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児童ポルノ禁止法改正案衆院可決後を見据えた規制推進派の動き

児童ポルノ禁止法改正案は、衆議院において満場一致で可決されましたが、審議の様子からは、規制推進派は、激しい不満を抱いていることが伺われます。規制推進派の怨念は、渦巻き、出口を探しています。

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6/5 衆議院法務委員会 議事録

児童ポルノ禁止法改正案、衆議院法務委員会審議実況

衆議院法務委員会の土屋正忠のコラム
私は漫画の愛好家です。鉄腕アトム、サザエさん、ドラえもん、あしたのジョー、ゴルゴ13などなど人々に夢を与え、励まし、考えさせる〜児童ポルノ漫画は表現の自由に値しない


規制推進派の次なる動きは、どこに向かうのでしょうか。

私の予想は、青少年健全育成基本法案と「わいせつ」です。

青少年健全育成基本法案は、自民党の選挙公約ではありますが、何故、今さら、「わいせつ」なのでしょうか。

青少年健全育成基本法案では、18歳以上の者に対する販売行為等を禁止することは出来ません。ゾーニングだけであり、全面的な内容規制には踏み込めないからです。衆議院法務委員会の論調を見る限り、規制推進派は、児童を性的に取り扱った「過激な」創作物を全面的に禁止したがっていることは明らかであり、ゾーニングでは満足が出来ないのです。


実は、規制推進派は、児童ポルノ禁止法改正案の成立を見越し、次の動きを勧めています。

平成26年5月28日付で、「児童ポルノ問題を考える超党派勉強会」のお知らせが国会議員に配布されています。

呼びかけ人は、
自由民主党 平沢勝栄
公明党 富田茂之
日本維新の会 中田宏
の3人です。

このチラシの記載は、以下のようなものです。

我々3党有志は昨年5月、単純所持の禁止等を内容とする『児童ポルノ禁止法改正案』(議員立法)を通常国会に提出しました。この改正案(註:平成26年6月4日に撤回された創作物規制に関する調査研究規定を含む旧案)は、我が国の児童ポルノ問題の実情と児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえたものでしたが、成立に至らず継続審議となりました。この問題に関しては、表現の自由との兼ね合いから規制に慎重な意見が存在しますが、他方殆どの先進諸国では我が国より厳しい規制をかけていることも事実です。そうした中で、この度、駐日アメリカ大使館よりアメリカ本国から専門家が来日するので、同国の規制の実情を是非知って欲しいとの連絡がありました。国会終盤でご多忙のところ恐縮ですが、我が国の今後の規制の参考にするため是非ご出席くださるようお願い致します。

公明新聞の6月5日の記事によれば、

改正案は自民、公明、維新3党が昨年の通常国会に提出。その後、民主、結い両党を含めた5党実務者が改正案の修正協議を行い、5月22日には大筋で合意していた。

とあります。つまり、この勉強会の呼びかけが出た時点において、呼びかけ人たちは、旧案は撤回され、今回、可決された改正案が委員長提案で採決されることは分かっていたのです。

この勉強会は、今回の改正案可決後の「次」を見据えたものであることは明らかです。

勉強会の呼びかけ文には、「表現の自由との兼ね合い」という言葉が使われていますが、「冤罪」や「警察権力」の様な刑事司法の適正さの観点から疑問を呈する言葉は使われていません。

海外のメディアの論調を見ても、「日本はようやく児童ポルノの所持を違法にした」と強調する一方で、アニメや漫画は既成の対象から外れたと報じています。


故に、今回成立した、「自己の性的好奇心を満たす目的」に関する規制をより徹底的な「単純所持」規制に強化しようという動きではないと思います。

アメリカにおいては、「実在しない児童を利用したポルノ」の規制には、「わいせつ」概念が利用されています。
アメリカの「わいせつ」概念と日本の「わいせつ」概念は、全く異なるものですが、「性道徳」を保護法益とする点では、共通しています。

「児童を性の対象とすること自体が性道徳に反する。」という論理で、「わいせつ」の概念を拡張し、児童の人権保護ではなく、「性道徳の維持」を目的とした新規立法を目論んでいるというのが私の予想です。

アメリカのわいせつ規制は、日本のように性器部分の「消し」の有無、濃淡、大きさを問題にするような単純なものでもありませんし、価値中立的なものでもありません。作品全体のコンテクスト、文脈から判断されることになります。

新たな「わいせつ」規制は、従来の「わいせつ」規制とは違い、性器部分にモザイクや「消し」を入れれば、回避できるというものにはとどまらないでしょう。

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児童ポルノ禁止法改正案の衆議院通過、あと10年間、粘りましょう。

児童ポルノ禁止法改正案が衆議院を通過しました。

具体的な条文はこちら

1)創作物規制を前提として調査研究規定なし。付帯決議もなし。
2)3号ポルノの範囲について、明確化+限定。
3)性的好奇心を満たす目的での「所持」についても、「自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、
当該者であることが明らかに認められる者に限る。」とかなり適用対象を限定した。
4)第3条「適用上の注意」既定の充実、「この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」

不満は残りますが、まずまずの内容です。

規制反対派が、2004年の最後の改正から10年間、小泉旋風、政権交代、超巨大与党の時代、世界を席巻しつつあった「『児童ポルノ』に関するマス・ヒステリア」など危機が続いた中、政治情勢を冷静に分析し、理性的かつ合理的に反対運動を展開した成果です。

