を使用しての寄付を募った期間は一瞬であると証人喚問において証言をしたのである。実際に、小学校の寄付を募るための「塚本幼稚園新小学校設置趣意書」には、「安倍晋三記念小学院」の名称は使用されていない。籠池氏は、大量に作成され配布された「安倍晋三記念小学院」の刻印がある払込振込票が、いつまで使用されていたかは覚知していない。結果として、「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票が、職員や寄付の案内を受けた方々によって、平成26、27年に使用された事実があるからといって、籠池氏の証言が記憶に反して事実と異なることを述べたことにはならないのであるから、偽証罪が成立する余地はない。
    なお、籠池氏は、安倍首相が一衆議院議員であった時代、平成24年に設置趣意書、安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票を作成した旨を陳述しているが、これは、籠池氏の記憶違いによるものである。このような記憶違いが生じた原因は、籠池氏が平成26年3月14日に安倍昭恵氏から「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票の使用を断られた際に、安倍晋三氏が首相という重要な公職についたことを理由として挙げていたことから、「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票が作成されたのは首相就任前であると記憶違いをしたものである。
    また、籠池氏が、5か月位という数字を挙げたのは、平成26年3月14日から5か月程度は既に配布した「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票が使われていたのではないかという時間的な感覚を述べたものである。
    さらに、平成27年9月7日の100万円の入金に際し、「安倍晋三記念小学院」の刻印のある払込取扱票が使われていたのは、たまたま、塚本幼稚園に残っていたものが使われたに過ぎない。
    いずれにしても、籠池氏が自らの記憶に反する陳述をしたことはない。
  イ 供述②について記憶違いが生じた経緯について、補足的に説明する。
(ア)証人出頭要求書と共に、議院から来た「証言を求める事項」、試験で言えば「出題範囲」に該当するものには、以下のような記載が存在したが、その中に、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間」という項目はないし、そもそも、「関連する事項」にすら該当しないと思われる。もし、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間」に関する項目が存在すれば、籠池氏は限られた時間の中、手持ちの資料を確認する等して、陳述することが出来た筈である。
「証言を求める事項」の内容は、証人喚問を決議した衆参両院の予算委員会に所属する議員は当然に承知しているものである。

