カテゴリー「表現規制(差別表現、ヘイトスピーチ)」の記事
【テキスト化しました。】東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案
検討/批判のための材料として「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」をテキスト化しましたので、ご活用ください。
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東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例案
右の議案を提出する。
平成三十年九月十九日
提出者 東京都知事 小池百合子
東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例
東京は、首都として日本を牽引するとともに、国の内外から多くの人々が集まる国際都市として日々発展を続けている。また、一人一人に着目し、誰もが明日に夢をもって活躍できる都市、多様性が尊重され、温かく、優しさにあふれる都市の実現を目指し、不断の努力を積み重ねてきた。
東京都は、人権尊重に関して、日本国憲法その他の法令等を遵守し、これまでも東京都人権施策推進指針に基づき、総合的に施策を実施してきた。今後さらに、国内外の趨勢を見据えることはもとより、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、いかなる種類の差別も許されないというオリンピック憲章にうたわれる理念が、広く都民に浸透した都市を実現しなければならない。
東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、東京が、持続可能なより良い未来のために人権尊重の理念が実現した都市であり続けることは、都民全ての願いである。
東京都は、このような認識の下、誰もが認め合う共生社会を実現し、多様性を尊重する都市をつくりあげるとともに、様々な人権に関する不当な差別を許さないことを改めてここに明らかにする。そして、人権が尊重された都市であることを世界に向けて発信していくことを決意し、この条例を制定する。
第一章 オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現
(目的)
第一条 この条例は、東京都(以下「都」という。)が、啓発、教育等(以下「啓発等」という。)の施策を総合的に実施していくことにより、いかなる種類の差別も許されないという、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く部民等に一層浸透した都市となることを目的とする。
(都の責務等)
第二条 都は、人権尊重の理念を東京の隅々にまで浸透させ、多様性を尊重する都市をつくりあげていくため、必要な取組を推進するものとする。
2 都は、国及び区市町村(特別区及び市町村をいう。以下同じ。)が実施する人権尊重のための取組について協力するものとする。
3 都民は、人権尊重の理念について理解を深めるとともに、都がこの条例に基づき実施する人権尊重のための取組の推進に協力するよう努めるものとする。
4 事業者は、人権尊重の理念について理解を深め、その事業活動に関し、人権尊重のための取組を推進するとともに、都がこの条例に基づき実施する入権尊重のための取組の推進に協力するよう努めるものとする。
第二章 多様な性の理解の推進
(趣旨)
第三条 都は、性自認(自己の性別についての認識のことをいう。以下同じ、)及び性的指向(自己の恋愛又は性愛の対象となる性別についての指向のことをいう。以下同じ。)を理由とする不当な差別の解消(以下「差別解消」という。)並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るものとする。
(性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの禁止)
第四条 都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない。
(都の責務)
第五条 都は、第三に規定する差別解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の推進を図るため、基本計画を定めるとともに、必要な取組を推進するものとする。
2 都は、前項の基本計画を定めるに当たっては、都民等から意見を聴くものとする。
3 都は、国及び区市町村が実施する差別解消並びに性自認及び性的指向に関する啓発等の取組について協力するものとする。
(都民の責務)
第六条 都民は、都がこの条例に基づき実施する差別解消の取組の推進に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第七条 事業者は、その事業活動に関し、差別解消の取組を推進するとともに、都がこの条例に基づき実施する差別解消の取組の推進に協力するよう努めるものとする。
第三章 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進
(趣旨)
第八条 都は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成二十八年法律第六十八号。以下「法」という。)第四条第二項に基づき、都の実情に応じた施策を講ずることにより、不当な差別的言動(法第二条に規定するものをいう。以下同じ。)の解消を図るものとする。