1999年の法制定時から見れば、創作物規制への反対運動は15年間に亘って続いてきました。粘り強く続いて来ました。

私自身で言えば、1999年当時は23歳、現在38歳です。立派な中年になってしまいました。

これだけ長い間、粘り抜いたことは、個人情報保護法、特定秘密保護法等、近年の問題法案に対する反対運動が概ね「玉砕」で終わっていることに比べ、大きな成果です。

表現規制反対運動は、大まかに言えば、世代問題でもあります。後10年間、粘り抜きましょう。未来は、規制反対派のものです。そのとき、僕は、48歳、初老になっています。

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「集団的人権論」に対する反駁

特定人を名宛人としない性的な表現物が子どもや女性等の人権を侵害するという議論(?)をされている方々がいます。これを「集団的人権論」と仮に呼ぶことにします。実際には、人権でも何でもなく、自分達が好ましくないものを弾圧する口実として「人権」概念を用いているだけの屁理屈ですが、説得力があると誤解してしまう人が出ても困ります。


以下、「女性」を例にとって集団的人権論に対する反駁を行います。「女性」のところは、「子ども」に置き換えても、大体話は通じます。性的な表現物ではなく、いわゆる差別発言、ヘイトスピーチ等に対する規制を求める議論に対する反駁としても使える議論です。

なお、差別発言、ヘイトスピーチ等への法的な評価に関する私の見解は以下の過去記事を御参照下さい。


石原知事「ババァ」発言、女性たちの賠償請求棄却

【石原慎太郎】姜尚中氏の福岡応援に石原知事反発 「怪しげな外国人」【問題発言】

イスラムの預言者風刺漫画とホロコースト風刺漫画


日本国憲法第13条に「個人として尊重」とあるように、個人の尊厳こそが人権の根拠とされており、人権概念の根底にあるのは、自己決定権です。「集団的な人権」という概念は、自己決定権を基調とする日本国憲法の人権概念とは相容れないものです。我が国における人権制約の唯一の根拠は、「公共の福祉」ですが、これは人権と人権が衝突する場合の調整原理です。「集団的な人権」という概念が認められない以上、表現の自由と対立する人権が存在しないというべきであり、「集団的な人権」の「侵害」なるものは、表現の自由を「法的」に制約すべき根拠とはなりえないというべきです。

ポイントは「法的」にということです。表現に対する評価は当然自由に行われるべきものであり、批判、議論の対象とする自由は当然にあります。また、政治的な責任の追及も当然にありえるでしょう。しかしながら、「法的」な責任を負わせる根拠にはならないし、「法的」に表現の自由を制約することの根拠とはなりえないのです。


理念的な問題はさておいても、表現の自由に対する法的な制約の根拠となりうる「女性の集団的な人権」という概念を認め、「女性の集団的な人権」の侵害を根拠とする表現の自由の制約を認めることは、以下の通り、著しく表現の自由を制約する結果を生じせしめますが、これは、また、この規制を盛り込むのは『北京宣言行動綱領 第Ⅳ章 戦略目標及び行動』に記載されている「表現の自由に矛盾しない範囲」文言に反し(http://www.gender.go.jp/kodo/chapter4-J.html)、また、日本国憲法第21条に反するものです。


第一に、特定の個人を名宛人としない表現行為には具体的な被害者がいない以上、「集団的な人権」が侵害されたか否か、どの程度侵害されたかは、公権力が恣意的に判断することが可能になります。謂わば、公権力に表現内容の是非を判断させる自由裁量権を付与するに等しい結果となります。実際には、具体的な人権侵害を離れた、「~の尊厳に対する罪」のようなものになり、戦前の不敬罪に類似した規制となってしまいます。

第二に、「集団」に属する個人の自己決定権を無視することになります。「集団的な人権」が侵害されたか否かを判断するのは誰なのでしょうか?表現をどのように受け止めるかは、最終的には個々人の問題です。人の感性がさまざまである以上、ある種の表現について差別的と受け止める女性もいるでしょうし、あるいは、問題ないと受け止める女性もいるでしょう。全ての女性に意見を聞くのでしょうか?全ての女性の意見を聞くことは現実的ではない以上、「集団的な人権」が侵害されたか否かの判断は公権力が行うことになります。その際には、規制に反対する当該表現は問題ないと考える女性の自己決定(意思)は無視される結果になります。「集団的な人権」により、「個々の女性の人権」が制約されることは明らかに不当な結論です。特に、漫画やゲーム等のサブカルチャーと言われるジャンルにおいては、数多くの女性クリエイターが活躍しており、今回の議論において規制が想定されているジャンルもまた例外ではないことも、看過されるべきではありません。

第三に、「女性の集団的な人権」という概念を認め、「女性の集団的な人権」の侵害を根拠とする表現の自由の制約を認めることは、非常に安易な「表現狩り」につながりかねず、却って問題の所在を不明確にする危険性が強いと言えます。差別を論じるためには、差別的な表現を避けて通ることは出来ないことは言うまでもありません。

第四に、表現の自由に対する法的な制約の根拠となりうる「集団的な人権」という概念を認めてしまうと、「集団的な人権」の対象となる集団が際限なく広がってしまいます。例えば、「イスラム教徒」の「集団的な人権」を守るために、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺等をする表現を規制したり、あるいは、「ユダヤ人」の「集団的な人権」を守るために、ホロコースト否定論を規制したりすることも可能になりますし(なお、私はホロコースト否定論者ではありませんし、ホロコースト否定論を初めとする歴史修正主義については批判的な立場であることを付言します。)、国松元警察庁長官銃撃事件が公訴時効にかかった後の警視庁の「言い訳」は、「オウム真理教信者」の「集団的な人権」を侵害することにもなるでしょう。むしろ、「集団的な人権」という考え方を推し進めるのであれば、特定の集団を特別扱いしないという「平等」の観点からは、「イスラム教徒」、「ユダヤ人」、「オウム真理教」等々の「集団的な人権」を認めるという方向性に行くのではないかと思います。表現の自由は画餅となることは明らかです。

