【再掲】弁護士というライフスタイルについて考える
(概ね、2007年3月12日に乗せた記事の再掲です。事務所の方で新人募集をしているので、リンク総合法律事務所への就職を希望する司法修習生、弁護士の方のご参考までに掲載します。)
弁護士生活も8年目に突入し、就職活動をしていた頃はかなたの思い出になりつつあります。
私が就職活動をしていた2000年秋頃は、初の司法試験合格者1000人時代ということで、就職難になるのではというあせりもありましたが、杞憂で、売り手市場でした。好奇心からの訪問も含めて8つ程事務所訪問をし、複数の内定を貰い、結局、一番最初に内定をくれた事務所に就職しました。
今は、大分時代が違うようで、弁護士大増員時代を迎え、司法修習生の就職活動(事務所訪問)が活発化しているようです。リンク総合法律事務所(以下、「リンク」)にも、事務所訪問の申し込みが多数来ているようです。リンクが設立されたのは、2001年9月3日、私がリンクに来たのは、2003年9月末のことでした。転職活動のために(※1)、事務所訪問をしたのは、2003年5月頃です。紀藤正樹の話によれば、僕が事務所訪問の第1号だったそうです。ほんの数年前ですが、牧歌的な時代だったと思います。
弁護士の仕事について、私が以前に所属していた事務所のボス弁=北村行夫弁護士は、「3K」(=きつい、厳しい、きりがない)だと言っていました。私も同感です。特に、「きりがない」というのは、全くそのとおりです。弁護士というのは、揉め事に関わる仕事なので、恨みを買ったり、攻撃の対象になることもあります(※3)。「危険」を付け加え、「4K」(=きつい、厳しい、きりがない、危険)でもいいかも知れません。
仕事とプライベートを完全に切り分けることは不可能です。リンクの弁護士には「定時」とか「拘束時間」とか「休日」という概念はないです。出勤時間、退勤時間は自由ですし、休みを取ることも自由ですが、大体は、どの弁護士も朝は9時半~10時位の間に出勤し、深夜0時か1時まで仕事をしています。夜の11時頃に帰路についていると「今日は早い」と感じてしまう自分がいます。
弁護士であることに伴う責任と仕事は、絶えず、プライベートな領域を侵食します。事務所が事実上生活の拠点になっていきます。僕の感覚では、事務所は「職場」よりも、学生時代の「溜まり場」に近いものになっています。思うに、どのプロフェッション(専門職)でもそうだと思いますが、弁護士であるということは、単に収入を得るための手段でもなく、「弁護士というライフスタイル」を選択するということ、という割り切りがないとやっていけないでしょう。
「弁護士というライフスタイル」は非常に充実し、かつ、張り合いのある日々をもたらしてくれるものです。それなりの収入も得られますが(※2)、単に、「生活費を稼ぐ手段」として、弁護士という職業を選ぶのはもったいないと思います。
X時からY時までは「仕事」で、それ以外は「プライベート」という切り分けた生活を希望される方は、リンクには向きません。独断と偏見で言えば、弁護士という職業そのもの、少なくとも、消費者側に立つ弁護士には向かないのではないかと思います(※4)。
(※1)2001年10月~2003年9月末までは、虎ノ門総合法律事務所で、イソ弁(完全給料制)をしていました。
(※2)ちなみに、リンクは、給料制ではなく、歩合制です。個人事件については、一定割合(最初は4割、後には3割)を事務所に経費として入れるというシステムです。弁護士会費、交通費、使用するパソコンなどは完全自己負担。委員会活動、弁護団活動は完全に自由。新人の場合、所長や先輩弁護士と事件を共同受任して、着手金や報酬金を分けますので、収入の心配はない筈です。ただし、収入の心配がないというのは、年間で見た場合で、給料制と違って売上により、毎月の収入に波は当然あります。
(※3)懲戒請求をされる、不当訴訟を提起される、インターネット上で誹謗中傷される等
(※4)企業のクライアントの場合、相談や打ち合わせに来る人も「仕事」として来ますが、個人のクライアントの場合、「プライベート」の時間を使って相談に来るため、クライアントの就業時間の後、あるいは、週末に打ち合わせを入れざるを得ないことが多い。