(定義)
第九条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 公の施設 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二の規定に基づき、都条例で設置する施設をいう。
二 表現活動 集団行進及び集団示威運動並びにインターネットによる方法その他手段により行う表現行為をいう。
(啓発等の推進)
第十条 都は、不当な差別的言動を解消するための啓発等を推進するものとする。
(公の施設の利用制限)
第十一条 知事は、公の施設において不当な差別的言動が行われることを防止するため、公の施設の利用制限について基準を定めるものとする。
(拡散防止措置及び公表)
第十二条 知事は、次に掲げる表現活動が不当な差別的言動に該当すると認めるときは、事案の内容に即して当該表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずるとともに、当該表現活動の概要等を公表するものとする。ただし、公表することにより第八条の趣旨を阻害すると認められるときその他特別の理由があると認められるときは、公表しないことができる。
一 都の区域内で行われた表現活動
二 都の区域外で行われた表現活動(都の区域内で行われたことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
ア 都民等に関する表現活動
イ アに掲げる表現活動以外のものであって、都の区域内で行われた表現活動に係る表現の内容を都の区域内に拡散するもの
2 前項の規定による措置及び公表は、都民等の申出又は職権により行うものとする。
3 知事は、第一項の規定による公表を行うに当たっては、当該不当な差別的言動の内容が拡散することのないよう十分に留意しなければならない。
4 第一項の規定による公表は、インターネットを利用する方法その他知事が認める方法により行うものとする。
(審査会の意見聴取)
第十三条 知事は、前条第一項各号に定める表現活動が不当な差別的言動に該当するおそれがあると認めるとき又は同条第二項の規定による申出があったときは、次に掲げる事項について、審査会の意見を聴かなければならない。ただし、同項の規定による申出があった場合において、当該申出に係る表現活動が同上第一項各号のいずれにも該当しないと明らかに認められるときは、この限りではない。
一 当該表現活動が前条第一項各号のいずれかに該当するものであること。
二 当該表現活動が不当な差別的言動に該当するものであること
2 知事は、前項ただし諮の場合には、速やかに審査会に報告しなければならない。この場合において、審査会は知事に対し、当該報告に係る事項について意見を述べることができる。
3 知事は、前条第一項の規定による措置又は公表を行おうとするときは、あらかじめ審査会の意見を聴かなければならない。
(審査会の設麗)
第十四条 前条各項の規定によりその権限に属するものとされた事項について調査審議し、又は報告に対して意見を述べさせるため、知事の附属機関として、審査会を置く。
2 審査会は、前項に定めるもののほか、この章の施行に関する重要な事項について調査審議するとともに、知事に意見を述べることができる。
(審査会の組織)
第十五条 審査会は、委員五人以内で組織する。
2 審査会の委員は、知事が、学識経験者その他適当と認める者のうちから委嘱する。
3 委員の任期は二年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
(審査会の調査審議手続)
第十六条 審査会は、知事又は第十三条第一項若しくは第三項の規定により調査審議の対象となっている表現活動に係る第十二条第二項の規定による申出を行った都民等に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を述べさせることその他必要な調査を行うことができる。
2 審査会は、前項の表現活動を行った者に対し、相当の期間を定めて、書面により意見を述べる機会を与えることができる。
3 審査会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に第一項の規定による調査を行わせることができる。
(審査会の規定に関する委任)
第十七条 前三条に定めるもののほか、審査会の組織及び運営並びに調査審議の手続に関し必要な事項は知事が別に定める。
(表現の自由等への配慮)
第十八条 この章の規定の適用に当たっては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第十一条から第十三条まで及び第十六条の規定は、平成三十一年四月一日から施行する。
2 第十一条から第十三条まで及び第十六条の規定は、前項ただし書に規定する日以後に行われた表現活動について適用する。
(提案理由)
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市として、いかなる種類の差別も許されないという、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念が広く都民等に浸透した都市となるため、必要な取組を推進する必要がある。
ヘイトスピーチ規制/差別表現規制は、マイノリティからも表現の自由を奪う!