第五に、「集団的な人権」に対する侵害を根拠とする表現の自由に対する法的な制約を認めてしまうと、特定の「集団」が自らに対する批判を封殺するための手段として、刑事手続きや訴訟制度を悪用する可能性があります。例えば、ある企業ないし団体の構成員が、自らの所属する集団に対する批判を封殺するために、個々の構成員が原告となって一斉に全国で訴訟提起するようなことが考えられます。実際、「幸福の科学」という宗教団体の信者らが、「幸福の科学」に対する批判的な記事を掲載した出版社に対し、訴訟を提起しているという事件が過去にあります。


以上のとおり、「集団的な人権」に対する侵害を根拠とする表現の自由に対する法的な制約を認めることは、とりもなおさず、個々の人権を軽視することに繋がりかねないだけではなく、特定の集団による恣意的な言論弾圧を正当化するために使われる危険性があるのです。

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「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」に対するパブリックコメント

第3次男女共同参画基本計画(中間整理)案に創作物規制案が!

において紹介しました、「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」に対するパブリックコメントを送りました。

<パブリックコメントの募集期間>
平成22年4月16日(金)~平成22年5月12日(水) ※郵送の場合は、平成22年5月12日消印有効

パブリックコメントの送付方法>をご覧になれば、分かるとおり、対象項目ごと、

第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」

に送らなくてはならないので、

第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」

の順番で、提出した意見を掲載します。なお、重複箇所も多いため、

第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

において、下線を引いてある箇所は、

第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」

では、省略していますので、お気をつけください。

☆★☆★第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶に対するパブリックコメント☆★☆★

[意見内容]
「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「8 メディアにおける性・暴力表現への対応」、「③ 児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する。」(P38)について意見を述べます。

漫画・コンピュータグラフィックス(以下、纏めて「創作物」)によるキャラクターは、どんなに性的の虐待対象とされていようとも被害者ではありません。映画や小説の中の犯罪行為に実際の被害者が存在しないのと同じ理屈です。これを混同する議論こそ、「現実と空想を区別しない」ものとして、排斥されるべきです。

犯罪への欲望と犯罪行為を同一視することは許されません。描写されている児童との性行為が犯罪であるとしても、児童に対する性的な欲望そのもの、あるいは、これをファンタジーとして受容することは犯罪ではありません。近代国家である以上、この原則を動かすことは出来ません。犯罪への欲望を自己の内面に留めずに、他人が受容しうる表現にした場合も同様です。犯罪を誘発する俗説に反し、実在の児童を被写体とする児童ポルノ、あるいは、実在の児童を被写体としない創作物が現実の性犯罪、性的な虐待を誘発し、性犯罪、性虐待を容認する風潮を助長する根拠は存在しません。実際、創作物規制を導入していない我が国の性犯罪の件数は、規制の厳しい他国と比べても少ないことからも明らかです。

仮に、児童ポルノ法の枠内において、創作物の規制を導入した場合、実在しないキャラクターの年齢が問題になります。実在の児童が被写体となっている場合には、児童の特定が出来なくても、小児科医等の専門家の鑑定により、18歳未満かどうかの客観的な判断はかろうじて可能です。しかしながら、実在しないキャラクターには、設定上の年齢しか存在せず、年齢の設定がないこともあり得ます。人間ではなく、数千歳の宇宙人、年齢の存在しないアンドロイドという設定もあり得ます。結局、「見た目」で判断するしかなくなるが、客観的な判断基準は存在しないため、捜査機関による恣意的な判断を回避する方法はなく、創作活動に対する捜査機関の自由な介入を許してしまうことになりかねません。

さらに、「見た目」を基準として規制を問題にする以上、18歳以上の者が18歳未満であるという設定で登場、出演する表現物についても規制すべきとの議論が巻き起こることは必至です。実際、日本ユニセフ協会等は、同種の主張をしています。しかしながら、これでは、同じ20歳の役者が出演している場合であっても、見た目が若く見える人の場合には、摘発の対象となってしまいますが、これは、容姿、外見による差別に他なりません。

創作物規制は、憲法21条で保障された表現の自由に対する制約に他なりませんが、規制を正当化する対立利益(人権侵害)はどこにも存在せず、憲法21条に違反します。容姿、外見による差別に繋がる可能性もあり、個人の尊厳の尊重を定めた憲法13条にも違反します。憲法や表現の自由を持ち出す以前に「空想と現実を区別しない妄論」であり、常識にも反します。妄論が正論として罷り通りそうな国際的なマス・ヒステリアが存在するのであれば、冷静な検討と議論を呼びかけるのがコンテンツ産業大国である我が国の役割であると考えます。

 以上のような理由から、「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「8 メディアにおける性・暴力表現への対応」、「③ 児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する。」(P38)には反対いたします。

次に、「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「8 メディアにおける性・暴力表現への対応」「(1) 施策の基本的方向 女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲーム等バーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。」こと、「(2) 具体的な取組 ④ メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」ことについて、意見を述べます。

 「女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、」という表現からも明らかなように、「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)は、表現行為が「女性」の「集団的な人権」を侵害することを問題としています。

しかしながら、我が国においては、日本国憲法第13条に「個人として尊重」とあるように、個人の尊厳こそが人権の根拠とされており、「集団的な人権」という概念は、日本国憲法の人権概念とは相容れないものです。我が国における人権制約の唯一の根拠は、「公共の福祉」ですが、これは人権と人権が衝突する場合の調整原理です。「集団的な人権」という概念が認められない以上、表現の自由と対立する人権が存在しないというべきであり、「集団的な人権」の侵害は、表現の自由を制約すべき根拠とはなりえないというべきです。

