漁船衝突:中国人船長を釈放へ 「日中関係を考慮」
沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕・送検し、拘置していた中国人船長、※其雄容疑者(41)を、処分保留のまま釈放すると発表した。
※船長は、今月8日未明、中国籍の大型トロール漁船(166トン)を日本領海内の尖閣諸島で操業。久場島北西約15キロで立ち入り検査のため停船命令を出して追跡中だった石垣海上保安部の巡視船「みずき」(197トン)の右舷中央部に漁船を衝突させ、海上保安官の職務を妨害したとして公務執行妨害容疑で逮捕された。
領海問題を巡り、停船命令に従わなかった中国船籍の漁船が巡視船に衝突させる行為を公務執行妨害ととらえて逮捕する異例の展開となった。石垣簡裁は19日、29日までの拘置延長を認めていた。
那覇地検の鈴木亨次席検事は釈放の理由について「我が国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と述べる一方、船長の行為を「追跡を免れるためにとっさに取った行動で、計画性は認められない」などと述べた。今後釈放手続きに入るが、釈放の日時は未定という。※は「簷」の竹カンムリを取る
毎日新聞 2010年9月24日 14時51分(最終更新 9月24日 15時28分)
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船長の行為を「追跡を免れるためにとっさに取った行動で、計画性は認められない」などと述べた。
とありますが、これは、とても重要な発言(失言?)です。何故ならば、以後、中国政府(=中国共産党)は、那覇地検の鈴木亨次席検事の言葉を盾にとって、「今回の事件はあくまでも偶発的なもの」として、処理する口実を得たことになるからです。
船長が黙秘している以上、今回の事件の真相は闇の中です。
常識的に考えれば、中国政府(=中国共産党)の海洋権益拡大戦略の一環であり、日本の海上保安庁とのトラブルも計画されていないまでも、想定内と考えるのが自然です。真相が闇の中であれば、日本側も今回の事件をうまく利用できた可能性はありました。が、今回の次席検事の発表は、日本側が将来的に使えたかもしれないカードをむざむざと捨てる結果につながるものです。
念のために言っておきますが、那覇地検を批判するのは筋違いです。検察庁は準司法的な機関であり、そもそも、外交的な配慮はその専門外です。外交問題として処理すべき問題を準司法機関に丸投げした政府の責任です。