私は、ヘイトスピーチ規制や差別表現規制に反対です。特定人を名宛人にしないヘイトスピーチ、差別表現に対する規制は、表現の自由に対する重大な脅威であると考えています。
理論的な反対については、以下の記事をご参照下さい。
ヘイトスピーチや差別表現に対する法規制が、特定の集団による恣意的な言論弾圧を正当化するために使われる危険性があることは、以下の、過去記事をご参照下さい。
もう一つ、現実的な理由を挙げます。
「マイノリティーが不安に脅かされることなく暮らせる自由」を根拠に表現規制を認めると、「日本人が誇りと尊厳を侵害されることなく暮らせる自由」を根拠に、マイノリティーの表現が弾圧されるのは時間の問題です。靖国神社や天皇制に対する抗議活動など、一発でアウトになるのではないでしょうか。
冷静に考えてください、マイノリティーの多くは参政権を有しない外国籍の方々です。立法権へのアクセスでは不利です。多数決で物事が決まる政治の場では、参政権を有するレイシストには勝てません。多数決原理を通じて、少数者の権利が確保されると考えるのは楽観的すぎます。少数者の権利を守るものは、多数決によっても侵害し得ない「表現の自由」以外にはありません。マイノリティーこそ、「表現の自由」を大事にすべきであり、例外を認めることには慎重であるべきです。何故、ヘイトスピーチ規制派は、そのリスクに気がつかないのでしょうか?想像力が不足しているとしか思えません。
それとも、国連が何とかしてくれると思っているのでしょうか?歴史を鑑みるに、日本政府が国連の勧告を重視しているとは思えません(国連からの勧告が不当なことも多いので、一概に日本政府の対応に問題があるとは言えませんが。)。
特定個人の権利・利益を侵害しない表現は規制しない、あるいは、明白かつ現在の危険のない表現は規制しない、という「建前」は、マイノリティーにとってこそ重要なものだと思いますが、どうなんでしょうか?法は、ヘイトスピーチや差別発言について、「発信者」が誰かで区別は出来ないでしょう。それこそ、「性」や「人種」、「民族」等の「属性」に基づく表現行為の制限=「差別」に他ならないからです。これは、憲法14条の平等権に反します。
つまり、ヘイトスピーチ法制は、「発信者」が誰かを問うことなく、「性」や「人種」、「民族」等の「属性」に対するヘイトスピーチについて網羅的に規制するものにならざるを得ません。マイノリティーのマジョリティーに対するヘイトスピーチ、差別発言も規制の対象とならざるを得ないのです。
一例として、「朝鮮人出て行け!」がヘイトスピーチになるなら、「米軍兵士は出て行け!」、「ヤンキー、ゴーホーム!」も理論的にはヘイトスピーチになる筈です。
表現は、マイノリティーにとっても、いや、力の弱いマイノリティーにとってこそ、重要な武器である筈です。ヘイトスピーチ規制や差別表現規制は、マイノリティからも表現の自由を奪うものです。
平成25年10月7日京都地方裁判所判決(朝鮮学園vs在特会外)をどう読むか?
平成25年10月7日京都地方裁判所判決について、様々な議論がネット上で行われているようですが、判決の内容を纏めると以下のようなものです。
(在特会らによる示威活動、映像公開の違法性について)
いずれも、業務妨害、名誉毀損の成立により違法性を認定するという従前からの判断枠組みを維持しています(判決文68頁「2」、同69頁「3」、同70頁「4」、同71頁「5」参照。
(人種差別撤廃条約の効力について)
このように、人種差別撤廃条約2条1項は、締結国に対し、人種差別を禁止し終了させる措置を求めているし、人種差別撤廃条約6条は、締結国に対し、裁判所を通じて、人種差別に対する効果的な救済措置を確保するように求めている。これらは、締結国に対し、国家として国際法上の義務を負わせるにとどまらず、締結国の裁判所に対し、その名宛人として直接に義務を負わせる規定であると解される。このことから、わが国の裁判所は、人種差別撤廃条約上、法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うものというべきである(判決文66頁「4」参照)。
(ヘイトスピーチそれ自体が不法行為となることは否定)
もっとも、例えば、一定の集団に属する者の全体に対する人種差別発言が行われた場合に、個人に具体的な損害が生じていないにもかかわらず、人種差別行為がされたというだけで、裁判所が当該行為を民法709条の不法行為に該当するものと解釈し、行為者に対し、一定の集団に属する者への賠償金の支払を命じるようなことは、不法行為に関する民法の解釈を逸脱しているといわざるを得ず、新たな立法なしに行うことはできないものと解される。条約は憲法に優位するものではないところ、上記のような裁判を行うことは、憲法が定める三権分立原則に照らしても許されないものといわざるを得ない。(判決文66頁「5」参照)
⇒ 特定人の権利を侵害しないヘイトスピーチは不法行為とはならないことを明言しています。
(不法行為となるヘイトスピーチ=具体的な被害者のいるヘイトスピーチについては、損害額が加算されるべき)
したがって、わが国の裁判所は、人種差別撤廃条約2条1項及び6条の規定を根拠として、法律を同条約の定めに適合するように解釈する責務を負うが、これを損害賠償という観点からみた場合、わが国の裁判所は、単に人種差別行為がされたというだけではなく、これにより具体的な損害が発生している場合に初めて、民法709条に基づき、加害者に対し、被害者への損害賠償を命ずることが出来るにとどまる。