また、理念的な問題はさておいても、「女性の集団的な人権」という概念を認め、「女性の集団的な人権」の侵害を根拠とする表現の自由の制約を認めることは、以下の通り、著しく表現の自由を制約する結果を生じせしめますが、これは、また、この規制を盛り込むのは『北京宣言行動綱領 第Ⅳ章 戦略目標及び行動』に記載されている「表現の自由に矛盾しない範囲」文言に反し(http://www.gender.go.jp/kodo/chapter4-J.html)、また、日本国憲法第21条に反するものです。


第一に、特定の個人を名宛人としない表現行為には具体的な被害者がいない以上、「集団的な人権」が侵害されたか否か、どの程度侵害されたかは、公権力が恣意的に判断することが可能になります。謂わば、公権力に表現内容の是非を判断させる自由裁量権を付与するに等しい結果となります。実際には、具体的な人権侵害を離れた、「~の尊厳に対する罪」のようなものになり、戦前の不敬罪に類似した規制となってしまいます。

第二に、「集団」に属する個人の自己決定権を無視することになります。「集団的な人権」が侵害されたか否かを判断するのは誰なのでしょうか?表現をどのように受け止めるかは、最終的には個々人の問題です。人の感性がさまざまである以上、ある種の表現について差別的と受け止める女性もいるでしょうし、あるいは、問題ないと受け止める女性もいるでしょう。全ての女性に意見を聞くのでしょうか?全ての女性の意見を聞くことは現実的ではない以上、「集団的な人権」が侵害されたか否かの判断は公権力が行うことになります。その際には、規制に反対する当該表現は問題ないと考える女性の自己決定(意思)は無視される結果になります。「集団的な人権」により、「個々の女性の人権」が制約されることは明らかに不当な結論です。特に、漫画やゲーム等のサブカルチャーと言われるジャンルにおいては、数多くの女性クリエイターが活躍しており、今回の議論において規制が想定されているジャンルもまた例外ではないことも、看過されるべきではありません。

第三に、「女性の集団的な人権」という概念を認め、「女性の集団的な人権」の侵害を根拠とする表現の自由の制約を認めることは、非常に安易な「表現狩り」につながりかねず、却って問題の所在を不明確にする危険性が強いと言えます。差別を論じるためには、差別的な表現を避けて通ることは出来ないことは言うまでもありません。

第四に、「集団的な人権」という概念を認めてしまうと、「集団的な人権」の対象となる集団が際限なく広がってしまいます。例えば、「イスラム教徒」の「集団的な人権」を守るために、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺等をする表現を規制したり、あるいは、「ユダヤ人」の「集団的な人権」を守るために、ホロコースト否定論を規制したりすることも可能になりますし(なお、私はホロコースト否定論者ではありませんし、ホロコースト否定論を初めとする歴史修正主義については批判的な立場であることを付言します。)、国松元警察庁長官銃撃事件が公訴時効にかかった後の警視庁の「言い訳」は、「オウム真理教信者」の「集団的な人権」を侵害することにもなるでしょう。むしろ、「集団的な人権」という考え方を推し進めるのであれば、特定の集団を特別扱いしないという「平等」の観点からは、「イスラム教徒」、「ユダヤ人」、「オウム真理教」等々の「集団的な人権」を認めるという方向性に行くのではないかと思います。表現の自由は画餅となることは明らかです。

第五に、「集団的な人権」を認めてしまうと、特定の「集団」が自らに対する批判を封殺するための手段として、刑事手続きや訴訟制度を悪用する可能性があります。例えば、ある企業ないし団体の構成員が、自らの所属する集団に対する批判を封殺するために、個々の構成員が原告となって一斉に全国で訴訟提起するようなことが考えられます。実際、「幸福の科学」という宗教団体の信者らが、「幸福の科学」に対する批判的な記事を掲載した出版社に対し、訴訟を提起しているという事件が過去にあります。

 以上の通り、「第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶」、「8 メディアにおける性・暴力表現への対応」「(1) 施策の基本的方向 女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲーム等バーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。」こと、「(2) 具体的な取組 ④ メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」ことには反対いたします。

☆★☆★第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」に対するパブリックコメント☆★☆★
第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」「「Ⅱ 今後の目標」、「女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から啓発を行うとともに、メディア側の自主規制等の対策を働きかける。」(p52)、「⑤ メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進やDVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」(p53)ことについて、意見を述べます。

「女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から」という表現からも明らかなように、「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)は、表現行為が「女性」や「子ども」の「集団的な人権」を侵害することを問題としています。

(省略=第8分野に対するコメントの下線部と同じ)

以上の通り、第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」「「Ⅱ 今後の目標」、「女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から啓発を行うとともに、メディア側の自主規制等の対策を働きかける。」(p52)、「⑤ メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進やDVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。」(p53)ことには反対いたします。

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第3次男女共同参画基本計画(中間整理)案に創作物規制案が!