(衆議院)
学校法人森友学園に関連する次の事項について
1.瑞穂の國記念小學院に係る国有地取得に関する事項
2.瑞穂の國記念小學院の設置認可申請に関する事項
3.瑞穂の國記念小學院建設用地に係る埋設物処理に関する事項
4.瑞穂の國記念小學院建設に係る補助等の申請に関する事項
5.その他、上記に関連する事項
(参議院)
    学校法人森友学園に関連する次の事項について
一 小学校の設置認可申請から国有地の借受け及び買受けに至る経緯について
二 補助金申請時等の提出資料において小学校建設費が区々となっている理由
三 塚本幼稚園幼児教育学園の教育方針及び内容
四 小学校の設置認可申請、国有地の借受け及び買受け
五 その他、関連する事項
 (イ)籠池氏には、「証言を求める事項」について資料を確認する等して記憶を喚起するための時間は僅かしかなかった。
平成29年3月15日(水)、森友学園の顧問弁護士であった北浜法律事務所の酒井康生弁護士が突然、辞任をしたため、籠池氏は、ようやく、同年3月21日(火)午後、山口に対し、正式に補佐人として活動することを依頼することが出来たものである。籠池氏には、弁護士と共に大量の資料を見直し、自分の記憶を喚起するための時間は、不眠不休で取り組んだとしても40時間もなく、「証言を求める事項」に記載のない事項については、記憶喚起のための資料の確認等について手が回らなかったとしても、無理からぬことである。
(ウ)なお、安倍昭恵首相夫人から100万円を受領したことも「証言を求める事項」には記載が存在しないが、そもそも、今回の証人喚問自体、籠池氏が安倍昭恵首相夫人から100万円を受領したことを述べたことに対し、自民党の竹下亘・国会対策委員長が即座に「首相に対する侮辱だ」と反応したことに端を発していることに鑑みれば、この点についての質問がなされることは容易に予想された。
また、安倍昭恵首相夫人から100万円を受領したこと自体は、籠池氏が直接的に体験した事実であり、安倍昭恵首相夫人が幼稚園において講演をするという大きなイベントのあった日の出来事であり、これまでの活動が評価された喜びも大きく、非常に強い印象の残る事件であるが故に記憶が鮮明に残っていることが自然であり、実際、籠池氏は、体験した者にしかなし得ない具体性、迫真性のある証言をしている。
これに対し、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間」に関する事実は、「証言を求める事項」に記載のない事項であり、記憶喚起のために時間を割くことが出来なかった上に、むしろ事務処理に属する事柄であり、時間をかけて資料を参照する等して記憶喚起しない限り正確な証言をすることは難しいが、実際には、籠池氏にそのような時間はなかった。安倍昭恵首相夫人が幼稚園において講演をしたような「印象のひも付」のされるイベントも存在しないし、籠池氏の役割は、「寄付依頼書に『安倍晋三記念小学校』の記載がある払込取扱票を同封して使用し」ないように指示をするところまでであり、副園長以下の幼稚園の職員が籠池氏の知らないところで残っていた用紙を使用したり、あるいは、他人に渡した用紙が籠池氏の知らないところで使われたかどうかまで、自己の体験事実として把握出来る立場にはなかった。
  ウ しかも、葉梨衆議院議員の場合には、書面の記載内容について質問をする際に、書面を見せることなく、場合によっては、書類を手に持ちつつ、内容を口頭で要約するだけで、書類の内容を確認する機会を籠池氏に与えることもなく、質問をしているが、このように、書面を見せることなく、書面の内容を問う質問は被質問者を混乱させ、記憶の喚起を難しくするだけであり、正確な回答をすることは期待し難い。
エ このように、籠池氏としては、記憶喚起のための時間が不足する中、午前中、午後と記憶を可能な限り喚起しつつ、自らの記憶にしたがった陳述をしたものであり、偽証をしたものではない。
(5)小括
   以上のとおり、籠池氏は偽証をしていない。
 3 証人喚問自体について適正な国政調査権の行使と言えるかどうか疑義があること
(1)証人喚問に至る経緯に関する疑義
   そもそも、今回の証人喚問は、与党側が籠池氏の参考人招致すら拒否していたにも関わらず、籠池氏が安倍昭恵首相夫人から100万円を受領したことを述べた途端、自民党の竹下亘・国会対策委員長が即座に「首相に対する侮辱だ」と反応したことに端を発して決定されており、そもそも、国政調査権(日本国憲法第62条)に基づく「国政に関する調査」を目的としたものではなく、一民間人に対する恫喝、口封じを目的とした「スラップ証人喚問」であるとの感が否めない。
(2)その余の関与者に対する対応についての疑義
   証人喚問を担当したのは衆参両院の予算委員会であり、国有財産の処分が重要なテーマである筈にも関わらず、借受け、買受けた側である一民間人の籠池氏が出頭義務、偽証の制裁の課せられる証人喚問であるのに対し、全国民の財産である国有地の借受け、売却等に関する意思決定に関与した上級公務員は偽証罪の制裁のない参考人に止まっていることは明らかに均衡を失する。
(3)証人尋問の態様に対する疑義
   そもそも、籠池証人に対する尋問の中には、端的に事実関係を聞くのではなく、意見陳述か演説か判明しないものが多く、問いの内容もワンセンテンス・ワンテーマになっておらず、事実関係を究明することを目的とするものとは到底思えないものが多々存在した。
   例えば、葉梨衆議院議員の場合には、書類を手に持ちつつ、内容を口頭で要約するだけで、書類の内容を確認する機会を籠池氏に与えることもなく、質問をしているが、このような態度は事実関係の究明を目的とする尋問者の態度とは考えられない。
 4 まとめ
   以上のとおり、籠池氏は偽証をしていないことは明らかであり、「偽証である疑いは濃厚」等の発言は、法的な根拠を欠くものであり、同氏に対する名誉毀損であり、その人格と尊厳を著しく傷つけるものであり、そのことを国会議員たる者、特に、元警察キャリア官僚である葉梨衆議院議員がこれを知らない筈はない。
   しかも、上記したような証人喚問に至る経緯、その余の関与者が参考人招致に止まっていること、証人喚問における質問のやり方がフェアとは言えないことに鑑みれば、本抗議書の対象となっている3名の国会議員の発言には、そもそも、公益を図る目的がなく、一民間人に対する人格攻撃、負の印象付けを目的とするものと判断せざるを得ないので、当職らは、本書面により強く抗議するとともに、「偽証である疑いは濃厚」等の発言をただちに、撤回されるように申し入れる次第である。

第3 本書面の送付等について
   本書面はご郵送申し上げると同時に、事務所にFAXをさせて頂き、メディア各位に対してもFAXし、また、インターネット上においても公開する。
なお、平成27年9月5日に安倍昭恵首相夫人が籠池氏に対し、金100万円を交付した事実に関する供述については供述の信用性を認めて頂け、偽証の疑いをかけられていないようであることは、誠に重畳なことであると考えていることを付言する。
以上
(全11頁 以下、余白。)


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