⇒ 繰り返し、特定人の権利を侵害しないヘイトスピーチは不法行為とはならないことを明言しています。
しかし、人種差別となる行為が無形損害(無形損害も具体的な損害である。)を発生させており、法709条に基づき、行為者に対し、被害者への損害賠償を命ずることが出来る場合には、わが国の裁判所は、人種差別撤廃条約上の責務に基づき、同条約の定めに適合するよう無形損害に対する賠償額の認定を行うべきものと解される。
やや敷衍して説明すると、無形損害に対する賠償額は、行為の違法性の程度や被害者の深刻さを考慮して、裁判所がその裁量によって定めるべきものであるが、人種差別行為による無形損害が発生した場合、人種差別撤廃条約2条1項及び6条により、加害者に対し支払を命ずる賠償額は、人種差別行為に対する効果的な保護及び救済措置となるような額を定めなければならないと解されるのである。(判決文67頁「6」参照)
【石原慎太郎】姜尚中氏の福岡応援に石原知事反発 「怪しげな外国人」【問題発言】
五輪の国内立候補都市を巡り、石原慎太郎・東京都知事が、福岡市の応援演説をした姜尚中・東大教授に激しく反発、「怪しげな外国人」などとかみついた。
姜教授は演説で「金持ちの、金持ちによる、金持ちのためのオリンピックで、世界に勝てますか」と東京を批判。すると、続く東京側のプレゼンテーションで石原知事が「さっき、どこか外国の学者さんが東京は理念がないとおっしゃっていた。何のゆえんだかわかりませんが」と発言。その後の祝賀パーティーのあいさつでも「怪しげな外国人が出てきてね。生意気だ、あいつは」などと述べた。
姜教授は在日韓国人2世で、熊本で生まれ育った。
朝日新聞 2006年08月30日23時44分
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石原慎太郎都知事の問題発言に慣れっこになり、問題意識が鈍磨しつつある感もありますが、今回の発言について言えば、
①首都の知事としての立場による公の場での発言であること
②姜尚中東京大学教授の名誉を毀損していると思われること
③外国人差別を含む発言と認められ、人種差別撤廃条約にも違反していると思われること
と非常に不見識かつ問題の大きい発言です。
オリンピックを招致しようとしている自治体のトップとして、また、日本の首都である東京の知事として、非常に、不見識なだけではなく、誘致に向けて「マイナス」にしかならない問題発言だと思います。
今回の発言は、明らかに、姜尚中東京大学教授個人を特定していますから、単に政治的な責任の追及に止まらず、訴訟を提起された場合には、苦しい結果になるのではないでしょうか。
(参考過去記事)
石原知事「ババァ」発言、女性たちの賠償請求棄却
⇒ 今回は、特定の個人が相手ですから、相手方の特定が困難な「ばばあ発言」などと異なって、裁判での責任追及を行なっても、表現の自由との関係ではさほど問題はないと考えます。
⇒ また、私は、ヘイトスピーチ(人をその人の人種や民族、宗教、性別、性的指向を理由に貶めたり暴力や差別的行為を煽動するような言動)に対する法的な規制については、否定的な立場ですが、今回の石原都知事の発言は、特定の個人に対する名誉毀損ないし侮辱行為として、少なくとも従前からの民事上の不法行為の枠内で責任追及が可能ではないかと思います。
イスラムの預言者風刺漫画とホロコースト風刺漫画
ホロコースト風刺画コンテスト開催=「表現の自由」に当て付け-イラン紙
【カイロ7日時事】イラン紙ハムシャハリは7日、「表現の自由の限界を試す」ため、ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺)を題材にした風刺漫画のコンテストを行うと発表した。ロイター通信が伝えた。
イスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画が欧州紙に掲載された問題で、各紙が表現の自由を理由に掲載を正当化していることへの当て付けだ。優秀な12作品の作者にはそれぞれ約1万7000円の賞金を出すという。
(時事通信) - 2月8日1時1分更新
いささかネタとしては、古いのですが、表現の自由の本質をついている事件なので取り上げました。
私はホロコースト否定論者ではありませんし、ホロコースト否定論を初めとする歴史修正主義については批判的な立場です。しかしながら、今回、「ホロコースト否定論」を初めとする「ヘイトスピーチ」を法により禁圧化してきた西欧諸国がイラン紙ハムシャハリに「一本取られた」ことはいささか痛快に感じています。
イスラムの預言者を風刺することを「表現の自由」の名において認める以上、ホロコーストについて否定する議論についても「表現の自由」を認めることは当然のことだと思いますし、これを否定することはダブルスタンダードのそしりを免れないでしょう。
西欧諸国にとって、表現の自由の対立利益は、「集団の人権」ではありえず、「個人の人権」でしかありえないという表現の自由に関する原点に立ち戻って考えれば、直すよい機会だと思いますし、わが国に「ヘイト・スピーチ」規制を持ち込もうとしている人たちも、表現の自由の意味を今一度考え直して頂きたいと思うのです。
西欧の新聞社各社は、イラン紙ハムシャハリに掲載されるであろう「ホロコーストの風刺漫画」を掲載し、報道することが出来るか。表現の自由の真価が試されるときです。
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