「第3次男女共同参画基本計画(中間整理)」にて、児童ポルノ禁止法などによるマンガやアニメ、ゲームなどへの規制の提案が盛り込まれているのが判明しました。

現在パブリックコメントを募集しております。

「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」について


第8分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶

P38
③ 児童ポルノの根絶に向けて、国民運動の実施、インターネット上の流通防止対策の推進や閲覧防止対策の検討等総合的な対策を検討・推進するとともに、児童ポルノ法の見直しや写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制の在り方について検討する。

P40
8 メディアにおける性・暴力表現への対応
(1) 施策の基本的方向
女性をもっぱら性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲーム等バーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。

(2) 具体的な取組
④ メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」

P52
Ⅱ 今後の目標
女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から啓発を行うとともに、メディア側の自主規制等の対策を働きかける。

P53
⑤ メディア業界の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進やDVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。


なお、策定の背後にいるのは、東京都青少年健全育成条例と同じ後藤啓二弁護士らのようです。


今回の第3次男女共同参画基本計画の特徴は、「できる限り具体的な数値目標やスケジュールを明確に設定した上で、その達成状況について定期的にフォローアップを行う」(第1部 基本的考え方 P2)とあり、実効性に重き
を置いている点です。
これが閣議決定されると今後、国を挙げての規制への動きが加速すると思われ、非常に問題だと思われます。

現在パブリックコメントが募集されており、意見を送ることが重要かと思われます。もし出来ましたら皆様もこの件を、HPやブログ、ツイッター、mixiなどで広めていただけると幸いです。


■パブリックコメント
「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」に関する意見募集について

1.意見募集対象「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」

2.意見募集期間(意見募集開始日及び終了日)
 平成22年4月16日(金)~平成22年5月12日(水)
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/kihon/sanjikeikaku/ikenboshu.html

「II-8.女性に対するあらゆる暴力の根絶」意見募集メールフォーム

「II-12. メディアにおける男女共同参画の推進」意見募集メールフォーム

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【実写と】アマゾン、販売自粛 「ジュニアアイドル」過激作品【創作物は区別しよう】

アマゾン、販売自粛 「ジュニアアイドル」過激作品

 インターネット通販大手、アマゾンジャパンが「ジュニアアイドル」と呼ばれる少女らの過激な水着姿のDVDや写真集の一部について販売を取りやめたことが17日、関係者の話で分かった。大手通販サイトの自粛により、今後、作中の演出や販売動向に影響が出る可能性もある。

 小中学生など18歳未満のモデルが露出度の高い水着を着たり、性行為を連想させるポーズをとる作品は近年、過激化。違法の線引きは明確でないが、今年2月には、水着の下に手を入れたDVDを作製したとして、フリーカメラマンの男らが全裸シーンがない作品では初めて児童買春・ポルノ禁止法違反罪で逮捕、起訴されるなど規制の動きがある。

 アマゾンの販売自粛は、女性や子供への犯罪や人身売買の問題に取り組むNPO法人「ポラリスプロジェクト」日本事務所が要請。「違法にならないという作品にも子供が性的商品にされているものがある」として、日本よりも児童ポルノの規定が厳格とされる米国の判例を基準にしてサイトの作品を調査。8~17歳の日本人の男女が出演している136点を「児童ポルノ」として販売停止を要請し、今月に入り84点がサイトから削除されたという。

 アマゾンジャパン広報部は「外部から指摘を受けることはあるが、販売の可否は社内のガイドラインに従い判断している。ガイドラインの内容は公表していない」とした。

5月18日7時56分配信 産経新聞
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取次ぎ、流通業者による「自主規制」は実質的な表現の自由の圧殺につながりかねなませんが、今回は、アマゾンの対応に賛成します。

「ジュニアアイドル」と呼ばれる少女らの過激な水着姿のDVDや写真集には被写体となっている「被害者」がいるからです。

定義の困難さ故に(通常の裸体写真・芸術との線引き等)、現行法で摘発可能な範囲外にあるこの手の作品に対する法的な規制の導入については慎重な議論が必要になります(特に、単純所持規制には反対せざるを得ない)。
しかしながら、この手の「作品」が、被写体とされている児童の人権を侵害していることは間違いありませんし、その流通を抑制することは被害者の人権救済には資する対応です。今回は、アマゾンの対応を支持する所以です。

児童ポルノに該当するかどうかという議論はさておいて、これを製造している連中に対し、児童福祉法違反等の既存の法令を駆使した対応は十分に可能ですし、関係捜査機関の努力に期待したいところです。

もう一つは親の問題です。
業者からお金が親に出演料などの名目でお金が渡されている場合、親が子を食い物にする構図は否定できません。こういう作品に出演を許諾する親の親権の剥奪or制限くらいは考えてもいい時期にきているのかも知れません。

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【公明新聞】ゲームソフト規制のあり方探る【やっぱり公明党か】

ゲームソフト規制のあり方探る

公明新聞:2009年5月16日

ゲームソフトの販売状況の説明を受ける太田代表と党PT=15日 東京・千代田区(一部画像処理)

東京・秋葉原で販売実態を視察
太田代表と党PT

ゲームソフトの販売状況の説明を受ける太田代表(中央左)と党PT=15日 東京・千代田区(一部画像処理)
女性に性的暴行を繰り返す日本製のゲームソフトが海外の人権団体から抗議を受けた問題を受け、公明党の太田昭宏代表と「子どもを守り育てる環境整備に関するプロジェクトチーム」(PT、池坊保子座長=衆院議員)は15日、販売実態を把握し規制のあり方を探るため、東京都千代田区内の万世橋警察署で説明を受け、秋葉原の電気店街を視察した。

これには池坊座長のほか、伊藤渉PT事務局長らが参加した。

ゲームソフトの販売実態について、万世橋警察署の生活安全課は、電気店街の約100店舗で取り扱いがあり、外国人観光客による購入も目立つと指摘。取り締まりについては、18歳未満の児童を性的に描写していても、現行法がアニメを規制の対象外としていることから、困難であると説明した。その後、一行は同課の案内で販売店を視察した。

視察を終え、太田代表は「販売されているゲームソフトも刺激が強く、悪い影響が心配だ。(規制については)いろいろな意見を聞いて、調査を重ねたい」と話した。
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やっぱり、規制の根拠が書かれていません・・・。
「刺激が強く悪い影響が心配」なんてのは、規制の根拠とは言えません・・・。

記事の結論は、「(規制については)いろいろな意見を聞いて、調査を重ねたい」というものですから、自民党・公明党が提出している児童買春・児童ポルノ規制法改正案を意識したコメントだと思われます。

法案が国会に提出している現状で、「外圧」が独り歩きして、思考停止のまま議論が進められることについて、強い懸念を感じます。

今回の視察には、地元の警察が同行しています。販売状況について具体的な問題点の指摘があれば、絶対に記事にされる筈です。記事に言及がないということは、東京都青少年健全育成条例等を順守する形での販売がなされていたということでしょう。

公明党の「子どもを守り育てる環境整備に関するプロジェクトチーム」(PT、池坊保子座長=衆院議員)が関心を持ったようですが、日本は諸外国と比較しても治安も良く、子供に対する性犯罪等の少ない国です。
諸外国とは事情が違うし、文化的な背景も違うのです。

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【規制の根拠は?】性暴力ゲーム、規制議論を【根拠がない!】

性暴力ゲーム、規制議論を

性暴力ゲーム、規制議論を

 少女らをレイプして妊娠・中絶させる内容の日本製のゲームソフトに、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」が抗議活動を始めたのを受け、横浜市のメーカーや大手販売サイトがこのゲームの販売を取りやめた。

 ただ、女性を監禁してレイプする同種のゲームは国内で多く出回っており、専門家は「このゲームは氷山の一角」と指摘している。

同種ソフトネットで大量流通

 問題のレイプゲームは、横浜市のゲームソフトメーカーが制作し2006年から販売していた。未成年とみられる少女2人とその母親を地下鉄車内で痴漢した後、監禁し、妊娠や中絶に至るまでを疑似体験するというパソコン用ゲーム。暴行を重ねるほど得点が得られる仕組みで、レイプという犯罪をゲームとして楽しむ内容が、英国の国会でも問題視された。

 「イクオリティ・ナウ」の理事で弁護士の角田由紀子さんは、「メーカーが販売を中止したことは歓迎するが、特定のゲームだけが問題なのではない。類似の商品が多い状況は変わらない」という。

 レイプなどの女性への性暴力を繰り返すゲームは、ほかにも大量に流通している。問題となったゲームが抗議活動のターゲットとなったのは、「タイトルに『レイプ』という言葉が含まれていて、外国人にも内容が一目りょう然だったため」と、福島大准教授の中里見(なかさとみ)博さんはいう。

 パソコン用ゲームのメーカー235社が加盟する一般社団法人コンピュータソフトウェア倫理機構(東京)は、1992年から加盟社が製造・販売するゲームソフトの自主的な審査を行っている。審査で問題のある表現が見つかった場合は、機構がメーカーに削除や修正を指導するが、問題のゲームはこの審査をパスして販売されていた。

 同機構は審査基準を公表していないが、「刑法や児童買春・児童ポルノ禁止法など関係法令に抵触しないようにしている。加えて、社会的な許容範囲を超えないよう自主的に規制している」と説明する。

 ただ、性暴力を扱った商品が問題となることがこれまでにもあり、「どういう自主規制をすれば社会的に許容されるか、検討すべき課題だと思う」とする。

 インターネットで国を越えて情報が流通するなか、子どもを性的に描写した児童ポルノの扱いが国際的な問題になっており、米国や英国などは漫画やコンピューターグラフィックス(CG)の画像なども含めて製造や販売を禁止している。一方、日本ではCGを使ったパソコン用ゲームなどのバーチャル(仮想的)なポルノは禁止していない。

 児童ポルノなどの問題に詳しい日本ユニセフ協会の中井裕真さんは、「かつては裏の世界で流通していたものが、インターネットでオープンに売買されるようになり、子どもの目にも簡単に触れるようになった。特殊な世界の話ではなくなっており、規制のあり方について広く議論する必要がある」と指摘する。
(2009年5月13日 読売新聞)
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これだけ長い記事なのに、何故規制すべきかという根拠についての言及が全くない!

日本で規制がされていないのは、規制を正当化する理由がないからです。日本の立法府が真っ当なのであり、諸外国のマスヒステリアに巻き込まれていないだけです。

表現の自由は、多数決(国会の立法)でも侵害しえない権利を認めるものです(そうでないと、わざわざ憲法典に入れる意味がない)。多数から忌避されるような表現活動に認めないと意味がありません。具体的な被害者がいない以上、表現の自由と対立する利益は存在しません。規制することは大いに問題があるでしょう。

>米国や英国などは漫画やコンピューターグラフィックス(CG)の画像なども含めて製造や販売を禁止している。
 少なくとも、米国は違いますね。漫画やCGでも規制の対象となるのは、「わいせつ」(日本の「わいせつ」概念よりも範囲は狭い)に該当するものだけです。漫画やCGでの規制については、連邦最高裁で違憲判決も出ています。

「児童ポルノ防止法は違憲」、最高裁が裁定
ネット上のポルノ規制は違憲~米最高裁判決


>児童ポルノなどの問題に詳しい日本ユニセフ協会の中井裕真さんは、「かつては裏の世界で流通していたも
>のが、インターネットでオープンに売買されるようになり、子どもの目にも簡単に触れるようになった。特殊な
>世界の話ではなくなっており、規制のあり方について広く議論する必要がある」と指摘する。

ん?何時からエロゲーは「裏の世界」で流通していたのですか?というか、「裏の世界」って何ですか?

規制派の方々におかれては、気が済んだら、そろそろ現実を見る作業に戻って頂きたく存じます。

2009/06/08 New! 頂いたコメントへの反論
> APP研の関係者が。
> 日本の強姦件数について。
> 「「強姦発生件数」は間違いで「強姦認知件数」を指す。
○いわゆる「暗数」の議論ですね。日本の統計に暗数があるのであれば、海外の統計にも暗数はある筈です。

> 日本は特に性犯罪被害者に対しての落ち度論が盛んであり、性犯罪を申告しづらい環境が存在する以上、わが国の実際の強姦発生件数は、他国と比べてもかなり高い数字であると確信しています。
○具体的な根拠は?「確信」というのは、要するに「信念」(=願望)であり、何の根拠にもなりません。

> 簡易調査ではありますが、かなりの割合で強姦を含む性犯罪被害事案が発生していると裏付け
> られる話を聞いたことがあります。」
○具体的な数値、統計調査方法等をお示し頂かない伝聞の証拠価値は限りなく低いと思います。

> と言っているのですが、山口先生はこれについてどう思いますか?。
> 創作物規制へ対抗するために「日本は性犯罪が少ない」というのは重要なんですが、こう反論されると、どう返していいものか分かりません。
○細かい理屈を抜きにしても、日本の治安が良いことは海外旅行を一度でもされた方であれば、実感されているのではないかと思います。

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【新たなる】日本製「性暴力ゲーム」欧米で販売中止、人権団体が抗議活動【外圧か?】

日本製「性暴力ゲーム」欧米で販売中止、人権団体が抗議活動

少女を含む女性3人をレイプして妊娠や中絶をさせるという内容の日本製のパソコンゲームソフトに海外で批判が高まっている。

 日本での販売中止を求める抗議活動を国際人権団体が始めた。このゲームは2月に英国の国会で問題になり、ビデオ・書籍のネット販売大手「アマゾン」が扱いを中止した。しかし、児童ポルノなどの規制が緩い日本では今でも流通している。

 このゲームは、未成年と見られる女子2人とその母親を電車内で痴漢した後にレイプし妊娠や中絶をさせるまでを、コンピューターグラフィックスを使った画像で疑似体験するという内容。横浜市のゲームソフトメーカーが2006年に売り出した。

 今年に入り海外の人権団体で問題視されるようになり、英国ではこのゲームをアマゾンで入手できることに驚いた国会議員らが同国内での流通に反対する動議を提出した。こうした動きが英国などのメディアで報じられ、英国アマゾンは2月にこのゲームの取り扱いを中止。米国のアマゾン本社も取り扱いの中止を公表した。

 しかし、日本では児童ポルノなどの法規制が緩く、日本の「アマゾン・ジャパン」は最近、このゲームの販売を中止したが、ほかの通信販売では今も入手できる。

 抗議活動を始めた国際人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・ニューヨーク)は「女性や少女への暴力をテーマにした産業が日本で高収益を上げ、『ロリコン』と呼ばれる少女の児童ポルノ市場も巨大化している」との声明を発表。「日本政府はなぜレイプを奨励するかのようなゲームの流通を止めないのか」と政府の対応にも批判を向ける。

 同団体は6日、このゲームを含むレイプ、監禁などの性暴力ゲームの制作会社や販売会社、麻生首相ら日本政府の要人らに抗議文を出すように、160か国の会員3万人に呼びかけ始めた。国内の人権団体の関係者なども、こうした活動を機に、販売会社などへ働きかけを行っている。

 このゲームのメーカーは、「この商品は業界で作る自主審査機関を通っており、国内向けに販売しているもの。海外の団体からの抗議は承知しておらず、コメントのしようがない」と話す。販売本数は明らかにしていない。

 ◆児童ポルノ 18歳未満の児童を性的に描いた画像で、児童買春・児童ポルノ禁止法では製造や販売などが禁止されている。しかし、個人がパソコンなどを通じて入手する単純所持は禁じられていない。また、アニメや、コンピューターグラフィックスを使ったゲームなどのバーチャル(仮想的)なポルノは製造販売も禁止されていない。日本の規制の強化を求める声が上がっている。

:5月8日3時2分  読売新聞

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まー、確かにあんまり趣味のいいゲームではないようです。が、表現の自由は、多数決でも侵害しえない権利を認めるものである以上、多数から忌避されるような表現活動に認めないと意味がありません。具体的な被害者がいない以上、規制することは大いに問題があるでしょう。

「女性に対する差別や偏見を助長する」というのは、表現を制約する根拠にはなりません。批判し、非難することは当然としても、発売禁止を求めることは間違っています。と言っても、ああいう人は聞かないんでしょうけどね。

「イクオリティ・ナウ」 Equality Now
http://www.equalitynow.org/english/index.html
http://www.equalitynow.org/english/actions/action_3301_en.html

このサイトには、ご丁寧にクレームレターのテンプレがついていますが、内容は滅茶苦茶です。

① 女性差別撤廃条約 5(a)は、エロゲーを含むポルノグラフィの規制を批准国に義務付けていません。

② 日本国憲法第14条は、エロゲーを含むポルノグラフィの規制を日本国に義務付けていません。ていうか、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という条文から、政府に対するポルノ規制の義務を読み込むという非常識な解釈は聞いたことはありません。旧司法試験の答案なら不合格間違いなし。

③ エロゲーはただのフィクションです。女性差別や女性に対する暴力を助長するものではありません。

④ エロゲーに被害者はいません。生身の人間と創作物であるキャラクターを同一視すべきではありません。

⑤ エロゲーがほぼ自由に販売されている日本の性犯罪率はダントツに低いです。Equality Nowの活動拠点は、ニューヨーク、ロンドンとナイロビにあるようですが、東京の方が絶対に男性・女性を問わずに安全です。

2009/05/10 New!②
⑥ エロゲーユーザーのかなりの割合は女性ですし、女性向けのエロゲーというものも存在するのですが・・・。
女性差別/偏見助長という観点からエロ批判する人達の最大の弱点ですね。

<反論終わり>

2009/05/09 New!① 今回の事件について「反オタク議員リスト」メモ詳細な報告をしています。こういう地道な調査・裏取りをしていただける方がいることは、本当にありがたいことです。

今回の騒動が、外圧等ではなく、「イクオリティ・ナウ」と緊密な関係にあるポルノ・買春問題研究会(The Anti Pornography and Prostitution Research Group)という、特殊なフェミニズム的思想を背景とする団体による、マッチポンプ(火元が日本であるという意味において)である可能性が高いことが明らかにされています。

今回の騒動の真相が、まっとうな国際世論に基づく外圧等ではないこと、ポルノ・買春問題研究会(The Anti Pornography and Prostitution Research Group)やその関係者の素性、背景としている思想等を明らかにしていき、政治家、特に保守系の政治家の方々に理解して頂くことが重要だと思います。

2009/05/09 New!② こういう動きの背景に、同業者がいるというのは本当にショックです・・・。一体、今まで35年近くも何を考えて弁護士バッジをつけていたんでしょうかねえ。

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【児童ポルノ】「ポルノ漫画も規制を」児童性的搾取会議で日本批判【創作物規制】

「ポルノ漫画も規制を」児童性的搾取会議で日本批判

 【リオデジャネイロ=榊原智子】ブラジルで開かれている「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」で26日、日本はマンガやアニメで子どものポルノを規制していないとして参加者から批判された。

 この日の全体討議で、著名な心理学者であるコーク大(アイルランド)のエセル・クエール教授は日本を名指しし、「英国などでは、子どもの性的な姿態や虐待を描いたマンガも違法としている。日本は実在の子どもの写真を法律で規制しているが、マンガやアニメは規制していない。その結果、問題のある画像が世界中に出回っている」と指摘した。

 これに続くテーマ別会合でも、日本の「児童買春・児童ポルノ禁止法」を見直す必要のあることが議論された。

 同世界会議には日本をはじめ約140か国の政府代表や民間機関(NGO)、民間企業など約3000人が参加。

 最終日の28日には共同宣言をまとめる。
(2008年11月27日13時08分 読売新聞)
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規制推進派の方々たちが海外でマッチポンプ行為をはじめたようです。警戒レベルを上げましょう。

まあ、しかし、ついになりふり構わずという域に達したのですかね、規制の必要性について説明しようとする(空しい)試みすら放棄したのでしょうか。

犯罪を行うこと、犯罪について表現することは全く別物です。
「殺人は犯罪です。しかしながら、殺人に関する表現行為(ミステリーやホラーなど)を行うことは犯罪ではありません。」こんな簡単なことが何故分からないのでしょうか?

(参考リンク)
私が理事を務めるNGO団体AMIが、2003年6月23日に発表した「『児童買春児童ポルノ禁止法』改正への要望書」をご参照頂きたいと思います。おそらく、この問題に関しては最も整理されている文章の一つではないかと自負しております。特に、3 単純所持罪/単純製造罪の問題点をご参照いただければ幸いです。

最近では、とてもよく問題点が整理されているサイトが登場しています。

「児童ポルノ法改正」に潜む危険
児童ポルノの単純所持禁止にアニメ・マンガ・ゲームは含めるべきか否か?
児童ポルノ法改正「単純所持禁止」の問題点まとめ

これ以外に、平野裕二氏のサイトがとても参考になります。

「児童買春等禁止法改正に関するユニセフ公開セミナー」(2003年6月9日)の報告と疑問点
児童買春・児童ポルノ法改正に関する意見書
民主党「児童買春・児童ポルノ法改正に関する勉強会」報告レジュメ

<ついでにアニメや漫画規制の参考リンクも・・・><過去の関連記事-拙ブログ>
☆☆☆=特に読んで貰いたいなという記事です。New!

【バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会】コミック・PCゲーム・アニメ 児童ポルノ対策強化 警視庁要請へ【最終報告書】☆☆☆

刑法犯減少210万件
松沢知事はエコノミストの記事を読んだのでしょうか? ☆☆☆
神奈川県知事松沢成文氏「ゲームソフト 有害図書指定の輪を全国に」批判 ☆☆☆
<男女共同参画>基本計画改定で「基本的な考え方」答申
カスパルがうさんくさい要望書をエロゲー関係各社に送ったようです
子ども守る条例の要旨公開 奈良県警、ホームページで
「日本版ラスベガス」も ゲームや格闘技の議連発足へ
「暴力」ゲームソフト、神奈川県が全国初の販売規制へ
「アダルトソフト」ではなく「リテラシー」を議論しよう! ☆☆☆
個人情報を見ず知らずの人に教えちゃダメよ ☆☆☆
「青少年健全育成」が政治的に利用された隣国の例
一連の美少女アニメ・ゲームバッシングについて
美少女アダルト」アニメ規制を…超党派議員が初会合
青少年が知能犯となる原因は?
ネット有害情報を阻止 都が青少年条例改正へ  ☆☆☆
テレビ朝日さん、もう少し勉強しませんか?
大谷昭宏さん、いくら大きくてもファールでは得点にはなりませんぜ

カスパル代表 近藤美津枝氏の発言から表現の自由を考える② ←児童ポルノ法とマンガ/アニメ規制についてまとまっています。
☆☆☆
カスパル代表 近藤美津枝氏の発言から表現の自由を考える①

<参考図書>
今回は僕も単純所持規制、創作物規制について書いているので宣伝させて下さい
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マンガ論争勃発のサイトはとても勉強になります

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